ロドス島・聖ヨハネ騎士団の城塞都市2008年10月15日

 船上のベッドであることを忘れさせるかのようにぐっすっり眠っていた。6時のモーニングコールがようやく眠りを破った。朝食を6階のデッキビュッフェでとり、7時40分にツアーメンバーが集合しロードス島観光に出かける。既に船はロドス・シティーの旧市街に面した商港の西側の外港に接岸していた。岸壁で待っていた観光バスに乗込み南へ55kmのリンドスに向かう。現地ガイドは今日も英語ガイドのカテリーナさんという60代の女性だ。
 約60分で古代都市の面影を色濃く残すリンドス村に到着する。岬の先に周囲を真っ白な家並みに囲まれて建つアクアポリスの見事な姿を見せている。バスステーションから徒歩数分先のスクエア(広場)が出発点だ。そばにロバがたむろし乗客を待っていた。ここから土産物店の立ち並ぶ石畳のジグザグの坂道をひたすら歩き丘の頂を目指す。ようやく辿り着いたアクアポリスの麓の入口には、岩を彫りこんだガレー船のレリーフがある。石段を登りきると、城壁に囲まれて数本の円柱を中心とした広場に遺跡が残る古代都市・アクアポリスの全貌が現われた。城壁の防戦用の隙間からは左手には限りなく青いエーゲ海の水平線が見渡せる。右手には白壁と赤い屋根でぎっしり埋め尽くされたリンドス村の家並みが広がっている。登り道の途中から別ルートで降りる。石のアーチ門を入口とした風情のあるカフェがあったりロバ道で乗客を乗せたロバと出会ったりした。
 10時45分にリンドスを出たバスがロードス・シティー旧市街入口に着く。北のアンボイス門から聖ヨハネ騎士団が築き上げた城塞都市に入城する。いよいよ今回のツアーで最も楽しみにしていた塩野七生さんの「ロードス島攻防記」の舞台の散策が始まる。幾重にも巡らされた城壁の先に騎士団長宮殿がある。その南側を海に向かって騎士団通りと通称されるイポトン通りが続く。左右にはイタリア、フランス、プロヴァンス等の騎士団を構成した各国の館がある。戦記にもしばしば登場する道である。騎士団通りの突き当たり右手の広場に出る。正面には大きな石造りの建物・考古学博物館がある。騎士団の存在理由のひとつでもあったキリスト教徒たちへの医療を施すための病院だった建物である。ツアーガイドはここで終了し20分のフリータイムとなる。独りでぜひとも観ておきたいと思ったスレイマン・モスクを訪ねた。博物館の南の通り西に進み一度右に折れすぐを更に西に向った先に玉ネギ型の屋根を持つモスクが見えた。聖ヨハネ騎士団を破ったオスマントルコの大帝スレイマンがその直後に建造したものだ。
 ツアーに合流しバスで船に戻った。昼食をとった後、再び個人で旧市街散策に出かけた。2時半発のバスで何人かのツアー仲間も含め旧市街入口のバスステーションまで行き、後は夫婦二人の自由散策である。湾に沿って半円形に続く城壁の外を北の岬まで歩く。岬の北側にはエーゲ海に向って突き出た新市街の町並みと先端の砦の美しい風景が広がっている。北の入口ナバリノウ門から旧市街に入り、家内のニーズ中心に土産物店を物色しながら散策する。姉妹らしき二人の美しい娘さんが店番をする店でちょっとした土産物をもとめる。つたない英語のやり取りが楽しい。
 バスステーションには3時半発のシャトルバスがいない。12分の道のりを歩いて船まで戻った。6時40分の夕食集合時間までをシャワーを浴び、身支度を整え、ブログ原稿を入力やベッドでの休息で過ごした。
 夕食はドレスコード・フォーマルの選択制のコース料理だ。昨日より一層おしゃれな服装の女性たちがテーブルを囲んでいる。日本人グループの中には和服姿の男女も見受けられ、事前事後のケアを想像してその意気込み
に頭が下がる。9時半を過ぎてディナーを終え、ショーラウンジに席を移す。キャプテンのカクテルパーティーに参加するためだ。会場入口でワインやシャンパンやソフトドリンクを受け取る。ステージでは白い制服に身を包んだキャプテンによる各部門の責任者たちのユーモアたっぷりの紹介が始まっている。英語のトークを理解しながら聴いたわけではない。多数を占める英語圏観客たちのしばしば沸き起こる笑いが、キャプテンのユーモアを教えていた。パーティーから戻り、10時過には眠りに就いた。

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