「半分、青い。」に登場のユニークなシェアオフィス2018年09月13日

 朝の連ドラ「半分、青い。」の舞台となったシェアオフィスが気なった。ヒロイン鈴愛が再び東京に出て働くことになった企画会社が入居するシェアオフィスである。廃校になった学校を再利用して各教室には”おひとり様メーカー”の事務所やお店や製作所が入居して軒を並べる。シェアオフィスでは個人で作りたいものを作っていきいきと活動している。
 そんなシーンを何度も目にしながら、ふと「地域共生社会」のイメージが重なった。事業展開するひとりひとりが自分の「想い」の実現に向けてひたすら励んでいる。それぞれが独立して個性的に過ごしているが同じ空間を共有し合う仲間としての繋がりも忘れない。その結果シェアハウス全体が集客力のある活気ある空間を形成する。ひとりひとりがあるがままに過ごしながら共に生かされている。
 このシーンの舞台はスタジオのセットではない。東京都世田谷区に実際にある「ものづくり活動拠点」で「世田谷ものづくり学校」が管理運営する複合施設がロケ地である。

大人になった娘への変わらぬ母心2018年06月04日

 昨日と今日の「半分、青い。」を観ながら納得させられることがあった。上京したヒロイン・鈴愛を母親・晴が訪ねるシーンである。久々の母娘の再会も娘の忙しさに紛れてままならない。その間、母はせっせと娘の部屋や共用場所を掃除する。ナレーションが告げる。この年代の母親の掃除や片付けの執着は並み並みならぬものがある。台所用品の鍋釜をピカピカに磨き上げる。忙しい娘に代わって私がしてやらねばの想いが強い。
 どこかでみた風景だった。家内が娘夫婦宅を訪ねた時の振舞いそのままだった。「そこまでしなくてもたまに花ちゃんと再会したのだから・・・」とじいちゃんは思う。ところが母親にとっては娘はいつまでたっても孫以上なのだろう。母親には娘は自身の分身にも近いもののようにみえる。大人になった娘への変わらぬ母心をみた。

NHKスペシャル「ミッシングワーカー」2018年06月03日

 NHKスペシャル「ミッシングワーカー」を観た。ミッシングワーカー(消えた労働者)とは、独身、非正規、介護等の働けなくなるリスクを抱えて働くことをあきらめた40代、50代の中高年のことを言うようだ。彼らは求職活動をしていないため、雇用統計上の「失業者」に反映されず、労働市場から“消えた”状態となっている。日本では、40代・50代の「失業者」数は72万人だが、失業率に反映されない「ミッシング・ワーカー」はこれを大幅に上回り、103万人と推定されている。
 番組は、三人の「ミッシング・ワーカー」の実態に密着取材をしながら解決の糸口を探る形で展開される。親の介護をきっかけに離職し、親の年金や貯金で食いつなぎながら介護を続ける現実がうつされ、親亡き後も働く意欲や環境を失ったまま漂っている。子のひきこもりと親の高齢化で孤立化・貧困化する「8050(はちまるごーまる)問題」がオーバーラップする。
 観終えて暗澹たる気分が襲ってくる。日本の貧困化はここまで深刻になっているのかと思い知らされる。5年半に及ぶ経済至上主義の安倍政権がもたらした現実にほかならない。番組では解決の糸口の事例の一端に民生委員や地区社協の活動も紹介される。ただそれはいかにもささやかで抜本的な対応にほど遠いものである。問題の所在は今日の日本社会の構造の歪みにあり、その点に切り込んだ政治改革しかない。

朝ドラ「半分、青い。」が乗ってきた!2018年05月25日

 朝の連続テレビ小説「半分、青い。」が面白くなってきた。放送開始直後はそれほどでもなかったが、徐々に魅かれるようになった。特にヒロイン・鈴愛が上京し、売れっ子マンガ家・秋風羽織のアシスタントになった頃からの展開が面白い。
 それまでの岐阜の田舎のローカル色豊かで比較的平坦な展開から一気にアップテンポでドラマ性に富んだ展開になる。ユニークで魅力的なキャストが相次いで登場する。次々と個性あふれるタレントを発掘し登場させてきた朝の連ドラがこの作品でもそれを予感させる。時おり折り込まれる荒唐無稽なエピソードも嫌味がなくて好ましい。
 個人的には朝の連ドラの面白さの最大の要因はヒロインのキャスティングにあると思っている。とりわけキャラクターの魅力的な個性に追う面が多い。「カーネーション」の尾野真知子然りである。この番組のヒロイン・鈴愛はオーディションで選ばれたモデルの永野芽郁(めい)である。決して美人というわけではない。ただ天衣無縫なキャラが徐々に発揮され、今後の可能性を窺わせている。
 朝ドラ「半分、青い。」が乗ってきた!

BSフジ『海坂藩を作ったひと 藤沢周平』2018年01月08日

 二日続けて海坂(鶴岡)探訪の記事をアップした。ちょうどその夜に記事に記した想いを見事に映像化した番組が放映された。BSフジの『海坂藩を作ったひと 藤沢周平』という2時間番組だった。
 番組は藤沢周平の足跡や代表作品などを紹介するとともに、海坂藩のモデルとなった作者の郷里の風景も紹介している。鶴岡市高坂の生誕地の周辺と記念碑、作品中に五間川として描かれる河川の風景、鳥海山を望む田園風景など探訪したいスポットの映像を愉しんだ。
 今後放送予定の「三屋清左衛門残日録 三十年ぶりの再会」の出演者の北大路欣也・伊東四朗・小林綾子による鼎談の中で、作中に登場する郷土料理のくちぼそカレイ、寒ダラ、ハタハタ等の紹介も興味深かった。
 ますます海坂探訪の想いが募る。

TBS金曜ドラマ「コウノドリ第5話」2017年11月11日

 TBS金曜ドラマ「コウノドリ第5話」を観た。前回の第1回シリーズもちょうど孫の花ちゃん誕生と重なり欠かさず観ていた。今回のシリーズも相変わらず見応えのある感動的な物語が展開している。
 とりわけ第5話は涙が止まらなかった。死産(子宮内胎児死亡)をテーマとしたドラマである。切迫早産と診断され長期入院中のママ・瑞希が隣のベッドのママと赤ちゃん誕生に向けた喜びを語り合う。そんな喜びのシーンが次の健診で暗転する。エコーを診つづけていた主治医サクラが瑞希に告げる。「胎児の心音が確認できません」。自分のせいで命を宿せなかったのかと自らを責める瑞希は羊菓子店の店主である夫と泣き崩れる。夜遅くまで原因を探し続ける医師サクラ。母体の安全のため陣痛促進剤による早目の出産が行われる。命を宿さない胎児をママもパパも病院関係者も誰もがその誕生を祝福する。亡きベイビーの前にパパが心を込めた誕生ケーキを添える。
 出産という命を宿す営みの重さを、宿せなかった事例のトレースを通してあらためて思い知らされた。

BSプレミアム「英雄たちの選択・観応の擾乱」2017年11月10日

 NHKのBSプレミアム「英雄たちの選択・室町幕府ミステリー 観応の擾乱 史上最大の兄弟げんか!」を観た。室町幕府成立間もない頃の初代将軍・足利尊氏とその弟・直義の骨肉の争いである観応の擾乱のドキュメンタリーである。歴史的にはさほど注目されていないこの騒乱を二人のそれぞれの内面に分け入りながらそれぞれの重大な選択の過程と結果をコンパクトにまとめていた。
 印象的だったのは番組終盤で提示された「正しいこと」と「分かりやすいこと」の歴史的な意味合いとその結果についてのコメントだ。「正しいこと」よりも「分かりやすいこと」がしばしば勝利することは歴史が示している。正しいことにこだわった善意の人・直義は最終的に分かりやすい行動パターンで大衆を引き付けた尊氏に敗れ去った。
 教訓とすべきは「正しいか」「分かりやすいか」の二者択一ではない。「正しいことをいかに分かりやすく伝えるか」ということなのだろう。

NHKプレミアムカフェ「SL復活 C571よ永遠に」2017年10月06日

 NHKプレミアムカフェ「SL復活 C571よ永遠に」の再放送番組を観た。ネットでは次のような番組紹介がある。
 「貴婦人」の愛称を持つ蒸気機関車(SL)C57形。その1号機「C571」は山口線を走る「SLやまぐち号」として活躍していたが、引退の危機が迫った。2005年(平成17年)8月、九州を走るSLが老朽化を理由に運行を中止。これを機に「C571」を走る技術遺産として後世に残すため、2005~06年、解体大修理が行われた。「貴婦人」復活に奮闘する人々の半年間の記録である。
 5年前に息子夫婦と新婚間もない娘夫婦と一緒に我が家の夫婦6人でこのSLやまぐち号に乗車した。今思えば復活した貴婦人の6年目の乗車だった。復活に賭けた職人たちの熱い想いをあらためて噛み締めた。
 昭和12年製造の蒸気機関車の70年後の解体修理である。1万個に及ぶ部品が解体されオーバーホールされたり取替えたりしながら再び組み立てられる。その過程をSLを知り尽くしたひとりの職人が責任者として関わる様が描かれる。ハイテク時代にあって手作りの作業が延々と続く。その姿は技術者とは程遠い「職人」というほかない男たちの闘いの現場だった。「モノづくり大国・日本」の粋を極めた世界である。SLファンの末端に連なる身にはたまらない見応えのある番組だった。

NHKドキュメンタリー”赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~”2017年09月24日

 録画していたドキュメンタリー番組を観た。12年前に初回放映された「赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~」という番組だった。
 あらためて仲代達矢という稀有な役者の偉大な足跡に共感した。撮影当時72歳だった彼も今や85歳を数える。撮影の8年前に最愛の妻であり同志でもあった宮崎恭子を膵臓癌で亡くしている。番組は恭子を亡くした後の喪失感からようやく脱して「老い」をテーマとした舞台に挑む仲代の姿を追っている。
 妻・恭子が立ち上げた俳優養成塾である無名塾を引き継いで若い俳優たちを育てる姿が描かれる。仲代の厳しく苛烈な指導を恭子が温かくサポートするという役回りが、恭子亡き後は仲代自身がその両方を使い分けながら指導しているという塾生の言葉が印象的だ。同志であった妻の役回りも引き受けながら喪失感に立ち向かっていたのだろう。
 仲代は「赤秋」という言葉を好んで使うようだ。「青い春(青春)」に対峙した意味合いなのだろう。燃えるような秋をひた走る自身の想いを重ねているのだろうか。
 久々に見応えのあるドキュメンタリーを味わった。

テレビ朝日「やすらぎの郷」2017年09月14日

 今年の4月3日から始まったテレビ朝日の倉本聰のオリジナル脚本ドラマ「やすらぎの郷」をかなり早い時期から観ている。セレブな老人ホームを舞台にした入居者であるリタイヤしたテレビ関係者たちが繰り広げるドラマである。平日お昼の12時半から20分間の帯ドラマで、この放映時間からもターゲットがリタイヤしたシニア層であることを窺わせている。
 このドラマにはシニア層を中心に視聴率をアップする多くの仕掛けがある。何よりも主演の石坂浩二をはじめ浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチスらが共演しシニア世代の郷愁を呼ぶキャスティングである。舞台の老人ホームもその豪華さは別にしてもいつかお世話になるかもしれない施設の実情を窺い知る上で興味深い。何よりも繰り広げられるドラマのが認知症、介護、看取り、遺産相続、断捨離等々、シニア世代に関わりの深いテーマが次々と取り上げられる。
 作者の脚本家・倉本聰は83歳である。主演の石坂浩二は77歳で、演じる役回りは往年の売れっ子脚本家・菊村である。テレビ界を知り尽くした脚本家の目を通して芸能界とシニアライフの様々な物語が描かれる。主人公・菊村のドラマでの言動は作者の倉本総の想いと重なる。シリアスでユーモラスなタッチで描かれるドラマは、シニアライフドラマともいえる新たなジャンルと放映時間の新たなゴールデンタイムを創造したかに思える。