高齢者年齢の揺らぎ2016年09月10日

 地区民生・児童委員会の定例会があった。今回は毎年恒例の高齢者実態把握調査の実施確認が中心議題である。市の担当者から今回の実施要領についての説明があった。
 今回調査では大きな変更点があった。調査対象者を従来の65歳以上の高齢者から70歳以上の高齢者に引上げ、特に必須調査の対象を70歳以上の「独居」世帯と「高齢世帯(世帯員の全てが70歳以上)」に絞り込んだ点である。背景には調査を担当する民生委員からの高齢化に伴う対象者増についての負担増の声があったようだ。他方で60代後半の対象者の高齢者とみられることへの違和感も多いという。
 今回の変更に伴って懸念される点もある。高齢者とは何歳からかという定義に関わる問題がある。WHO等の国際機関でも日本国内の人口統計上も65歳以上が高齢者とされている。市の高齢者対策でも65歳以上を高齢者として様々な施策が講じられてきた筈だ。これまでの民生委員の高齢者実態把握調査の集計結果はそうした施策の基礎データだったのではないか。今回の変更で従来のデータや施策との整合性をどのように行うかが問われよう。他方で高齢化の進展による民生委員の負担増という現実も無視できない。民生委員のなり手がなく欠員が多い中では尚更である。
 結局、実際の調査では従来の65歳以上の対象者も引続き任意で調査するという選択肢も残された。そのため市から配布された調査リストには65歳以上の対象者が記載されている。アパート等の賃貸住宅の多い市街地などでは戸建分譲住宅中心の新興住宅街に比べて実態把握調査は困難な場合が多い。そうした地域特性に応じた対象者の選択はやむを得ないのかもしれない。超高齢社会になり高齢者の定義の見直しも必要になるかもしれない。そうした点も含めて今回の変更は受入れる他ないと思った。