朝の連ドラ女優・入江法子のインパクト2020年05月30日

 NHKの朝の連続ドラマ・エールが快調なようだ。個人的には番組自体にはそれほどの好印象はない。ただ最近登場した脇役女優さんのインパクトは大きかった。
 カフェの女給・希穂子役の女優・入山法子さんである。その美貌と儚げな雰囲気は竹久夢二の美人画を彷彿とさせる。ドラマの時代背景が大正ロマンを代表する美人画と彼女の女給という役柄の着物姿が見事にマッチしている。
 ブログで記事にしておきたいという女優に久々に出会った気がした。

アナザーストーリーズ「プロ野球ストライキ 逆転劇の舞台裏」2020年02月19日

 NHK・BSプレミアムの再放送、アナザーストーリーズ「プロ野球ストライキ 逆転劇の舞台裏」を観た。人気低迷と赤字に苦しむパリーグで近鉄とオリックスの合併が突然発表されたこに端を発したドラマである。
 ネットには次のような番組の紹介記事があった。「プロ野球の歴史で初めて選手たちが起こしたストライキ。球団合併・リーグ再編の波が野球界を大きく揺るがせた。今明かされる騒動の舞台裏とは?古田敦也らが赤裸々に語る!」
 番組は三つの視点から舞台裏を赤裸々に描いている。ひとつは当時の選手会長である古田敦也の視点から。ひとつは12球団の経営側の交渉代表者の視点から。今ひとつは近鉄球団の買収案をまとめて危機回避に貢献した経営コンサルタントの視点から。
 なんといっても古田選手会長の苦悩と決断が生々しく共感した。彼の決断と行動力抜きには今日の12球団の枠組みの維持はなかっただろうし、パリーグの再生もなかったのではないか。

BSプレミアム・バリバラドラマ 37セカンズ2020年02月01日

 NHKBSプレミアムのバリバラドラマ『37セカンズ』の再放送を観た。事前の予備知識は全くなく、NHKEテレのバリバラのドラマバージョンくらいの軽い気持ちで観始めた。ところが展開されたドラマはシリアスで重いものだった。
 何よりも主人公は脳性麻痺で車椅子生活者の実在の若い女性・佳山明(メイ)である。オーディションで選ばれたズブの素人の彼女が人生で初めての女優に挑んだ作品だった。本格的なドラマのヒロインを体当たりで演じている。障害者にとっての「性」というシビアなテーマに真正面からぶつかっている。母親との葛藤場面を本職の女優相手に臆することなくバトルを演じきっている。2019年ベルリン映画祭パノラマ部門で観客賞と国際アートシネマ連盟賞をダブル受賞した国際的にも評価の高い作品である。
 母親の過剰な介護から自立をめざして、新たな世界に踏み出していくヒロイン夢馬(ユマ)の姿は、危なげで痛々しい。それでも自分が障害者であることを前面に据えながら、介護とは無縁の健常者でも距離を置きたくなるような夜の世界を独りでさまよう。
 タイトルの「37セカンズ」は、生まれた時に37秒間呼吸が出来なかったことで身体に障害を抱えてしまったユマの人生の原点を象徴している。
 映画祭の授賞式で、メディアから「出演して難しかったこと、優しかったこと」を聞かれた佳山明が答える。「優しかったことは障害者のリアリティ(の表現)です」。当意即妙の何という見事なリアクションだろう。障害者のありのままの立ち位置こそが自分の強みであることをさりげなく告げている。その振舞いとその場の共感こそがバリアフリーなのだろう。

NHKスペシャル再放送「彼女は安楽死を選んだ」2020年01月04日

 NHKスペシャル「彼女は安楽死を選んだ」の再放送を観た。6月2日に放映された後、ネット上でも様々な意見が飛び交った番組である。ぜひ観ておきたいと思っていた。

 体の機能が失われる神経難病・多系統萎縮症と診断された51歳の女性。歩行や会話が困難となり、やがて胃瘻と人工呼吸器が必要になると宣告された彼女は、「私が私であるうちに死にたい」「自分で死ぬことを選ぶことは自分でどう生きるか選ぶことと同じくらい大切なこと」と考え、最終的にスイスでの安楽死を選択する。

 この番組に対し、日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏医師は、この
番組を「NHKの安楽死を美化する視聴率狙いの姿勢」として厳しく批判する。尊厳死という選択肢の大切さを訴え、安楽死との本質的な違いを念頭においた主張である。
 ネット上では次のようなコメントがあった。「51歳の女性の選択の根底に、何もできなくなる自分は生きている意味があるのかという疑問があるが、どんな姿でも、命あるかぎりは生きている意味がある。何もできない人は生きていちゃダメなのか。障害者とか認知症の人たちはどうなるの?という問いかけにつながる気がする」。同感である。
 私自身は人の生死は「あるがままに」が大前提だと思う。尊厳死(平穏死)とは「あるがままの死」という選択肢である。安楽死は人為的に死の選択を医師に委ねることであり、延命治療もまた人為的な命の延命である。いずれも受け入れがたい選択肢というほかはない。

BSスペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」2019年12月29日

 BSスペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」を観た。ネット上の番組紹介メッセージは以下の通りである。
 『舞台や映像の第一線で活躍してきた女優たちが結成した「夏の会」。広島・長崎で被爆した子どもや母親たちの手記などを読む朗読劇を毎夏、全国で巡演してきた。しかし、女優たちの高齢化の問題もあり、2019年を最後に活動に終止符を打った。戦争の記憶を風化させまいと12年間続けてきた女優たちの“最後の夏”に寄り添い、活動の原点にある “平和への願い”をどのようにして次の世代へバトンタッチしていく姿を見つめる。』
 1時間40分の見応えのあるドキュメンタリーだった。日色ともゑ、、山口果林、渡辺美佐子等の実力派女優たちが高齢を押して毎年夏に地方巡業をこなしてきた。移動はJR自由席中心のほとんど手弁当の巡業は高齢の身には苛酷なものだったに違いない。
 いつも緊張を強いられるという広島での舞台は格別なものがあるという。原爆被災者の子どもたちの手記の朗読シーンは胸打たれるものがあった。女優ならではの切々とした感情豊かな見事な朗読が観る者に迫ってくる。
 我が町の住民たちによる「戦争体験記」の発行を記事にしたばかりである。その直後のこの優れた番組を目にして感慨深いものがあった。

クローズアップ現代「がん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」2019年11月22日

 NHKクローズアップ現代「現役世代のがん治療 “魔の不安定期間”をどう乗り越える?」を観た。自分自身が癌体験者でもあり、癌告知後の”魔の不安定期”の実感したので興味深く観た。
 冒頭、“がん”と告げられた後、適応障害やうつ病を発症し治療に影響が出るケースが多発しているとアナウンス。心が不安定になる告知後の“魔の不安定期間”をどのように過ごすかというのが番組のテーマである。結論から言えば、ごくありきたりな処方箋でしかなかった。医師とのコミュニケーションの大切さ、周囲の助けを積極的に求める、溢れる情報に惑わされない等々。
 私自身は、13年前に突然の皮膚癌を告げられた。1カ月後のCT検査とPET検査まで、言いようのない不安に襲われた。死の恐怖が同居する眠れない日々が続き、誰にも分ち合えない、自分だけで耐えるしかない恐怖が募った。結局、「なるようにしかならない」という諦観と割り切りで辛うじて精神の平衡を保つ以外に手はなかった。
 深刻な病であればあるほどそれを突き付けられた時の衝撃は大きい。「なぜ自分が?」という絶望感は深い。どれほど悩もうが与えられた現実は変わらない。ここで患者の『受け止め方』が問われることになる。突き付けられた現実は変えられなくとも、ポジティブに受け止めるかネガティブに受け止めるかは患者自身の選択である。
 「見舞客と交わされる患者の『頑張り』とは何か」。入院中に思ったことである。患者自身がネガティブになればなるほど本人の病を克服する気力を奪ってしまう。それは同時に患者をサポートする医師や看護師や家族の支援の気持を萎えさせることにつながる。患者のポジティブさこそが病克服の貴重なファクターである。それは患者を支援する回りの人達と前向きな関係を築く上で患者自身が対応可能な唯一の手立てでもある。『患者の頑張り』とは、患者自身が病とポジティブに向き合うことに尽きるのではあるまいか。

プロフェッショナル・仕事の流儀「吉永小百合スペシャル」2019年10月29日

 NHKのプロフェッショナル・仕事の流儀「吉永小百合スペシャル」を観た。同年齢の吉永小百合さんは、あまたの映画俳優の中でも特別親近感のある女優である。自分と同じ年齢を重ねる人物がスターとして映画やドラマを通してその変遷を見つめられるということの意味は大きい。
 その吉永さんが「プロフェッショナル」という番組に登場するのである。最初そのことを知った時、どこか違和感を覚えた。プロフェッショナルという言葉は吉永小百合という女優になじまないように思えた。
 番組は吉永さんの最新作の映画撮影の舞台裏にカメラが潜入し、その一部始終を記録したものだ。10か月にわたる密着取材を通して吉永さんの実像に迫るドキュメンタリーである。
 番組の中で彼女は語る。「60年間の女優生活を通して、自分をプロだと思ったことはありません」。番組は、彼女が作品の役づくりにひたむきに向き合い、自身が演じる人物の心情に愚直に迫る姿を伝える。演じる役はそのつど白紙の状態で彼女の前に横たわり、素人のような気持ちで誠実に向き合うことで演じきれるということなのだろう。
 清らかで凛とした佇まいを、よわいを重ねて尚漂わせる「最後のスター」をたっぷり味わった。

NHK日曜討論「どうする少子化 子育て支援は 社会のあり方は」2019年03月24日

 NHK日曜討論「どうする少子化 子育て支援は 社会のあり方は」を観た。幼児教育・保育を無償化するための法案の審議が始まっている。こうした動きを念頭に7人の専門家による60分の討論番組だった。この法案には様々な意見があり、個人的にも賛同し難いと思っている。そんな気持ちもあって興味深くこの番組を視聴した。結論的には様々な角度からの課題の整理という印象であり、踏み込んだ方向性は示されなかった。
 幼児教育保育の課題は、端的に言えば①待機児童対策②保育の質の確保③保育費負担の軽減という3点である。
 待機児童対策は保育園増設という量的な対応が欠かせないが、施設や保育士の確保が全く追いついていないのが現状だ。保育の質の確保は保育士の絶対数不足で質の低下が懸念されている。認可保育園と無認可保育園の質の格差も深刻だ。保育費負担の軽減はそれ自体は反対するものではないが、それに伴う副作用が大きい。無償化に伴いより多くの親たちが低額保育料で長時間保育が利用できるようになる。その結果、待機児童は増大し、一層保育士不足が発生し、保育の質は低下する。つまり上記課題の③を優先することで①②を悪化させることが必至だ。優先順位は保育士の処遇改善とセットでの保育士確保による質の確保であり、それを前提とした保育施設の拡充だ。
  幼児教育・保育の無償化法案は、幼児教育・保育の実態を踏まえた今後の在り方の全体像からは乖離していると言わざるをえない。この番組はあらためてそのことを認識できるヒントをもたらした。

NHKアナザーストーリーズ選「天皇いのちの旅(2)象徴への模索」2019年01月29日

 NHKアナザーストーリーズ選「天皇いのちの旅(2)象徴への模索」を観た。
 まもなく平成の時代が終わろうとしている。その時代を自らの意思で終わらせることを決断されたのはほかならぬ平成天皇である。伝統・しきたり・格式等が最も求められる皇室という世界での天皇のこれほどの決断を驚愕と崇敬の念をもって受け止めた。それはパートナーに美智子様という初めての民間出身者を自らの意思で選ばれたことにも共通する資質なのだろう。
 番組は憲法で”象徴”と位置付けられた自らの役割を皇后とともに真摯に向き合いその在り方を誠実に模索されてきた歩みを関わりのあった人たちの証言を織り交ぜながら伝えている。父・昭和天皇の事跡はあるものの、”象徴”という抽象的な役割を具体的に規定するものはない。自身の言動がそのまま”象徴”としての言動につながっている。なんという苛酷で孤独で重い役割だろう。平成天皇は30年の歩みを通してその苛酷な道のりを国民の共感とともに見事に踏破されたと思う。
 平成天皇の”象徴”についての在り方の姿勢は煎じ詰めれば「国民と同じ目線で国民とともに」ということに尽きるのではないか。大災害の被災者を見舞う際の床に膝まづいた励ましの姿、言われない差別に虐げられたハンセン病や水俣病患者たちに手を握り直接ふれあいながら見舞われる姿などはその姿勢を象徴している。両陛下は先の大戦で最も多くの犠牲者をだした沖縄に対する想いもことのほか深い。両陛下の沖縄訪問は即位後だけでも6回に及ぶ。「沖縄の苦難の歴史を思い、これからもこの地に心を寄せ続けていく」。皇太子時代の初訪問の際の過激派から火炎瓶を投げつけられた直後に発表された談話である。 国民とともに国民に身を持って寄り添うことが象徴天皇に課せられたかけがえのない役割と考えられたとすれば、高齢になりその役割が果たせなくなることは自らその地位を退くことにほかならないと決断されたとしても不思議でない。他方で国民と同じ目線で考えた場合、心身ともに苛酷な現役生活に自ら終止符を打つこともごく自然な選択でもある。
 番組を観終えてあらためて平成天皇の見事な”象徴天皇”の奇跡を噛み締めた。

NHKプレミアムドラマ「ダイアリー」2019年01月11日

 TV番組表でリビングウイルをテーマとしたドラマ番組を目にした。リビングウイルは目下の関心事であり見逃せない。その番組はNHKプレミアムドラマ「ダイアリー」の4話一括の再放送だった。録画しておいたドラマを観終えた。
 婚約中の主人公の若い女性の母親が意識不明の植物状態に陥った。娘はシングルマザーだった母親の残したリビングウイルと28年に及ぶ高校同級生との交換日記を見つける。延命措置の可否を迫られた娘はリビングウイルに込められた母親の真意を知るために母の郷里・金沢を訪ねる旅に出る。交換日記のメンバー3人と母の実家を訪ねる中で母の過去と娘への想いを知ることになる。更に母が頑なにその消息を明かさなかった父親との対面をもたらす。
 娘の金沢の旅は「周囲への思いやりを貫き、あるがままに誰にも頼らず生きてきた母の人生」を知る旅だった。そんな母の人生の終末期の過し方の選択こそがリビングウイルだった。娘はそんな母の想いをキチンと受け止め祖母の逡巡を押し切って延命措置を選択しないことを医師に告げる。
 3時間20分の見応えのあるドラマだった。リビングウイルの趣旨や意味を説得力ある展開で伝えていた。