NHKスペシャルの「縮小ニッポンの衝撃」2016年09月28日

 NHKスペシャルの「縮小ニッポンの衝撃」を観た。番組冒頭、昨年の国勢調査で日本が歴史上初めて人口減少に転じたことが告げられる。本格的な人口減少社会を迎えたことを突きつける鮮やかな切り口である。
 番組は人口減少社会が突きつける苛酷な現実を描いていく。自治体の倒産ともいうべき「財政再生団体」になった唯一の都市・夕張市の徹底した行政効率化の姿が映される。公園や図書館を廃止し医療機関すらも縮小させる。象徴的なのはかつては1200世帯が住み今や260世帯にまでなった市営団地の「政策空き家」の施策である。1世帯だけ居住する建物が団地内に点在するためインフラ維持のコストは膨大である。そこで将来の取り壊しを前提に、建物が丸ごと空き家になるよう行政が誘導するという手法で最終的に4棟ほどに集約化するという。
 島根県雲南市の行政サービスを活動資金を交付して住民組織に肩代わりしてもらう仕組みが紹介される。ところがその仕組みも導入10年を経て新たな段階を迎える。高齢化と人口減少化の進展で仕組み自体の維持が困難になってきた。ある地域では「集落維持のため人口に見合った規模に生活圏を縮小する」ことが迫られている。分散する集落のリストラを進め中心部に集約化する手法のようだ。
 山口地区も既に人口減少社会を迎えている。少子高齢化の進展も著しい。新旧を問わず住宅街の空き家も目につきだした。それでも住民にそれほどの危機感はない。住民組織の関心は尚「活性化」にあるようにみえる。「人を集めるためのイベント」の開催が盛んだ。果たしてそれでよいのか。「縮小社会」にあって最優先の課題は「インフラの維持」ではあるまいか。番組が示唆したものはこの点だったように思えてならない。

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_ みれいの近郊生活(ITI) - 2016/09/30 23:48

9月25日に放送されたNHKスペシャル「縮小ニッポンの衝撃」[サイト→]
をテレビで見て、わたしは
‘無理して住み続ける’のも‘下手に引っ越す’のもどちらも寿命
を縮めかねないと感じました。

わたしは女に生まれてこなかった(夕張市長も)ので子どもを産むと
いうわけにはいきませ...