位打ち2014年05月31日

 先日、2カ月振りに労働委員会委員OBの現役委員との懇親会に参加した。受付を済ませた後、労働委員会事務局スタッフから大きな紙バックが渡された。中には長さ50cm近い丸筒と10cm足らずの四角い箱が入っていた。「労働委員会委員退任に伴って厚労省から送ってきた感謝状と記念品です」との口上だった。
 帰宅して開封した。新聞紙1頁ほどの大きな感謝状には、厚生労働大臣名で「6年間の労働委員会委員在任による労働委員会制度の発展への貢献とねぎらい」の言葉が記されていた。記念品は桐の箱に入った直径6cmの銀杯だった。
 いかにもお役所風の大仰で形式ばったものだった。ねぎらいの根拠は労働委員会委員という公職の在任でありその期間だった。貢献の中身や活動の評価とは無縁である。おそらく在任期間の長さに応じて記念品も異なるのだろう。6年間の労働者委員の在任の証に違いない。その感謝状と記念品を醒めた気分で眺めながら、自分が過ごした委員生活の実感とどこかこ違うような気がした。
 公職の在任や期間を目安に褒賞制度が組み立てられているようだ。それは煎じ詰めれば公職者であるお役人たちの価値観に彩られた仕組みのようにも思える。ふと「位打ち」という言葉が浮かんだ。中世に財力も武力も持たない朝廷が駆使した手法のひとつに「位打ち」というものがあったそうな。分不相応な位を与えて自滅を誘うという手法である。

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