塩野七生著「ローマ人の物語21」2024年06月21日

 塩野七生著「ローマ人の物語21」を再読した。この巻は「危機と克服」と題された皇帝ネロの死からトライアヌス登場までの30年の物語の上巻である。とりわけこの上巻ではわずか2年の間にガルバ、オトー、ヴィテリウスと3人の皇帝が殺害されたり自死に追い込まれたりして短期間に入替った経緯が語られている。
 初代皇帝アウグストゥスが創始した”ユリウス・クラウディウス朝」の最後の皇帝ネロ亡き後をアウグストゥスの血統でない3人の皇帝たちに託された。ところが彼らの「傲岸、生硬、怠惰」といった三人三様の性格に由来する統治能力の欠如は帝国に目を覆うばかりの混乱を招くことになる。
 2年間という短期間の3人の皇帝の盛衰はローマ帝国にはとんでもない不幸であるものの、展開としては起伏に富んだ物語としていきつく間もなく読み終えた。