BS-TBS「通信簿の少女を探して」2023年02月22日

 BS-TBSで放送された「通信簿の少女を探して~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~」を観た。共感を呼ぶ見応えのあるドキュメント番組だった。
 番組ディレクターが偶然手にした画家・ゴーギャンの古書に1枚の色褪せた通信簿が挟まっていた。昭和23年卒業の⼤分県別府市の
小学6年生の少女のものだった。体育の「良」を除いて全科目「優」の優秀な成績だが、担任教師のコメントには「人望に欠ける」と指摘されている。この印象的な通信簿を本人に届けたいという想いが、少女を探す旅路の始まりとなった。
 手掛かりが殆どない少女を探す苦難の旅路が続く。それでも少しずつ足掛かりを得て前進する。その過程をサスペンスドラマにも似たハラハラ感で視聴する。当時、別府に多かった満州からの引き揚げ者ではないかという糸口が旅路を大きく前進させる。
 これまで、大陸からの”引き揚げ者”という戦中・戦後の欠かせないファクターについて真正面に受止めて考えることはなかった。今回のこの番組ではからずもそのテーマに初めて本格的に向き合ったきがする。この番組の主たるテーマはその点にあったと受け止めた。
 小学校の卒業写真が発見され大柄な少女の姿が映される。番組の最後の関心は否応なく成績優秀で孤立感のある大柄な”通信簿の少女”が見つかるかということに絞られる。そして最後にその少女の80年近い歳月を経た老後の姿が登場する。インタビューに答える彼女のイメージは老いを感じさせない気丈で明快な意思を伝えられる女性だった。その期待以上に存在感のある毅然とした、そして在りし日の美しさを漂わせた姿に思わず拍手した。
 爽やかさをもたらした見応えのある番組だった。

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