ケン・フォレット著「大聖堂 上」2011年02月06日

 先日からNHKのBSハイビジョンの海外ドラマ「大聖堂」の予告が流れていた。昨晩の2月5日から毎週土曜夜に8回にわたって放送される。平成3年発行の文庫本の原作を読んでいた。物語の記憶は定かでなかったが骨太な長編大作だった。放送はぜひ見たいが、それに先駆けて原作を再読しておこうと思った。
 各巻600頁にも及ぶ文庫本3巻から成る長編である。おまけに活字ポイントは最近の文庫本のサイズより一回り小さくボリュームは更に大きい。20年ぶりの再読はほとんど初読に等しい。その上巻を昨晩の第1回放映直前に読み終えた。
 12世紀のイギリスが舞台の歴史小説である。王権と教会権力が葛藤する中世イングランドの舞台背景や時代状況が克明に描かれている。大聖堂の建築という主題をベースに個性豊かな登場人物たちが絡み合い、一気に物語の世界に読者を引き込んでしまう。
 NHKドラマの展開の少し先を読み進みドラマも合わせて楽しもうという魂胆だ。何とも贅沢な楽しみ方を可能にしてもらったNHKに感謝するほかはない。そのドラマ「大聖堂」を昨晩観た。夜10時からの放映である。いつもは眠気に抗しきれず視聴を断念する時間帯である。この番組ばかりはそんなことは言ってられない。
 比較的原作に忠実なドラマだった。原作の膨大なボリュウムを映像化する上で端々の筋の省略はやむをえまい。それ以上に文字で表現された原作の風景を映像で観られることこそありがたい。問題は原作でイメージしていた登場人物たちのドラマの配役たちとの乖離だ。主人公トムはピッタリだ。もうひとりの主人公フィリップは少し柔らかすぎる。主要な悪役ウォールランはイメージはピッタリだが少し歳をとりすぎでは?エレンは原作の魔女的な妖麗さには及ばない等々。こうした落差を個々に確認することもまたドラマ化の楽しさでもある。ドラマを観ながら中世イングランドの歴史の世界を味わえることもまた嬉しい。
 これから8週間にわったて毎週土曜日夜の楽しみが待っている。

コメント

_ vallie ― 2011/02/12 18:17

こんばんは!
ドラマの第1回目をみました。

原作に忠実な印象です。

役者のイメージが異なるのは仕方ないかなと思っています。何十年にもわたるドラマになるでしょうから(たしか第1回目のなかだけでも18年経ってましたね)話が展開して年月が経てば、また役者との印象が変わってくるかもしれません。

今日の放送が楽しみです!

_ 明日香 亮 ― 2011/02/13 09:24

vallieさん、お互いに原作を読んだ上でのテレビドラマの楽しさを味わってますね。
私も昨晩の第2回目の放映を観ました。おっしゃる通りドラマの配役たちが馴染んできました。映像で観る中世イングランドの風景が読み進んでいる原作のイメージを膨らませてくれます。

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