散歩道の非日常の風景2011年02月04日

 朝のウォーキングの帰り道だった。住宅街そばの貸農園の一角に先日から据えられていた大きな鉄カゴが目に入った。見るからに野生動物の捕獲用の仕掛けカゴだった。昨日までは開いていた筈のそのカゴの正面扉が閉じられている。中にはこげ茶色の猫ぐらいの大きさの動物がうずくまっている。近寄ってみた。ヌートリアだった。
 その貸農園の背後には有馬川が流れている。その周辺の有馬川でしばしばヌートリアを目撃している。仕掛けられた場所のすぐ前に有馬川から枝分かれした田畑の給水用の水路が走っている。水路を伝って侵入したヌートリアがまんまと罠に嵌ったに違いない。
 貸農園を営むご近所さんからモグラなどの野生動物による農作物被害の話を耳にしていた。丹精込めて育てた農作物が収穫前に無残に荒らされることの無念さは想像に難くない。業を煮やした栽培者が対策を講じた気持ちもよく分かる。
 カゴの外から叩いてみたが中のヌートリアは全く動かない。ひょとしたら既に息絶えているのかもしれない。あるいはそれまでの必死の脱出の試みの虚しさを思い知った果ての諦観の姿なのかもしれない。彼の今後の運命は知る由もない。第三者が関与する余地は全くない。当たり前のことを言い聞かせながらそっとその場を後にした。

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