時代を映すテレビドラマ2024年02月12日

 1月からテレビで多くのドラマが放送開始した。タイトルやネットの情報等で気になったドラマをビデオ録画して時間のある時に観ている。
 幾つかを観て思ったことがある。テレビドラマは時代を映す鏡にようだ。LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)といった性的少数者をテーマとしたドラマが多い。一方で経済的に力のある隣国の中国人や韓国人を主人公や準主人公に据えたドラマも目についた。
 いずれも従来主流でなかったテーマを扱ったドラマである。それが相次いでドラマ化されているのはそれだけ視聴者に受け入れられる土壌があるということだろう。個人的には後期高齢者世代であり、そうしたテーマのドラマに幾ばくかの違和感がないわけではない。それでもそうしたテーマを受止め理解したいという感性は持ち合わせている。
 多様な人が多様な価値観や嗜好をもって共生していく社会が徐々に定着していることを歓迎したい。

NHK「光と影、永遠の都ローマの物語」2024年02月03日

 NHK・BSテレビ「光と影、永遠の都ローマの物語」を観た。ローマの様々な姿がいかんなく映し出されている。懐かしい風景の数々に癒された。
 19年前に家内と結婚前の娘の3人で7泊8日のイタリア家族旅行に出かけた。6都市を巡る個人旅行で非日常の旅の醍醐味を存分に味わった。とりわけローマには3泊しフォロロマーノを始めぜひ観ておきたかった数々のスポットを訪ねた。
 番組を観ながら初めてのイタリア家族旅行の思い出をめぐらせた。その旅行記は個人ホームページにも投稿している。7ぺージのサイトに分けて綴った膨大な旅日記である。
 番組を観終えて、あらためて「ローマ人の物語紀行」と題したホームページを読み返した。 https://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/tabi-italia1.htm

NHK・BS「フロンテアズ”日本人とは何者なのか」2023年12月14日

 NHK・BSの「フロンテアズ”日本人とは何者なのか”」という番組を観た。次のような番組紹介のNET記事があった。「今、日本人のルーツに関する常識が覆ろうとしている。カギを握るのは、『古代DNA解析』。数万年前の骨から大量の情報を読み出す驚きの技術だ。浮かび上がってきたのは“最初の日本人”の意外な姿。アフリカから最初に東アジアにやってきた人類との密接なつながり。世界にも類を見ない文化の誕生。そして、今の日本人のDNAを決定づける “謎の集団”との混血の証拠。最先端の科学技術によって、私たち日本人の祖先観が覆る。」
 知的好奇心が大いに満たされた番組だった。アフリカから日本列島に辿り着いた集団は縄文人として生き延びた。その後、稲作技術を持った弥生人が朝鮮半島を経て住み着き、縄文人と融合しながら日本人として定着したというのが定説だった。
 番組では古代DNA解析を基に、縄文人は従来の定説を覆し、タイの奥地に住む”謎の集団”「森の民・マニ族」との混血であることを紹介する。更に日本人のルーツを縄文人と弥生人の二重構造という定説も覆す。現代の日本人にはDNA解析から第3のDNA特性があるという。その第3のDNAは弥生時代の後に続く古墳時代の庶民のDNA分析から古墳時代に大陸から多様で大規模な集団が渡来したと考えるしかないという。いわば日本人は遺伝的に縄文人、弥生人、古墳人の三重構造を持った民族というのが最先端の古代DNA解析の結論のようだ。
 日本人の”大和民族”という単一民族説を根底から覆す学説にただただ驚愕するばかりだった。

がっちりマンデー ”儲かる「note」”2023年12月03日

 毎週日曜朝7時30分から放送のTBS「がっちりマンデー」を欠かさず観ている。その時々の”旬”の企業、商品、店舗等の情報をタイムリーに伝えてくれる番組である。番組を通して各分野のトレンドを知ることができる。時にそれは地域活動や私生活にも応用可能な生きた情報として重宝している。今朝は”儲かる「note」”というテーマで今話題のブログサイト(配信サイト)の紹介だった。
 「note」(ノート)は「文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を配信するウェブサイト。運営者はnote株式会社。2014年(平成26年)4月7日、サービスを開始.」(Wikipedia)ということだ。
 番組ではnote株式会社の社長をゲストに迎えて「note」のもつ様々な機能と魅力を紹介している。端的に言えば、クリエイターと呼ばれる一般人が記事を投稿し、ネットユーザーである読者がもっと読みたいと思えば課金して続きを読むという仕組みのようだ。課金の一部がnoteの手数料となるためnoteの編集者が記事の魅力アップのため専門的なアドバイスをしたり、AI編集者が具体的な記事修正提案までしてくれるという。トッップクラスのクリエイターだと月1000万円も稼ぐとのこと。
 個人的にもブログの毎日更新を続けている立場からは何とも魅力的である。多くの人に伝えたいという想いをネット上で形にするインフラのようだ。それが魅力的であればあるほど結果的に課金という形で収入につながるのがnoteの仕組みという社長のコメントに共感した。

NHK・クロ-ズアップ現代”地球沸騰化”2023年12月01日

 NHKクローズアップ現代の2夜連続番組”シリーズ地球沸騰化”を観た。第1回は「“気候難民”故郷追われた先に」をテーマに、第2回は「森林大消失“負の連鎖”断ち切る闘い」をテーマに放送された。番組キャスターの桑子アナウンサーがアフリカの現地を訪ねて取材した骨のある野心的な番組だった。
 突如としてコロナ禍が世界を襲い、ロシアのウクライナ侵攻が勃発した。こうした予期せぬ事態が”地球温暖化”という人類共通の危機をここしばらく片隅に追いやってしまった感がある。
 ところが今年の7月に「地球温暖化」という言葉では表現しきれないほどの猛暑が世界各地で発生した。これを受け、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は記者会見で「地球沸騰化の時代が到来した」と語り、「地球沸騰化」という言葉は瞬く間に世界中に広まった。
 番組はこの「地球沸騰化」の具体的な現実を現地取材で追ったものだ。”気候難民”という発展途上国を中心に広がる理不尽で過酷な実態に心が締め付けられた。そして世界各地の森林が急速に消失し、それが気候変動に拍車をかけるという“負の連鎖”が起きているという現実に心底危機感を覚えた。
 今や”地球温暖化”という生易しい状態でなく”地球沸騰化”であることを教えられた。ウクライナやパレスチナで続いている愚かな戦争を一刻も早く集結させて、沸騰化する地球の鎮静化の取組みに向き合わなければならない。

NHKスペシャル「台頭する“第3極”インドの衝撃を追う」2023年07月17日

 「NHKスペシャル 混迷の世紀 第10回 台頭する“第3極” インドの衝撃を追う」を観た。ネット上に以下の番組紹介記事があった。
 「今月、人口が世界一となったとされるインド。政府が整備したデジタル・プラットフォームを推進力に急成長、ユニコーン企業が次々と誕生している。その技術は今、アフリカなどグローバル・サウスの国々に広がり始め、インドの存在感を高めることにつながっている。そしてモディ首相は、ロシアとの結びつきを保ちながらアメリカとも協力を深め、したたかに実利を得ている。独自の技術と外交で台頭する、インドの“衝撃”を伝える。」
 インドが中国を抜いて世界一の人口となるという報道に接した時、少なからず衝撃を覚えた。あの巨大国土を擁する人口大国・中国を超える国があることが信じられなかったからだ。反面で習近平体制の強権支配の中国に対峙するインドの影響力拡大に拍手する気分もないではなかった。
 今やインドは単に人口世界一だけの大国ではない。GDP世界ランキング5位の経済大国であり、2027年には日本を抜いて世界3位となると予測されている。
 番組では、インドの経済成長を加速させている政府主導のデジタル・プラットフォームに焦点を当てる。国民の生体情報を個人情報と合わせて個人IDとして登録。それをベースにデジタル決済システムを構築し、民間企業が自由に利用できるようにしている。この技術によって、これまで銀行口座を持てない人が多かった農村地域の8億人以上が市場経済に組み込まれることになったという。
 かつて人口の多さは貧困の高さに比例していた。ところが生体認証というリスクの大きなデジタル技術が新たな経済市場を生みだしたことに驚愕した。
 インドを率いるのは在任10年近い72歳のモディ首相である。ロシアのウクライナ侵攻を皮切りに米欧と中ロの分断と亀裂が顕著である。この二つの流れに距離を置くグローバル・サウスが第3極としての影響力を高めつつある。モディ首相はグロバル・サウスの盟主としての存在感を増してきた。

NHKクローズアップ現代”学童落ちた!仕事どうする?”2023年06月24日

 先日、娘家族が帰省した際に小2の孫娘の子育てについて雑談した。典型的な共働き世帯で、大津市在住の娘は1時間程かけて通勤している。コロナ禍で在宅勤務にシフトしていたが再び通勤のウエイトが増えてきている。”学童保育”で凌いでいるが、子育てと仕事の両立は依然として悩ましい問題のようだ。
 そんな時、NHKのクローズアップ現代で”学童落ちた!仕事どうする? 追跡“学童保育クライシス”という刺激的なタイトルの番組が放映されていた。番組を観終えた後、ネットでNHK学童保育取材班の「学童保育から見える“今の子どもたち”のリアル」と題する番組解説記事を見つけた。 https://www.nhk.or.jp/minplus/0028/topic043.html
 地元小学校の”学童”に多少かかわった経験もあり、”学童”が抱える課題や問題点がよく整理されていことが分かった。
 「今の子どもたちの公園等の外で遊ぶ時間の減少」「外遊びが減ったことで時間、空間、仲間の3つの間が失われている」「保育園の待機児童数が減り続けているのとは対照的に、学童保育の待機児童数ほぼ横ばい」「狭い部屋でぎゅうぎゅうになって過ごす学童の現実」等々。
 ”学童”に関わりのなかったオジサン世代にはぜひお勧めのサイトである。

BS世界のドキュメンタリー「バルト海の憂鬱 ウクライナ侵攻の波紋」2023年05月18日

 NHK・BS世界のドキュメンタリー「バルト海の憂鬱 ウクライナ侵攻の波紋」を観た。ネット上には下記の番組紹介記事があった。
 「ヨーロッパで古くからの地政学的要所であるバルト海。沿岸にはロシアの飛び地カリーニングラードもある。ウクライナ侵攻以来の緊張の高まりと周辺諸国の対応を読み解く。冷戦後、バルト海の往来が活性化しても、周辺諸国のロシアへの不信感は続いていた。2014年のクリミア併合を受けて各国は軍備を強化。そしてウクライナ侵攻が始まると、旧ソ連諸国は「明日は我が身」と身構え、中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンは一転してNATOへの加盟を希望した。沿岸諸国の危ういバランスを解説。」
 48年前に労組役員のひとりとして今はロシアとなったソ連邦を訪問する機会を得た。訪問先のひとつがバルト海沿岸のラトビア共和国の首都リガだった。
 この番組はそんなバルト海の沿岸諸国のロシアのウクライナ侵攻に揺れ動く今を克明に伝えていた。番組ではバルト海とその沿岸諸国の地勢学的な意味をマップをつけて紹介している。あらためてマップに示されたラトビア共和国の危うさを理解した。
 番組ではバルト海周域の10カ国とヨーロッパ委員会で構成される「バルト海沿岸諸国評議会」についても紹介されている。初めて知った国際組織である。従来ロシアも加盟していたが、ウクライナ侵攻直後の5月に脱退した。現在の加盟国はデンマーク、エストニア、フィンランド、ドイツ、アイスランド、ラトビア、リトアニア、ノルウェー、ポーランド、ロシア、スウェーデンである。
 地図で見ると、バルト海沿岸をほぼ網羅しているが、唯一リトアニアとポーランドに挟まれたロシアの飛び地・カリーニングラードだけが非加盟である。ロシア海軍のバルチック艦隊司令部が置かれ、ロシアでも有数の工業都市である。
 バルト海沿岸諸国の緊張感あふれる現在の新たな知識を教えられた番組だった。

BS-TBS「藤圭子熱唱 名曲秘話と波瀾の人生」2023年03月05日

 TV番組表で気になる番組が目についた。BS-TBSの「藤圭子熱唱 名曲秘話と波瀾の人生」という番組である。録画してじっくり観た。
 藤圭子は私だけでなく同世代の特にオヤジたちには印象的で魅力的な歌手ではなかっただろうか。ドスの効いたハスキーボイスと圧倒的な歌唱力は、その可憐な風貌とのギャップとも相まってきゅおうれつなインパクトをもたらした。
 ♪15、16、17と 私の人生暗かった 過去はどんなに暗くとも 夢は夜開く♪ 
この「圭子の夢は夜ひらく」の歌詞のイメージは、彼女の人生そのものだった。浪曲師だった父母に連れられて少女時代を”どさ回り”で過ごした。中学卒業後は貧しい生活を支えるため進学をあきらめ、歌謡大会に出場。その姿がある作曲家の目に留まり、上京。幾つかのオーディションを受けるが惨敗し、錦糸町や浅草などで母と流しをする。それでもファーストアルバム「新宿の女」を皮切りにヒット曲を連発し、押しも押されぬ演歌歌手として大成する。華やかな歌手生活とは裏腹に私生活は恵まれない。前川清との結婚生活は1年で破綻し、宇多田照實と再婚し宇多田ヒカルをもうける。宇多田ヒカルの歌手デビューと入れ替わるように歌手生活から引退する。晩年には精神疾患を病み62歳で自殺する。光と影を宿した波乱万丈の人生である。 
そんな藤圭子のヒット曲の紹介と波瀾の人生を綴った2時間番組を堪能した。

BS-TBS「通信簿の少女を探して」2023年02月22日

 BS-TBSで放送された「通信簿の少女を探して~小さな引き揚げ者 戦後77年あなたは今~」を観た。共感を呼ぶ見応えのあるドキュメント番組だった。
 番組ディレクターが偶然手にした画家・ゴーギャンの古書に1枚の色褪せた通信簿が挟まっていた。昭和23年卒業の⼤分県別府市の
小学6年生の少女のものだった。体育の「良」を除いて全科目「優」の優秀な成績だが、担任教師のコメントには「人望に欠ける」と指摘されている。この印象的な通信簿を本人に届けたいという想いが、少女を探す旅路の始まりとなった。
 手掛かりが殆どない少女を探す苦難の旅路が続く。それでも少しずつ足掛かりを得て前進する。その過程をサスペンスドラマにも似たハラハラ感で視聴する。当時、別府に多かった満州からの引き揚げ者ではないかという糸口が旅路を大きく前進させる。
 これまで、大陸からの”引き揚げ者”という戦中・戦後の欠かせないファクターについて真正面に受止めて考えることはなかった。今回のこの番組ではからずもそのテーマに初めて本格的に向き合ったきがする。この番組の主たるテーマはその点にあったと受け止めた。
 小学校の卒業写真が発見され大柄な少女の姿が映される。番組の最後の関心は否応なく成績優秀で孤立感のある大柄な”通信簿の少女”が見つかるかということに絞られる。そして最後にその少女の80年近い歳月を経た老後の姿が登場する。インタビューに答える彼女のイメージは老いを感じさせない気丈で明快な意思を伝えられる女性だった。その期待以上に存在感のある毅然とした、そして在りし日の美しさを漂わせた姿に思わず拍手した。
 爽やかさをもたらした見応えのある番組だった。