高齢者施設での新型ウイルス発症対策は?2020年03月06日

 福祉ネットの広報紙発行に伴い、オブザーバーの介護施設等に広報紙を届けた。その際、気がかりだった高齢者施設での新型ウイルスが懸念される事例が発症した場合の対応を訊ねた。予想通り、「保健所等に届ける他ないが、検査結果が陽性だった場合の打つ手がない」と、苦悩が滲む。
 尼崎の町医者・長尾和宏氏は、高齢者施設での入所者の検査結果が陽性の場合、次のようなシュミレーションとなると指摘する。
①施設職員は全員濃厚接触者なので検査と隔離となる。②そうなると入所者もその施設にはいられない。しかしそもそも「帰る家」がなくどこにも行けない。③その介護施設は事実上の閉鎖となる。
 上記のシュミレーションは極めて妥当で現実的である。疑いのある場合の検査を強く求めている国は、上記の想定に対し然るべき対応策を講じておかなければならない。ところが安倍政権の抜本的対策なるものは喫緊の対象者には思えない小中高校の一斉休校要請である。感染しやすい高齢者向けの対応策は聞こえてこない。とりわけひとたび感染が発症すれば施設の閉鎖にまで突き進み、入所高齢者は路頭に迷うしかない現実への対応策は耳にしない。
 後手に回り続ける高齢者施策であるが、新型コロナウイルス対応でも顕著である。