自叙伝交遊録で記載を洩らした山口の三長老2020年05月12日

 出版した自叙伝の読者No1はいうまでもなく著者自身である。これまで執筆した思い入れのある数々の著作やネット投稿記事が一冊にまとまって手許にあるのだから手軽にいつでも読み返すことができる。
 そんな形で頻繁に読み返すうちに誤字脱字だけでなく、掲載を漏らした著述についても気づかされた。そのひとつに山口町旧地区の三人の長老の皆さんとの交遊がある。私のセカンドライフの出発点ともなったHP「にしのみや山口風土記」執筆で教えを頂いたかけがえのない方々である。三人の皆さんはいずれも今や90歳を超える長老で、山口公民館講座で郷土史の講師を努められた。ともに「山口町史」の執筆と編纂に関わった皆さんである。
 最長老の名来の橋本芳次さんは、江戸時代の山口の歴史研究の第一人者である。資料を丹念に当たった実証的でアカデミックな講座を何度か拝聴した。著作の「平尻道の地図帳」は貴重な文献である。個人的にも何度かお宅を訪問し、風土記執筆上の疑問の教えを乞うた。
 下山口の橋本正昭さんは、永く財団法人山口町徳風会理事長の要職にあった有力者である。郷土史の造詣も深く公民館講座「山口町の歴史(古代篇)」を開講された。地元ゆかりの孝徳天皇をテーマに「大化改新の首謀者は孝徳天皇だった」という説を中心にとした興味深い講座だった。山口町の高齢化対応についての関心も深く、個人的にもしばしば意見交換させて頂いた。
 同じく下山口の岡本佐久次さんは、HP山口風土記執筆で最も教えを頂いた方だ。特に公民館講座「蒸気機関車が走った町」の国鉄有馬線・有馬口駅の当時の見取り図作成では岡本さんにしかお聞きできない貴重な証言を頂いた。また山口公民館講座「戦争体験を語る」では貴重な戦争体験をお聞きした。ラバウルの攻防や捕虜生活を中心とした生々しい体験とともに反戦の想いが告げられた。
 新興住宅街在住の私にとっては山口町の三人の長老との交遊は新旧両地区の壁を越えた貴重なものであり、私の講座を通して新旧両地区の受講生の皆さんに両地区の架け橋を訴える有力な根拠をもたらした。