かたつむり2024年04月23日

 雨上がりの散歩道だった。住宅街のバス通りの歩道を歩いていた。濃いグレーの舗装路に淡いベージュの小さな生き物らしき物体が目に入った。全長5cmほどのカタツムリだった。丸い殻を背負ってゆっくりと這っていた。
 Wikiによると「陸貝(陸に生息する腹足類)のうち、殻のないものを大雑把に”ナメクジ”、殻を持つものを”カタツムリ”と呼ぶようだ。ナメクジとカタツムリが同族であることを初めて知った。また角のようにみえるのは触覚であり先端には目がついていることも知った。
 子どもの頃によく目にした雨の日の庭木の幹に這っているカタツムリを懐かしく思い出した。

春真っ盛り2024年04月19日

 目覚めたのは朝6時過ぎだった。いつもより1時間以上遅かった。”春眠暁を覚えず”を悟った。
 6時半頃に自宅を出て穏やかな春の気候を歩いた。最寄りの児童公園の藤棚が淡い紫に染まっていた。すぐそばのさくら並木は黄緑の葉桜に変貌していた。
 さくら並木の枝の中をメジロが飛びかっていた。過去何度もスマホのカメラでメジロを撮ろうとしたが、一度も成功したためしはない。黄緑の葉桜と同色のメジロは捉えにくく、飛翔の速さがシャッター動作を上回っている。
 名来神社方面に向かう有馬川土手道にやってきた。東側の稲田の一角がピンクに染まっていた。レンゲの花が今を盛りと咲いていた。子どもの頃に自宅裏の田圃で何度の目にした懐かしい風景だった。スマホで切り取っていると、通りがかりの30代とおぼしき女性から「レンゲがきれいに咲いてますね」と声を掛けられた。「子どもの頃の懐かしい景色を思い出します」と応じた。春の穏やかな陽気が人を寛容な気持ちにさせているようだ。

ど根性さくら2024年04月09日

 いつもの早朝ウオーキングコースの一角だった。通常なら目にすることのない違和感のある光景が目に入った。住宅街の高台の歩道に沿った擁壁の見上げるような高い位置にさくらの花弁が咲いていた。
 ブロックを敷き詰めた高さ3ⅿほどの擁壁である。ブロックの隙間をこじ開けるようにさくらの樹が歩道に向かって伸びていた。ブロックをこじ開けた部分の幹は2cmにも満たない太さだが、その先の幹は5cm以上もある。幹から伸びたさんの小枝の中の2本にさくらの白い花弁が開花していた。
 擁壁の上の方なのでブロックに溶け込んだ色の枝ぶりだけなら目につくことはなかっただろう。折しもさくらの開花の時期だった。白い鮮やかな花弁が歩行者にその存在を告げていた。
 それにしてもそのさくらの生命力に驚かされた。コンクリートの舗装路に顔を出した”ど根性大根”の話題を思い出した。見上げる高さの擁壁に顔を出した”ど根性さくら”を切り撮った。

土筆がひっそり顔を出した2024年04月01日

 前日の昼間には20度の暑さを記録する3月下旬である。早朝ウオーキングに出発した時、ふと思いついた。そろそろ土筆の季節ではないか。
 散策コースの”土筆スポット”は心得ている。家を出てすぐ住宅街の丘陵地を抜けた先に貸農園が広がっている。その一角の畦道沿いに土筆の群生スポットがある。そのスポットにやってきた。
 コンクリートの水路の壁際に何本かの土筆がひっそりと顔を出していた。群生には程遠いまばらな顔出しに少し落胆しながらスマホで切り取った。

さくらはまだかいな2024年03月31日

 一気に温かくなった気候の中をスプリングセーター姿で歩いた。明日から4月に入るというのに散歩コースのさくらの開花は程遠い。3月下旬まで続いた寒さの影響が尾を引いている。
 有馬川土手道を名来神社に向かう土手道にはさくら並木が続いている。天上橋と中国道高架下の間には2本の八重桜がある。さすがに早咲きの八重桜だけは鮮やかなピンクの花弁をつけていた。
 高架下から名来神社に向かうさくら並木は固い蕾のまま身を縮めている。歩を進めるとようやく先端をピンクに染めた蕾に出会った。
 一週間後には山口の復活した”さくらまつり”が開催される。果たして開花は間に合うだろうか。

お彼岸の日の積雪2024年03月22日

 3月20日の春分の日、家内と焼肉レストランでランチしていた。窓際の席から屋外の景色が一変するのが見えた。大きなボタン雪が強風とともに激しく舞っていた。お彼岸の日の降雪に驚いた。
 その翌日の早朝だった。ウオーキングに出かけるために開けた玄関ドアの外は白いベールで覆われていた。前日の夜に再び降雪があったようだ。
 いつものウオーキングコースの先々でこの冬?一番の冬景色を目にした。住宅街の公園で、名来神社に向かう有馬川土手道で。雪景色の面白い一面に気づいた。
 土手道を細い二本の線がよじれるように走っていた。一瞬その正体がわからなかった、すぐに自転車の車輪跡だと気づいた。この時間帯にこの土手道を自転車に乗って介護施設に通勤している外国人の姿をよく見かけていた。ただ何となく自転車の車輪跡は一本の線というイメージが強かった。よく考えれば車輪は前輪と後輪の二つである。二本の車輪跡がよじれるようにわだちをつくるのは当然だった。そう合点してなぜか安堵した。

この冬初めての雪景色2024年03月09日

 玄関ドアを開けると小雪が舞っていた。お天気アプリをチェックすると雪マークだがすぐに止みそうな表示だった。傘を持たずに早朝ウオーキングに出発した。
 この冬初めて雪が舞う天候の中を歩いた。歩くほどに小雪はボタン雪に変わり白い花弁のような雪が容赦なくコートに降り注いだ。柔らかいボタン雪なのでコートを濡らす気遣いはない。降りかかる雪を時々払いながら雪の散歩道を愉しんだ。
 有馬川土手道を名来神社に向かって進んだ。東の丘陵地の竹藪が白い冠をかぶっている。黒土ばかりの田圃にもうっすらと白いベールに覆われている。手前のさくら並木の小枝の上っ面も白い装いを纏っている。
 この冬初めての雪景色の散歩道だった。

濃霧の散歩道2024年02月20日

 早朝ウオーキングに出かけてしばらくして服装の選択ミスに気付かされた。冬用のダウンのジャンパーを羽織っていた。お天気アプリで14度の気温は把握していたが。昨日までの寒さの実感がジャンパーを選択させていた。ウオーキングの終盤では上半身が汗ばんできた。ジャンパーを脱いで腰に巻き付けた。
 コンビニのモーニングコーヒーを終えて国道沿いの郵便局前に戻ってきた。隣接する山口の大ケヤキが灰色の空にぼんやりと浮かんでいた。ぼんやりの正体は”濃霧”だった。目を北側に転じると有馬川を覆う濃霧が幻想的な景色を演出していた。
 前日に一時的に10ミリを超える大雨が降っていた。雨のもたらす湿気と15度もある高気温が有馬川の水の水蒸気を吸い上げているんだろう。久々に登場した濃霧の散歩道を愉しんだ。

おばあちゃんの早朝ウオーキング2024年01月06日

 最近、早朝ウオーキングで気になる人物を見かけるようになった。かなり高齢の小太りの小柄なおばあちゃんである。出くわす場所はおおむね有馬川土手道の中国道と名来神社の間である。
 80代半ばにも思えるおばあちゃんの足取りはいかにも覚束ない。そのため歩みはかなり遅めである。更に体調と相談しながらしばしば一服している。思わず「なんでそれまでして歩くんだろう」と思ってしまう。
 今朝もおばあちゃんのけなげな頑張りを横目に追い抜いた。

骨だけの大ケヤキのガンバリ2023年12月18日

 マイナス1度という今年初めての氷点下の早朝ウオーキングだった。寒さにもめげずに頑なに生活習慣にこだわる律儀な後期高齢オヤジは黙々と歩を進めた。
 気候の移ろいを想った時、いつも気にかける散歩道の風景がある。そのひとつが山口郵便局に隣接して立つ”大ケヤキ”である。しばらく前には細々と黒ずんだ葉っぱをまとっていたケヤキだが、今はすっかりむきだしになっている。
 骨だけになった大ケヤキを眺めながら、推定樹齢300年と伝わる老木が律儀に季節の移ろいに応じて身を処しているけなげな頑張りに励まされた。