北方謙三著「岳飛伝十五(照影の章)」2026年08月15日

 南宋の総帥・程雲は1万人の兵たちとともに城郭修理の人夫に身を装い岳飛の首級を上げるため潜伏する。岳飛はこの埋伏の罠に嵌り、程雲の乾坤一擲の奇襲を受ける。岳飛は重傷を負いながら辛くも一命をとりとめる。死の淵から蘇った岳飛は戦線に復帰する。
 梁山泊水軍は総帥・張朔が日本人の武士・炳成世の情報を得て南宋水軍との海戦に勝利する。小陵山の秦容は南宋軍との小競り合いを続けながら漢陽に向けて東進する。梁山泊軍総帥・呼延凌は金国軍との最終決戦に向けて開封府と燕京の間の雄洲を義勇兵によって堕とさせる。
 一方で梁山泊の南の小凌山と岳都も風雲急を告げていた。南宋の秦檜側近だった許礼率いる大理国境沿いの地方軍5万が強化され南進する機を窺ていた。南宋水軍総帥・夏悦も水軍本体を率いて像の河や造船所を襲うべく南進していた。秦容と岳飛不在の南の梁山泊勢力は南宋軍によって南北から攻められる懸念が広がっていた。
 他方で南宋も実質的リーダーの丞相・秦檜の病が深刻な事態を迎えていた。