NHKスペシャル・2030 未来への分岐点 「暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦」2021年01月15日

 NHKスペシャルの再放送番組「2030 未来への分岐点 ・暴走する温暖化 “脱炭素”への挑戦」を観た。地球温暖化問題と真正面に向き合った意慾的な番組だった。ネットで次のような番組紹介があった。
 「温暖化は新たなフェイズに入った。このままいくと早ければ2030年にも、地球の平均気温は臨界点に達するといわれている。それを超えていくと、温暖化を加速させる現象が連鎖し暴走を始める可能性が明らかになってきた。その時、私たちの暮らしはどうなるのか、どうすれば破局を回避できるのか。この10年歩むべき道を考える。」
 温暖化がもたらしている様々な災害の最新情報と未来の姿。国連やEUの温暖化回避に向けた意欲的な発信と取組み。科学者たちの危機感に満ちたメッセージ。悲惨な未来の当事者である若者達の告発と運動。テーマに即した様々な側面と多面的な視点からの問題提起は観る者に説得力のある共感をもたらしている。
 昨年10月に我が家の電力供給を大阪ガスのエネファームに切替えた。家庭で発電と給湯を同時につくり出す家庭用燃料電池である。水道光熱費全体の削減効果とともに都市ガスの水素を活用した発電でエネルギー消費量を約40%削減できエコ環境に貢献できるという点も切替の理由のひとつだった。12月中旬から電力供給が関電からエネファームに切り替わった。モニターでCO2削減量を葉、木、森の本数換算で確認できる。我が家の場合、約1か月で杉の木13本分の削減と示されていた。ささやかながら脱炭素に貢献していることに納得した。

NHK英雄たちの選択スペシャル 「古代人のこころを発掘せよ!!」2021年01月05日

 正月三日に放映されたNHKTVの「英雄たちの選択スペシャル ”古代人のこころを発掘せよ!!”を観た。「英雄たちの選択」は好きな番組のひとつである。今回は2時間の大型スペシャル番組で縄文・弥生・古墳、3つの時代を最新の発掘や研究成果から“古代人のこころ”を解き明かそうというNHKならではの壮大なものだった。
 それぞれの時代の特性を、縄文時代の個性的でミステリアスな「土偶」、弥生時代の奴国のテクノポリスともいうべき須久岡本遺跡、古墳時代のカラフルな幾何学模様で埋め尽くされた福岡の「装飾古墳」等を通して解説してくれる。
 古代のロマンあふれる謎解きを説得力のある映像と出演者たちのd専門分野ごとの解説で満喫させてもらえた。

NHKスペシャル「認知症の第一人者が認知症になった」2020年12月30日

 NHKスペシャルの再放送「認知症の第一人者が認知症になった」を観た。

 長谷川和夫医師(90歳)は、認知症のデイサービスを提唱し、「長谷川式」と呼ばれる早期診断の検査指標を開発した認知症医療の第一人者である。半世紀にわたって認知症治療に向き合ってきた長谷川さんが2年前に自らの認知症を公表した。「自身が認知症になって初めて君の研究は完成する」。このかつての先輩医師の言葉を噛み締めた末の公表だったようだ。NHKが1年にわたって長谷川さんとその家族の姿を記録し続けてきたドキュメンタリーである。

 認知症の第一人者の赤裸々な想いと葛藤がひしひしと伝わって胸を打つ。認知症治療の権威であるが故の当事者となって思い知らされる自分の振る舞いとの葛藤は痛々しい。

 自分が提唱し実践したはずの認知症デイサービスで、どうしようもない「孤独」を感じてしまう。一刻も早く自宅に戻り、自分の「戦場」である書斎に浸りたいと願ってしまう。そんな本音を娘さんに漏らす。家族のためにもデイサービスが大切と言ってきた人である。奥さんの負担が軽くなることを承知しながらデイサービスを利用したくないという。長い沈黙の後、「僕は死んでいくとき、どんな気持ちで死ぬのかな」と呟く。なぜそんなことを訊くのかという娘さんに答える。「周りはホッとするよね。きっと。俺はみんなに負担をかけているということは自覚しているつもり」。

 認知症の大家が吐く生のセリフに共感した。それこそがあるがままの認知症の姿なのだろう。

NHKスペシャル大戦国史2020年12月02日

 久しぶりに見応えのある歴史ドキュメンタリーを観た。NHKスペシャル大戦国史「激動の日本と世界」である。
 日本の戦国時代がヨーロッパの大航海時代と密接に結びつき、地球規模で世界の歴史と関わっていたという視点での迫真のドキュメンタリードラマだった。戦国の三人の覇者である信長、秀吉、家康がそれぞれにスペイン、オランダのヨーロッパ勢力と熾烈な駆け引きを繰り広げたというドラマが新たに入手されたヨーロッパ側の資料に裏付けられながら描かれる。
 三人が覇権を争っていた日本の戦国時代は、ヨーロッパでは超大国スペインと新興国オランダがアジアでの覇権を争っていた大航海時代だった。三人の覇権をめぐるそれぞれの思惑とヨーロッパの二大強国の思惑が絡み合う。
 個人的に興味深かったのは、スペインとオランダの日本の三人の覇者への接し方の違いである。ともに狙いは当時有数の産出国・日本の保有する国際通貨資源の銀である。キリスト教による植民地化の意図を持つスペインは銀獲得と合わせてキリスト教の布教の自由を条件とする。これに対し利益追求に徹したオランダは銀の代償として日本側の要求する武器弾薬を提供する。家康の実利優先の老獪な判断によって最終的にオランダが日本との利権を獲得する。
 初めて知った情報に戦国時代の終焉とともに余剰化した日本のサムライがオランダを介して東アジアの戦場に傭兵として進出していたという点がる。納得性のある視点だった。

朝の連ドラ女優・入江法子のインパクト2020年05月30日

 NHKの朝の連続ドラマ・エールが快調なようだ。個人的には番組自体にはそれほどの好印象はない。ただ最近登場した脇役女優さんのインパクトは大きかった。
 カフェの女給・希穂子役の女優・入山法子さんである。その美貌と儚げな雰囲気は竹久夢二の美人画を彷彿とさせる。ドラマの時代背景が大正ロマンを代表する美人画と彼女の女給という役柄の着物姿が見事にマッチしている。
 ブログで記事にしておきたいという女優に久々に出会った気がした。

アナザーストーリーズ「プロ野球ストライキ 逆転劇の舞台裏」2020年02月19日

 NHK・BSプレミアムの再放送、アナザーストーリーズ「プロ野球ストライキ 逆転劇の舞台裏」を観た。人気低迷と赤字に苦しむパリーグで近鉄とオリックスの合併が突然発表されたこに端を発したドラマである。
 ネットには次のような番組の紹介記事があった。「プロ野球の歴史で初めて選手たちが起こしたストライキ。球団合併・リーグ再編の波が野球界を大きく揺るがせた。今明かされる騒動の舞台裏とは?古田敦也らが赤裸々に語る!」
 番組は三つの視点から舞台裏を赤裸々に描いている。ひとつは当時の選手会長である古田敦也の視点から。ひとつは12球団の経営側の交渉代表者の視点から。今ひとつは近鉄球団の買収案をまとめて危機回避に貢献した経営コンサルタントの視点から。
 なんといっても古田選手会長の苦悩と決断が生々しく共感した。彼の決断と行動力抜きには今日の12球団の枠組みの維持はなかっただろうし、パリーグの再生もなかったのではないか。

BSプレミアム・バリバラドラマ 37セカンズ2020年02月01日

 NHKBSプレミアムのバリバラドラマ『37セカンズ』の再放送を観た。事前の予備知識は全くなく、NHKEテレのバリバラのドラマバージョンくらいの軽い気持ちで観始めた。ところが展開されたドラマはシリアスで重いものだった。
 何よりも主人公は脳性麻痺で車椅子生活者の実在の若い女性・佳山明(メイ)である。オーディションで選ばれたズブの素人の彼女が人生で初めての女優に挑んだ作品だった。本格的なドラマのヒロインを体当たりで演じている。障害者にとっての「性」というシビアなテーマに真正面からぶつかっている。母親との葛藤場面を本職の女優相手に臆することなくバトルを演じきっている。2019年ベルリン映画祭パノラマ部門で観客賞と国際アートシネマ連盟賞をダブル受賞した国際的にも評価の高い作品である。
 母親の過剰な介護から自立をめざして、新たな世界に踏み出していくヒロイン夢馬(ユマ)の姿は、危なげで痛々しい。それでも自分が障害者であることを前面に据えながら、介護とは無縁の健常者でも距離を置きたくなるような夜の世界を独りでさまよう。
 タイトルの「37セカンズ」は、生まれた時に37秒間呼吸が出来なかったことで身体に障害を抱えてしまったユマの人生の原点を象徴している。
 映画祭の授賞式で、メディアから「出演して難しかったこと、優しかったこと」を聞かれた佳山明が答える。「優しかったことは障害者のリアリティ(の表現)です」。当意即妙の何という見事なリアクションだろう。障害者のありのままの立ち位置こそが自分の強みであることをさりげなく告げている。その振舞いとその場の共感こそがバリアフリーなのだろう。

NHKスペシャル再放送「彼女は安楽死を選んだ」2020年01月04日

 NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」の再放送を観た。6月2日に放映された後、ネット上でも様々な意見が飛び交った番組である。ぜひ観ておきたいと思っていた。

 体の機能が失われる神経難病・多系統萎縮症と診断された51歳の女性。歩行や会話が困難となり、やがて胃瘻と人工呼吸器が必要になると宣告された彼女は、「私が私であるうちに死にたい」「自分で死ぬことを選ぶことは自分でどう生きるか選ぶことと同じくらい大切なこと」と考え、最終的にスイスでの安楽死を選択する。

 この番組に対し、日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏医師は、この
番組を「NHKの安楽死を美化する視聴率狙いの姿勢」として厳しく批判する。尊厳死という選択肢の大切さを訴え、安楽死との本質的な違いを念頭においた主張である。
 ネット上では次のようなコメントがあった。「51歳の女性の選択の根底に、何もできなくなる自分は生きている意味があるのかという疑問があるが、どんな姿でも、命あるかぎりは生きている意味がある。何もできない人は生きていちゃダメなのか。障害者とか認知症の人たちはどうなるの?という問いかけにつながる気がする」。同感である。
 私自身は人の生死は「あるがままに」が大前提だと思う。尊厳死(平穏死)とは「あるがままの死」という選択肢である。安楽死は人為的に死の選択を医師に委ねることであり、延命治療もまた人為的な命の延命である。いずれも受け入れがたい選択肢というほかはない。

BSスペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」2019年12月29日

 BSスペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」を観た。ネット上の番組紹介メッセージは以下の通りである。
 『舞台や映像の第一線で活躍してきた女優たちが結成した「夏の会」。広島・長崎で被爆した子どもや母親たちの手記などを読む朗読劇を毎夏、全国で巡演してきた。しかし、女優たちの高齢化の問題もあり、2019年を最後に活動に終止符を打った。戦争の記憶を風化させまいと12年間続けてきた女優たちの“最後の夏”に寄り添い、活動の原点にある “平和への願い”をどのようにして次の世代へバトンタッチしていく姿を見つめる。』
 1時間40分の見応えのあるドキュメンタリーだった。日色ともゑ、、山口果林、渡辺美佐子等の実力派女優たちが高齢を押して毎年夏に地方巡業をこなしてきた。移動はJR自由席中心のほとんど手弁当の巡業は高齢の身には苛酷なものだったに違いない。
 いつも緊張を強いられるという広島での舞台は格別なものがあるという。原爆被災者の子どもたちの手記の朗読シーンは胸打たれるものがあった。女優ならではの切々とした感情豊かな見事な朗読が観る者に迫ってくる。
 我が町の住民たちによる「戦争体験記」の発行を記事にしたばかりである。その直後のこの優れた番組を目にして感慨深いものがあった。

クローズアップ現代「がん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」2019年11月22日

 NHKクローズアップ現代「現役世代のがん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」を観た。自分自身が癌体験者でもあり、癌告知後の”魔の不安定期”の実感したので興味深く観た。
 冒頭、“がん”と告げられた後、適応障害やうつ病を発症し治療に影響が出るケースが多発しているとアナウンス。心が不安定になる告知後の“魔の不安定期間”をどのように過ごすかというのが番組のテーマである。結論から言えば、ごくありきたりな処方箋でしかなかった。医師とのコミュニケーションの大切さ、周囲の助けを積極的に求める、溢れる情報に惑わされない等々。
 私自身は、13年前に突然の皮膚癌を告げられた。1カ月後のCT検査とPET検査まで、言いようのない不安に襲われた。死の恐怖が同居する眠れない日々が続き、誰にも分ち合えない、自分だけで耐えるしかない恐怖が募った。結局、「なるようにしかならない」という諦観と割り切りで辛うじて精神の平衡を保つ以外に手はなかった。
 深刻な病であればあるほどそれを突き付けられた時の衝撃は大きい。「なぜ自分が?」という絶望感は深い。どれほど悩もうが与えられた現実は変わらない。ここで患者の『受け止め方』が問われることになる。突き付けられた現実は変えられなくとも、ポジティブに受け止めるかネガティブに受け止めるかは患者自身の選択である。
 「見舞客と交わされる患者の『頑張り』とは何か」。入院中に思ったことである。患者自身がネガティブになればなるほど本人の病を克服する気力を奪ってしまう。それは同時に患者をサポートする医師や看護師や家族の支援の気持を萎えさせることにつながる。患者のポジティブさこそが病克服の貴重なファクターである。それは患者を支援する回りの人達と前向きな関係を築く上で患者自身が対応可能な唯一の手立てでもある。『患者の頑張り』とは、患者自身が病とポジティブに向き合うことに尽きるのではあるまいか。