塩野七生著「海の都の物語3」2025年06月05日

 「海の都の物語3」を再読した。ローマ帝国崩壊後の地中海は、ビザンチン帝国のギリシャ人とイスラム教徒のサラセン人が荒らしまわる海となっていた。しかし9世紀になってから西欧勢の巻き返しが始まる。それはイタリアのアマルフィ、ピザ、ジェノヴァ、ヴェネツィアの「四つの海の共和国」による巻き返しだった。第3巻ではこの四つの共和国の攻防と盛衰が語られ、最終的に勝ち残ったジェノヴァ、ヴェネツィアの攻防の詳細が語られる。
 国家に対する忠誠心、つまり共同体意識の強かったヴェネツィア共和国に対して、個人主義的で天才型のジェノヴァの船乗りたちの闘いは苛烈を極めた。120年以上もの長きにわたって4次に渡る両国の戦闘が繰り広げられた。最終的に勝利をおさめたのは危機に際して挙国一致体制を築ける共和政体のヴェネツィア共和国だった。
 第3巻の後半は「ヴェネツィアの女」と題された女性の日常に焦点を当てた共和国の生活の詳細な解説風の退屈な描写だった。