ドライバー不足の深刻化とカーボランティア2023年06月09日

 テレビのニュースがタクシー業界の深刻なドライバー不足を報道していた。タクシーは交通弱者にとってのセイフティネットの役割を持っている。2007年に超高齢社会となった日本ではお年寄りの交通インフラとしてのタクシーの役割は重要である。
 山口地域活性化推進委員会が開催され、コミュニティバスの試験運行に向けて運行事業者の選定が難航しているという経過が報告された。近隣のコミュニティバス同様に事業者は阪急タクシーが想定されていた。難航の背景に物流業界の2024年問題という深刻で構造的なドライバー不足がある。
 コミュニティバスの取組みは、交通弱者の地域対策であるコミュニティ交通問題の施策のひとつである。本来、多様な選択肢のひとつとして検討すべき課題であるが、現状では唯一の課題として取組まれている観がある。それだけにその実現性が懸念される場合の他の選択肢の検討が求められる。
 北六甲台地区社協の交通弱者対策の取組みであるカーボランティアは2001年に始まり20年以上の実績がある。山口町という公共交通の脆弱なエリアの取組みとして市内35地区の中でも特有の取組みとして定着してきた。地域の住民有志がマイカーで利用者にカーボランティアを提供してきた。地域のボランティア・ドライバーに支えられた取組みである。
 日本社会の深刻なドライバー不足は、事業者を介在した交通弱者対策を困難なものにしている。交通弱者対策という福祉分野の施策の担い手として地区社協のカ―ボランテアはボランティア・ドライバーの発掘の手法としてもあらためて注目されてよいと思われる。