街を席巻するコロナウイルス2020年03月03日

 コロナウイルスが街を席巻している。不特定多数を対象としたイベントや講演会等がどんどん中止に追い込まれ、多人数の会食も開催断念を余儀なくされている。
 安倍首相による唐突な小中高校などの全国一斉休校要請が一気にこの流れを加速化させた。3月予定の市内の小中学校の卒業式も来賓、在校生の出席を見合わせる縮小開催となった。子どもたちの不安や落胆は言うに及ばず母子家庭や共働き世帯は途方に暮れ、その苦悩や負担ははかりしれない。
 西宮市内でも県下で初めて感染者が発生した。感染者の足取りの追跡や濃厚接触者のPCR検査が実施され、周辺の緊急感染症対策も迫られている。コロナウイルスという目に見えない脅威がひたひたと迫ってくるかのようだ。
 後期高齢者を目前にした永い人生で遭遇したことのない風景を目の当たりにしている。黒船到来にパニックになったかつての風景を連想させる異常事態である。メディアも巻き込んだ誰もかれもが一斉に右に倣えとばかり同調する日本特有の現象のようにも思える。
 信頼する町医者・長尾和宏医師のブログではこうした風潮に疑義を挟んでいる。「新型コロナウイルス感染症は高齢者がハイリスクである。高齢者が感染すると重症肺炎になり易いことが分かっている。子供だけではなく高齢者にも目を向けるべきだ」。
 極め付きの指摘は、高齢者施設で疑わしい症例が発生した時の対応についてのコメントだ。「この時期は保健所に届け出るべきかどうかという相談を何件か受けた。もしも陽性と出たらテレビで臨時ニュースが流れて施設の介護職員は全員濃厚接触者として強制的に検査を受けることになる。検査が陰性でも2週間の自宅安静を命じられれば事実上、その施設は閉鎖となる。経済的基盤が脆弱な小規模事業所は倒産するだろう。すなわち、高齢者施設においては保健所通報=介護施設の自殺、という想像力をもった施策が必要である」。
 なるほど。そんな事態になれば施設入居者はどこにもいけない最悪の事態を迎える。インフルエンザかコロナウイルスかの判断すら不明な段階で一気に施設閉鎖まで突き進んでしまう。右へ倣えの安易な風潮に危惧する。

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