真冬の早朝の散歩道2009年12月17日

 好天が続いている早朝の散歩道だった。12月半ばの真冬の風景が目に入ってくる。6時半、ようやく夜明けが訪れる。自宅を出てまもなく住宅街の高台から西の空を見上げた。桜並木の小枝の向こうの日の出前の紫色キャンパスに、残月が白い丸印を描いていた。輝きを失った残月の姿を陽光が掻き消すには尚時間を必要としている。
 住宅街の高台の麓の農道にやってきた。日の出前の陽光が、濃紺の空に美しいグラデーションをつくりだしている。住宅街の真っ黒な景色との見事なコントラストに目を奪われる。
 有馬川の歩道の愛宕橋の袂に大きな枝ぶりの老木が立っている。真冬になって全ての葉っぱが抜け落ち、骨だけになった時、枝先の黒い塊りが剥き出しになった。野鳥の鳥の巣だった。どんな鳥なのだろう。子供たちが巣立っていった古巣は、今は空き家となって寒風に晒されている。いつかこの古巣で次の世代の子供たちの命を育むのだろうか。
 散歩道の季節の移ろいが、様々な想像力を掻き立てる。