前垣和義著「大阪のおばちゃん学」2010年09月01日

 関西人にとって「大阪のおばちゃん」は身近で無視できない存在である。様々な生活シーンで存在感あふれる形でしばしば登場する。気になる存在ではあっても深く考えたことはない。ところがこの「大阪のおばちゃん」をアカデミックに考察して本にした人物がいる。相愛大学客員教授で現代大阪文化論の講座をもつ前垣和義氏の著作「大阪のおばちゃん学」を読んだ。
 目次の次に「大阪のおばちゃん度・チェックリスト100」がある。「バッグに飴ちゃんを入れている」「百貨店やブランドショップでも値切る」「まとめ買いして値切る」「人のものを見て『なんぼしたん』と聞く」「安く買った値段を自慢する」「自転車に傘スタンドを装着している」「エスカレーターやムービングウォークでは必ず歩く」「エレベーターに乗るとまず『閉』ボタンを押す」「人の話を聞かず勝手にしゃべる」「他人の話に『ウソッ』と大げさに相槌をうつ」「電車のわずかな隙間に座ろうとする」「女子トイレが満員のときは男子トイレに入る」等々(きりがないのでこの辺で)。
 さすがに豊富な情報をもとにした説得力のあるチェック項目である。これらは「大阪の」という枕はあるが、むしろ関西一円のおばちゃんたちに共有される生態ともいえる。我が「つれあい」の行動様式にも多分にオーバーラップしている。ちなみに「大阪のおっちゃん」である我が身にも多々思い当たる節があることも白状しておこう。
 11章で構成され、各章の扉には「大阪のおばちゃん」のあざとい振る舞いのイラストが描かれている。その人物はまぎれもなくアンケートで「大阪のおばちゃんランキング」1位の上沼恵美子の似顔絵である。
 著者は最後に「大阪のおばちゃん10則」を掲げ、おばちゃんたちのマイナス評価とセットでプラス評価を提示する。「ケチ⇔生活力」「おせっかい⇔親切」「派手⇔サービス精神」「強引⇔たくましい」「格好悪い⇔合理的」といった具合である。
 はるき悦巳の人気漫画「じゃリン子チエ」も大阪のおばちゃん的女の子の代表格として登場する。「じゃリン子チエ」は私が全作品を愛読して今尚書棚を埋めているシリーズだ。チエに対する限りない共感の正体を、はからずも自分自身の「大阪のおばちゃん体質」にあるいことを思い知らされた。