充て職会議2022年08月26日

 民生委員を地域で推薦するための会議(地区民生委員推薦準備会)が開催された。準備会は地区民児協会長、各地区自治会長、小中学校長や保育園長、地区社協会長、山口支所長等の12名で構成されている。
 市の所管部署作成の「民生委員推薦の手引」には、「地域の代表である民生委員推薦準備会委員の皆様によって、民生委員・児童委員として適格な候補者を公平かつ慎重にご推薦くださいますよう、お願い申し上げます」と記載されている。
 ところが推薦準備会の実態は、事前に事務局である支所長に提出された推薦者リストを準備会委員に提示して「追認」を得るだけの会議のようである。支所長への調書提出は現任民生委員の推薦する事例が多いという。ただ現状の実態にもかかわらず、「準備会は、本来は候補者を選任する機能を持ち合わせています」との市の所管部署の見解に意を強くした。
 民生委員は建前上は「地域」で選ばれることになっている。現任民生委員という「個人」が選ぶわけにはいかない。そこで地域の関係組織の代表で構成される準備会で「追認」する手順が必要になる。その趣旨からすれば「充て職」として参加する準備会委員には積極的に民生委員選任に関わることは期待されていないかにみえる。
 行政は事業を進める上で、様々な分野の課題について「地域の合意形成」という「お墨付き」を得ることが求められる。多くの場合、それは地域の関係組織の代表者を集めた「充て職会議」での「追認」手続きとなる。これが従来型の「地域の合意形成」の仕組みであり、他に代替できる仕組みもない中で、それはそれで現状ではやむを得ない手順なのかもしれない。
 メタバース(ネット上の3次元の仮想空間)がネット社会で躍動している。その心躍らされる潮流はビッグ・ウェイブとなって私たちの生活に大きな変革をもたらそうとしている。「充て職会議」という空疎なセレモニーで物事が進む現実生活との乖離に虚しさが募る。