朝霧の散歩道2009年11月06日

 日一日と冷え込みが増す早朝の散歩道である。寒暖の差が大きくなる季節でもある。この時期の早朝の散歩道の風景は、新たな装いをまとって眼前に広がる。朝霧がつくりだす幻想的な風景は、冷え込みのきつさを上回る癒しをもたらしてくれる。
 隣町の田園地帯にやってきたのは6時50分頃だった。刈入れを終えた後の田圃のど真中を貫いている農道を歩いていた。数メートル先をうっすらと白い空間がゆっくり流れていた。その先に続くはずの田園と三田の山並みは、空と一体になった幕ですっぽり覆われていた。日の出前の透明な空気を覆う霧の中でぼんやりと民家が佇んでいた。
 散歩コースを折り返して有馬川を土手沿いに上る頃、正面の山の頂きが朱に染まり始めた。顔を覗かせた小さな半円が見る見るうちに外輪をまとったまぶしい正円となって頂きを越えた。霧に包まれた風景が日の出とともにそのうすぼんやりした白い幕を一気に掃いていった。腕時計の時刻は7時を指している。僅か10分でこれほどに変化する風景の只中にいるこの瞬間が、このうえもなく貴重なもおんい思えた。

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