アフターコロナの分断回避の心構え2020年05月14日

 長引くコロナシフトで見えてきたもののひとつに国民の中に生まれつつある対立や分断の構図がある。根底にあるのはコロナシフトの継続を巡る対立である。
 命に関わりかねないコロナ感染の防止に向けて自粛継続を求める立場と、長引く自粛で廃業・解雇等の生活破綻の不安から一日も早い自粛解除を求める立場である。それは感染すれば重篤化しかねない高齢世代と、感染症に比較的抵抗力のある若年・中高年世代との立場の相違である。同時に経済的には安定した年金生活者の多いリタイヤ世代と経済基盤が不安定で流動的な現役世代との葛藤でもある。端的に言えばリタイヤ世代と現役世代との世代間葛藤の構図である。どちらも自分にとってのかけがえのないものに依拠したものであり、それだけに感情的な対立と深刻な分断を招きかねない。
 超高齢社会を迎えて地域社会の世代間の葛藤が顕在化しつつある。
コミュニティの維持を巡って従来型の盆踊りや文化祭にこだわるリタイヤ世代と防災・防犯、環境衛生、広報・情報等のインフラ維持という最小限の活動にとどめたい現役世代のニーズの違いが目につく。どちらか一方だけの主張でなく相手の意向を組み入れながら結論を導く知恵と寛容さが必要だ。「批判→対立→分断→排除」でなく、「協調→融和→共存→包摂(包み込み)」の流れをいかに定着させらるか。
 分断が深刻化しかねないアフターコロナに向けて、分断回避の心構えが問われている。