TBS金曜ドラマ「コウノドリ第5話」2017年11月11日

 TBS金曜ドラマ「コウノドリ第5話」を観た。前回の第1回シリーズもちょうど孫の花ちゃん誕生と重なり欠かさず観ていた。今回のシリーズも相変わらず見応えのある感動的な物語が展開している。
 とりわけ第5話は涙が止まらなかった。死産(子宮内胎児死亡)をテーマとしたドラマである。切迫早産と診断され長期入院中のママ・瑞希が隣のベッドのママと赤ちゃん誕生に向けた喜びを語り合う。そんな喜びのシーンが次の健診で暗転する。エコーを診つづけていた主治医サクラが瑞希に告げる。「胎児の心音が確認できません」。自分のせいで命を宿せなかったのかと自らを責める瑞希は羊菓子店の店主である夫と泣き崩れる。夜遅くまで原因を探し続ける医師サクラ。母体の安全のため陣痛促進剤による早目の出産が行われる。命を宿さない胎児をママもパパも病院関係者も誰もがその誕生を祝福する。亡きベイビーの前にパパが心を込めた誕生ケーキを添える。
 出産という命を宿す営みの重さを、宿せなかった事例のトレースを通してあらためて思い知らされた。

BSプレミアム「英雄たちの選択・観応の擾乱」2017年11月10日

 NHKのBSプレミアム「英雄たちの選択・室町幕府ミステリー 観応の擾乱 史上最大の兄弟げんか!」を観た。室町幕府成立間もない頃の初代将軍・足利尊氏とその弟・直義の骨肉の争いである観応の擾乱のドキュメンタリーである。歴史的にはさほど注目されていないこの騒乱を二人のそれぞれの内面に分け入りながらそれぞれの重大な選択の過程と結果をコンパクトにまとめていた。
 印象的だったのは番組終盤で提示された「正しいこと」と「分かりやすいこと」の歴史的な意味合いとその結果についてのコメントだ。「正しいこと」よりも「分かりやすいこと」がしばしば勝利することは歴史が示している。正しいことにこだわった善意の人・直義は最終的に分かりやすい行動パターンで大衆を引き付けた尊氏に敗れ去った。
 教訓とすべきは「正しいか」「分かりやすいか」の二者択一ではない。「正しいことをいかに分かりやすく伝えるか」ということなのだろう。

NHKプレミアムカフェ「SL復活 C571よ永遠に」2017年10月06日

 NHKプレミアムカフェ「SL復活 C571よ永遠に」の再放送番組を観た。ネットでは次のような番組紹介がある。
 「貴婦人」の愛称を持つ蒸気機関車(SL)C57形。その1号機「C571」は山口線を走る「SLやまぐち号」として活躍していたが、引退の危機が迫った。2005年(平成17年)8月、九州を走るSLが老朽化を理由に運行を中止。これを機に「C571」を走る技術遺産として後世に残すため、2005~06年、解体大修理が行われた。「貴婦人」復活に奮闘する人々の半年間の記録である。
 5年前に息子夫婦と新婚間もない娘夫婦と一緒に我が家の夫婦6人でこのSLやまぐち号に乗車した。今思えば復活した貴婦人の6年目の乗車だった。復活に賭けた職人たちの熱い想いをあらためて噛み締めた。
 昭和12年製造の蒸気機関車の70年後の解体修理である。1万個に及ぶ部品が解体されオーバーホールされたり取替えたりしながら再び組み立てられる。その過程をSLを知り尽くしたひとりの職人が責任者として関わる様が描かれる。ハイテク時代にあって手作りの作業が延々と続く。その姿は技術者とは程遠い「職人」というほかない男たちの闘いの現場だった。「モノづくり大国・日本」の粋を極めた世界である。SLファンの末端に連なる身にはたまらない見応えのある番組だった。

NHKドキュメンタリー”赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~”2017年09月24日

 録画していたドキュメンタリー番組を観た。12年前に初回放映された「赤秋~仲代達矢・喪失からの出発~」という番組だった。
 あらためて仲代達矢という稀有な役者の偉大な足跡に共感した。撮影当時72歳だった彼も今や85歳を数える。撮影の8年前に最愛の妻であり同志でもあった宮崎恭子を膵臓癌で亡くしている。番組は恭子を亡くした後の喪失感からようやく脱して「老い」をテーマとした舞台に挑む仲代の姿を追っている。
 妻・恭子が立ち上げた俳優養成塾である無名塾を引き継いで若い俳優たちを育てる姿が描かれる。仲代の厳しく苛烈な指導を恭子が温かくサポートするという役回りが、恭子亡き後は仲代自身がその両方を使い分けながら指導しているという塾生の言葉が印象的だ。同志であった妻の役回りも引き受けながら喪失感に立ち向かっていたのだろう。
 仲代は「赤秋」という言葉を好んで使うようだ。「青い春(青春)」に対峙した意味合いなのだろう。燃えるような秋をひた走る自身の想いを重ねているのだろうか。
 久々に見応えのあるドキュメンタリーを味わった。

テレビ朝日「やすらぎの郷」2017年09月14日

 今年の4月3日から始まったテレビ朝日の倉本聰のオリジナル脚本ドラマ「やすらぎの郷」をかなり早い時期から観ている。セレブな老人ホームを舞台にした入居者であるリタイヤしたテレビ関係者たちが繰り広げるドラマである。平日お昼の12時半から20分間の帯ドラマで、この放映時間からもターゲットがリタイヤしたシニア層であることを窺わせている。
 このドラマにはシニア層を中心に視聴率をアップする多くの仕掛けがある。何よりも主演の石坂浩二をはじめ浅丘ルリ子、有馬稲子、加賀まりこ、五月みどり、野際陽子、八千草薫、藤竜也、ミッキー・カーチスらが共演しシニア世代の郷愁を呼ぶキャスティングである。舞台の老人ホームもその豪華さは別にしてもいつかお世話になるかもしれない施設の実情を窺い知る上で興味深い。何よりも繰り広げられるドラマのが認知症、介護、看取り、遺産相続、断捨離等々、シニア世代に関わりの深いテーマが次々と取り上げられる。
 作者の脚本家・倉本聰は83歳である。主演の石坂浩二は77歳で、演じる役回りは往年の売れっ子脚本家・菊村である。テレビ界を知り尽くした脚本家の目を通して芸能界とシニアライフの様々な物語が描かれる。主人公・菊村のドラマでの言動は作者の倉本総の想いと重なる。シリアスでユーモラスなタッチで描かれるドラマは、シニアライフドラマともいえる新たなジャンルと放映時間の新たなゴールデンタイムを創造したかに思える。

夏場の北海道マラソンを堪能した2017年08月27日

 テレビ番組表にマラソンの文字を見つけた。この猛暑にマラソン?どうせマイナーな大会だろうと思ったが、東京五輪マラソン代表選考対象レースでもある本格的な北海道マラソンだった。
 午前9時札幌大通公園スタートのレースをテレビ中継で満喫した。男女が同時スタートし、それぞれのレース展開を二重に味わえる。実際にレースは男女それぞれにドラマ性を帯びた見応えのある展開だった。
 このレースのもうひとつの興味は東京五輪選考会への出場権をかけたゴールタイムである。男子は1位で2時間15分以内か2~6位で2時間13分以内、女子は1位で2時間32分以内か、2~6位で2時間30分以内に入ることが条件となる。
 男子は序盤からスローペースで終盤まで設定タイム以内のゴールは絶望的だった。ところが終盤に抜け出した村沢明伸が懸命にスピードアップした。2時間15分の設定タイムをクリアできるかどうかゴール直前まで手に汗握る展開となった。結果的に2時間14分48秒で優勝し出場権を獲得した。
 女子は序盤から設定タイムを上回るペースで何人が2時間30分以内でゴールできるかという期待に満ちたレースとなった。優勝争いは後半に野上恵子が抜け出しそのまま独走してゴールするかに見えた。ところがいつの間にかペースを落とした野上をマイペースで刻んだ前田穂南が追い上げ終盤に一気に抜き去りそのまま2時間28分48秒で設定タイムを悠々とクリアしてゴールした。残るは野上が設定タイムをクリアできるかにかかった。こちらもギリギリのタイムだったが最後に惜しくも10秒余りオーバーし出場権獲得はならなかった。
 苛酷な夏場のマラソンでありタイム的には期待薄だったが、五輪出場権を絡めた設定タイムという仕掛けが思わぬ興趣をもたらした。

NHKBSプレミアム「アナザーストーリーズ ・オバマ大統領広島の地へ」2017年08月09日

 NHKBSプレミアム「アナザーストーリーズ 運命の分岐点▽オバマ大統領広島の地へ~歴史的訪問の舞台裏」を観た。テーマによって時々観ている気になる番組である。世界的な歴史上の大きな出来事にスポットを当て、その出来事に隠されたもう一つの物語「アナザーストーリー」を浮き彫りにする番組である。今回も見応えのある考えさせられることの多い好番組だった。
 冒頭、現職のアメリカ大統領が広島を訪問することのハードルの高さが解説される。その高いハードルを乗り越えるために日米両国で繰り広げられた様々な努力の舞台裏を伝える物語である。
 被爆都市・広島の想いを手紙に託して大統領に伝え続けた人々。広島で捕虜として収容され原爆で亡くなった12人の米兵の消息を独力で調査し遺族に伝えた広島市民。毎年自ら広島を訪れ大統領に広島訪問を訴え続けたキャロライン・ケネディ駐日大使。大統領と二人三脚で広島訪問時のスピーチ原稿を練り上げたスピーチライター等々。
 それにしてもオバマ大統領のスピーチの素晴らしさに感動した。美辞麗句ではない自身の理想、信念、熱い想いが籠められているからこそのスピーチなのだろう。大統領訪問の同行者として安倍首相がしばしば画面に登場する。その姿は虚ろで精彩はない。その1年後に唯一の被爆国でありながら日本は多数の国が参加する核兵器禁止条約に不参加を表明した。その決定を下した最終責任者である安倍首相の心情がオバマ大統領同行の姿にも垣間見えたと思った。自ら招いた「もりかけ」問題に空疎な弁明スピーチを繰り返す首相との余りにも大きな落差を想った。

THE歴史列伝「日本民俗学の父 柳田国男」2017年07月04日

 歴史番組が好きだ。BS-TBSの「THE歴史列伝」もお気に入り番組のひとつだ。先日再放送の「日本民俗学の父 柳田国男」を観た。郷里・姫路に隣接する福崎町出身の日本民俗学の創始者である。柳田国男の生涯がその足跡や思想の変遷とともにコンパクトにまとめられた好番組だった。
 生い立ち、文学への傾倒、親友・田山花袋との出会いと絶望、農村支援の農政官僚としての富国強兵の国策との葛藤、農村伝承の収集と「遠野物語」の発表、南方熊楠との交流と神社合祀反対活動、退官と農村文化の調査研究、民俗学の誕生といった展開である。1時間の番組が息もつかせぬドラマのようにあっという間に終わった。柳田国男という在野の偉大な研究者のドラマチックで壮大な人生に共感するとともに「民俗学」というジャンルにあらためて魅せられた。
 グローバル資本主義というモンスターが地球を席巻し、究極の格差社会を生みだし、「改革」というまやかしの大義を振りかざし地域社会を分断・破壊しつつある。民俗学とはその対極の位置にあるローカリズムのバックボーンともいうべき学問ではないだろうか。それは日本人のアイデンティティの追求であると同時に地域に根ざしたカルチャーの砦づくりの営みでもある。
 山口風土記という地域の風土やカルチャーをテーマとした公民館講座を15回に渡って開講した。後半は名塩、道場、有馬の隣町の風土記だった。振り返ればそれは私にとってのささやかな民俗学との関わりでもあった。

英雄たちの選択「“知の巨人”南方熊楠の闘い 熊野の森を守れ!」2017年03月24日

 好きな番組のひとつであるBSプレミアム「英雄たちの選択」の録画を観た。今回は「“知の巨人”南方熊楠の闘い・熊野の森を守れ!」である。かねてから南方熊楠という興味深い人物のまとまった人物像を知りたいと思っていた。好きな番組で取り上げられたので躊躇なく録画した。
 見応えのある番組に仕上がっていた。前半は「知の巨人」という形容にふさわしい熊楠の前半生の知の探究の足跡が紹介される。その研究分野は粘菌の研究をはじめとして博物学、民俗学、人類学、植物学、生態学など多岐に及ぶ。そのバックボーンには英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ラテン語、スペイン語に長け、漢文の読解力も高く古今東西の文献の渉猟がある。イギリスの著名な科学雑誌『ネイチャー』誌に生涯で51本の論文が掲載されていることでも彼が世界的な逸材であったことがわかる。
 番組では熊楠が生涯で出会ったかけがえのない三人の人物を紹介する。イギリス留学中に出会った孫文、神社合祀令の反対運動で支援を仰いだ柳田邦夫、和歌山県の神島僥倖に際して御進講した昭和天皇である。その出会いの共通項は、固有文化の尊重、自然との共存、生物の多様性や生態系の維持といった点にある。
 100年前の明治・大正期に果敢な人生を生き抜いた南方熊楠という「知の巨人」の足跡にあらためて脱帽した。

TBS金スマ「若年性アルツハイマー認知症と闘う夫婦」2017年02月18日

 昨晩、TBS金スマ「若年性アルツハイマー認知症と闘う夫婦」という番組を観た。アルツハイマー型認知症をテーマとした番組は何度か観たが若年性アルツハイマーを取上げた点に注目した。
 映画制作会社を立ち上げたバリバリの実業家が48歳という若さでアルツハイマーと診断される。外見的には何ら健常者と変わらない。奥さんが異常に気ついたのは車で出かけたご主人が電車で帰宅し、そのことを全く認識していないという出来事が発端だという。脳の萎縮が原因のアルツハイマーは若年であるほど進行が早い。ある時を境に一気に進行した。バッグのファスナーを開けて中のものを取り出すといった物事の手順が分からなくなる。
 それでも妻と一男二女の家族は明るい。一家の大黒柱の病をありのままに受け止め補い合う。長男が健気に父親をサポートし妹たちを気遣う。何よりも教えられたのは奥さんの接し方である。認知症をありのままに受け止めご近所さんにも隠すことなく告げる。その上で様々な懇親の場を設けてご主人にも一緒に設営作業を分担してもらう。
 番組で専門医が指摘する。認知症の進行をどれだけ遅らせられるかは生活スタイルに関わっている。認知症を本人や家族が特別視するのでなく普通の日常生活の中で過ごせることが大切。
 気づかされる点が多々あった番組だった。