袋小路の労働力不足と地域人材の発掘2023年07月01日

 日本の労働力不足の深刻化が身近な日常生活の様々な分野で歪を招いている。評議員として関わっている障がい者支援の社会福祉法人のグループホーム建設計画が人材手当の見通しが立たないことから頓挫した。運営推進委員をしている認知症グループホームでも深刻な人出不足に危機感を募らせている。地域のコミュニティバスの試験運行がドライバー不足で運営事業者が選定できずメドが立たない。
 労働力不足の対応策として「外国人労働者の確保」と「IT化」がしばしば取り上げられるが、実現性は疑わしい。「日本の最低賃金は韓国以下、豪州の2分の1、差は開く一方」というニュースを目にした。今や日本の低賃金は国際的にも表面化しており、今後の外国人労働者の確保も見通しは暗い。マイナカードのシステムのお粗末さに代表されるように日本のIT技術は国際的にも低水準と言わざるをえない。マイナの不祥事は国民のIT化への不安を招いている。こんな土壌で今後どこまでIT化が進むか疑問である。今や日本の労働力不足は袋小路に陥っている観がある。
 地域の交通弱者への対応のひとつである地区社協のカーボランティアがあらためて見直されるのではないか。地域のボランティアで支えられるカーボランティアは深刻なドライバー不足と無縁である。多くは子育て卒業母さんやリタイヤおじさんたちが担っている。高齢でリタイヤした看護師や介護士といった人材の再登用も課題である。問題はそうした地域に眠っている人材の受け皿となる事業等のインフラが整備されていない点にあるのではないか。