6年目を迎えた福祉ネットの地域包括ケアの手応え2020年07月06日

 2014年3月に発足した福祉ネット北六甲が丸5年を経過し、第6回総会を迎えた。コロナ過の只中の総会となり、例年から1カ月遅れの開催となった。出席者もソーシャルディスタンスを考慮し、代議員とオブザーバー、アドバイザーの関係者だけに絞り込み、例年7~8名出席の来賓には案内を控えた。それでも会場の住宅街のコミュニティーセンターには代議員25名、オブザーバー・アドバイザー5名の30名の出席があった。
 例年通り、第一部総会、第二部交流会の二部構成である。総会議案では二つのポイントがテーマとなった。ひとつは共生型地域交流拠点づくりについての福祉フォーラム等で果たした福祉ネットの役割である。今ひとつは設立6年目を迎えて財政基盤の脆弱さを見据えた運営の見直しである。事業計画では独自財源確保の難しさから広報紙発行と福祉フォーラムの主催を中止する提案を行った。また交流拠点の協議が拠点づくり懇談会に移行することから毎月開催の福祉ネット役員会の隔月開催への移行が提案された。こうした議案に対し幾つかの質疑があった。今回初めて出席頂いた代議員である小学校PTA会長からは、地区社協と福祉ネットの関係、PTAの福祉ネットとの関わり方についての基本的な質問を頂いた。老人会の代議員からは、広報紙発行中止の事業計画案について「福祉ネットの住民への活動報告はどのように行うのか」という問いかけがあった。「地区社協の主要な活動のひとつに福祉ネットの活動があることから地区社協広報紙で報告したい」旨の答弁があった。地区社協の代議員からも本来準備すべきだった総会の代議員名簿を出席者に配布すべきとの指摘もあった。
 休憩を挟んで四テーブルにレイアウト変更した会場で交流会が始まった。出席者全員から自己紹介を兼ねたコメントを頂いた。自治会役員、地区社協役員、市社協地区担当、地域包括代表、老人会役員、PTA会長、介護施設長、病院理事長、開業医、社会福祉法人理事等それぞれの役割についての紹介や抱負が語られた。特筆事項としては7月1日に山口町に開設されたばかりの認知症グループホームの理事長が交流会から特別参加されたことだ。川西市の開業医でもある理事長から定員18名のホームのパンフレットが配布され、ホーム運営にかける想いが語られた。6年目を迎え福祉ネットを舞台とした在宅医療、在宅介護とデイサービス、グループホーム等の認知症ケア等の地域での地域包括ケアの手応えを実感した。
 自己紹介後の交流も含め1時間余りの交流会が福祉ネット顧問による締めの言葉で幕を閉じた。

地域医療の新たな情報2020年05月15日

 服用薬処方のため2カ月ぶりにかりつけのクリニックを訪ねた。在宅医でもある先生と地域医療に関わる情報を交換した。
 コロナ関連の診療は5月に入りひと息ついたとのこと。3月、4月の診療日には駐車場での発熱外来の車内診療が多かったようだが、今はコロナ感染のリスク懸念から外来患者は以前ほど多くないという。他方で、地区内に認知症発症者対象のグループホームの開設計画が進んでいるという情報もお聞きした。医師どうしのつながりもあるようで、福祉ネットの情報も提供しているので開設までにはドクターを紹介したいとのこと。
 私からは閉院中の住宅街のクリニックの再開情報を提供した。新たに開設されるのは50代の比較的若い医師で訪問診療も実施するとのこと。
 福祉ネットや地区社協の対象エリアにとひとつの病院とお二人の在宅医とひとつの認知症グループホームが整う。福祉ネットとしても新規開設の医療機関とも連携し、在宅医療を念頭に置いた地域医療の連携を模索したい。

福祉ネットの定着と強み2019年07月28日

 福祉ネットワーク北六甲台地区会議が発足して丸4年が経過した。発足のきっかけは市社協提案の地区ネットワーク会議だったが、北六甲台地区での設立はそれを念頭に置きながらも独自の要素が強かった。他地区では地区ネットワーク会議は地区社協内の会議体に関係組織の代表を招いて連携・調整する機能のようだ。福祉ネットの場合は、地区社協の枠組みを超えて2025年問題にむけた地域包括ケアシステムを意識した性格を帯びている。地域福祉に関わる多様な組織や役職の縦割り機能に横櫛を通す組織であり、地区社協は事務局として組織の中枢を担っている。
 こうした性格付けが結果的に福祉ネットに多くの予想を超えた成果を発揮したと思える。医療・介護施設や障がい者家族会等との連携、福祉フォーラムでの広範な参加者、全住民対象の地域福祉に関わる多様な広報活動、地域支援マップの発行、認知症カフェ立上げの支援、認知症サポートべんり帳北六甲台地区版の発行、子育て支援等々、地区社協単独では叶わなかった取組みが多い。
 そんな経過もあってか先日の福祉ネット役員会で自治会派遣役員から地域のデイサービス施設の代表者の福祉ネットとの交流を要望する声が伝えられた。在宅介護が今後の福祉ネットの大きなテーマである。その際、デイサービス施設との連携が欠かせない。一度その施設を訪問し情報交換と今後の連携の在り方を意見交換することになった。

福祉ネットの総会&交流会2019年06月17日

 福祉ネットの第五回総会が開催された。代議員25名、オブザーバー&アドバイザー8名、来賓5名と合わせて38名の皆さんに出席頂いた。
 来賓代表で山口支所長に挨拶を頂いた。地域在住者の来賓挨拶は初めてだった。それだけに地域の実情と福祉ネットの役割を熟知した内容だった。「超高齢社会を迎えて地域力が問われている。関係組織の横断的な連携組織である福祉ネットの役割は大きい。在宅ケアや認知症取組みでの福祉ネットの役割を評価している。行政と地域の棲み分けと支え合いで少子高齢化の課題を克服したい」等のメッセージだった。
 議案審議ではお二人から提案と質問があった。提案は費用を地区社協が全額負担していることで独自の会計処理がない福祉ネットの会計の在り方について、年度始めに必要経費を地区社協から一括給付し、これを前提に収支を計上することで会計管理を行ってはどうか」というものだ。質問は「放課後の子どもの居場所づくりについての具体的内容は?」「子育て支援についてのPTA以外の連携先は?」というものだった。それぞれに当該課題について関係する所属組織代議員によるものだ。提案については「役員会で前向きに検討の上次回総会での具体化を考えたい」旨、回答し、子育て支援についての質問にも「地域での子どもの放課後の居場所の現状把握から始めたい」「子育てコンシェルジュや子育てサロン等、子育て支援に関わる様々な当事者との連携を想定している」旨回答した。こうした質疑を経て全議案が承認された。
 会場レイアウトを4テーブルの島に変更して後半の全出席者の交流会となった。代議員20名、来賓、オブザーバー、アドバイザーの参列者9名の皆さんに参加してもらった。着席番号を配布し4テーブルに代議員と参列者が交流できるよう工夫した。初めに参加者の自己紹介とコメントをお願いした。地域福祉に関わる様々な人の交流会である。それぞれの立場や役職からのメッセージが伝えられ、それだけで貴重な情報交換となった。その後各テーブルごとの自由懇談となった。
 3時半頃に司会者からの案内で市社協地区担当による閉会挨拶があった。総会50分、10分休憩後の交流会60分という絶妙の時間配分で総会&交流会が盛況裡に終了した。

介護医療院2019年05月07日

 長尾和宏医師のブログ「Dr.和の町医者日記」でもうひとつの気になるキーワードに「介護医療院」があった。
 昨年4月に介護保険法等の改正法施行により法定化された新たな施設である。超高齢社会、多死社会という環境変化を受けて医療・介護の変化するニーズに対応するために創設された。介護医療院は要介護高齢者の長期療養・生活施設として設計され、要介護者に対し、「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する。医療保険と介護保険の制度上の壁に阻まれて医療と介護の連携が進まない。そんな中での医療と介護を一体的に提供する施設としての期待は大きい。

人生会議2019年05月06日

 福祉ネット北六甲の主要テーマに「住民主体の地域包括ケア」に向けた環境整備がある。そのためには在宅介護等に関わる最新情報や行政の動向把握が欠かせない。そうした情報収集の貴重なソースが尼崎の町医者・長尾和宏医師のブログ「Dr.和の町医者日記」である。日々欠かさず閲覧している。最近の氏のブログを読んで気になるキーワード「人生会議」があった。
 「人生会議」とはアドヴァンス・ケア・プランニング(ACP)
についての厚労省が公募・選定した愛称である。人生の最終段階における医療・ケアの在り方についてあらかじめ本人や家族や医療者がじゅうぶんに話し合っておく自発的なプロセスがACPである。
 ACPの人生会議という愛称は違和感がないではない。介護という分野で「人生」という言葉が関わるとすれば、介護者の本人への接し方の根本にある姿勢の中にあるように思う。機械的、画一的な介護でなくひとりひとりの思いに寄り添った介護が問われている。本人の歩んできた人生というドラマを受け止め共感しながら寄り添う介護である。
 ただ終末期医療の在り方を話し合う場をACPという記号のような呼び方でなく人生会議という呼び方の方がベターであるとは思う。

福祉ネットのネットワーク機能2019年04月22日

 地区のスポーツクラブ21の総会に来賓出席した。体育館や運動場等の会場使用で小学校との関係が深い組織である。来賓席で同席した校長と教頭のお二人から感謝の言葉をかけられた。
 4月初めに教育連携協議会等でお付合いのある校長から次のような依頼があった。新学期を迎えて特別支援学級で受け入れる障害児の人数が増え授業を補助してもらえる補助員を募っている。学校関係のルートでの募集だけでは人材確保が難しい。社協ボランティア等に声掛けしてもらえないか。
 早速ボランティアの皆さんに情報を流して打診したが期待した反応はない。パートタイマー並みの有償ボランティアで午前中の授業という比較的出やすい時間帯であるが、障がい児の支援という特殊性に不安があるようだ。思いついて福祉ネットのアドバイザーでもある障がい者家族会代表に相談がてらに声を掛けた。家族会のメンバーに声を掛けてみるとの前向きな反応だった。その結果4月中旬には家族会の関係者の補助員採用が確定し、授業補助が開始された。校長、教頭のお礼の言葉は、何とか新学期早々に難しかった補助員を採用でき特別支援学級の授業が円滑に運営できるようになったことの安堵の気持の表れだろう。
 私の家族会代表へのお礼メールに返されたメールにあらためて気づかされたことがある。「特別支援学級の子どもたちのために尽力いただきありがとうございます」という言葉に込められた想いが伝わった。障がい児の母親である彼女にとっては特別支援学級の運営は他人事ではない。我が事という受止めなのだろう。家族会のメンバーにとっても同様だろう。補助員を引受けてもらった方も成長した障がい児の母親のように思える。少しゆとりができて少しでも自分の経験を地域に役立てたいという想いだろう。
 返信メール中の「福祉ネットがあればこその成果だと思います」という言葉にも大いに励まされた。福祉ネットのもつネットワーク機能があらためて地域活動に活かされた。

福祉フォーラム「ここが知りたい認知症」2018年12月18日

 第4回福祉フォーラムは118人もの受講者で大盛況だった。事前の案内チラシには「ここが知りたい認知症」というタイトルを大きく訴え、~予防と治療の最前線と地域支援~のサブタイトルで事前に講師とも調整した講演内容を伝えた。
 講師のものわすれクリニック院長の松本一生氏は、認知症専門医として診療する傍ら、自らも認知症の義母とパーキンソン病の妻の介護を経験した介護者として積極的に認知症理解のための講演、番組出演、執筆活動をされている。
 90分の講演では、そうした知識と経験がいかんなく発揮され、受講者に多くの共感をもたらした。以下、印象的だった内容を記しておきたい。
 認知症を当事者から告げられた時「あなたなら大丈夫!」とは言わない。それは受止めてもらいたいという当事者の想いを拒むことになりかねない。一緒に考えましょうと共感し寄り添う姿勢が大切。
 認知症は「なったらおしまい」ではなく、「なってからが勝負」
 妻を介護するご主人たちが大変!「ちょい呑みオヤジ会」ならぬ「妻を介護するオヤジ会」が必要では。
 種類ごとに異なる認知症の症状の理解が大切。アルツハイマーはこれまでと異なる人柄に。血管性認知症は易怒性やまだら症状。レビー小体型認知症はパーキンソン症状と幻視。前頭側頭型認知症は非社会性や無頓着。
 糖尿病、脂質異常、血圧乱高下の生活習慣病対策が認知症予防に。食生活は粗食を心がける。ひきこもりの脱出と人との対話。生きがいと使命感。
 介護家族の善意の加害者のケアこそが大切。地域の悪意が介護家族の不幸をもたらす。介護を終えた遺族の65%が自分の至らなさを後悔している。介護家族への声掛けや励まし等の地域の支えを。
 介護生活が長くなるほど誤嚥性肺炎の発症率が高くなる(15年で89%)。終末期医療の口腔ケアの大切さ。
 
 92枚もの受講者アンケートを回収した。85名(92%)の方が講演内容の評価に「良かった」を選択されていた。

大盛況だった福祉フォーラム2018年12月16日

 第4回福祉フォーラムを「ここが知りたい認知症」をテーマに開催した。認知症の「予防と治療の最前線と地域支援」をサブタイトルに著名な認知症専門医である松本一生さんに90分たっぷりお話し頂いた。講演についてのコメントは別途記事にしたいが、ひとまず開催状況の速報を更新しておきたい。
 山口ホールの会場を埋め尽くす118名の受講者だった。事前準備した席数はテーブル席108、予備の椅子席18の計126席だったからほぼ満席である。設立総会とセットの第1回が120名、一昨年が95名、総会と分離した昨年が88名だった。大幅な増加と言える。設立総会では構成組織の代議員が80名を占め一般参加は40名だった。今回は代議員等の関係者が41名で一般参加が71名と構成比は逆転した。
 地域の一般参加の多さの要因は次の点だと思われた。ひとつは講師の松本先生のテレビ番組出演や介護業界での知る人ぞ知る知名度が大きい。今ひとつは身近に迫ってきた認知症への関心の深さである。そういう意味で今回のテーマ設定と講師選択が奏功したといえる。それは講演後の92枚もの受講者アンケート回収(回収率78%)にも表れていた。

人生の入口、出口の苛酷な環境2018年07月02日

 福祉ネットの事業目的に「子育て支援」を追加して以降、子育て問題に向き合う機会が否応なく増えてきた。子育て問題を理解するにつれ、高齢者問題のテーマに驚くほど類似していることに気づかされた。
 何よりも双方の問題に共通する施設や人材の絶対的な不足がある。高齢者の介護施設と介護者、乳幼児の保育所と保育士それぞれに絶対数の不足が著しい。その背景には、介護士と保育士の労働条件の低さがあることは明らかである。その結果、多くの待機老人と待機児童を生みだしている。
 施設やマンパワーの絶対数不足はサービスの質の低下を招き、時に受給者である高齢者と乳幼児に「虐待」という苛酷な環境を強いている懸念がある。家庭内での「老人虐待」と「児童虐待」は格差社会と貧困の深刻化の裏返しという共通項がある。
 経済界の意向を重視する経済至上主義の長期政権が続いている。福祉は置き去りにされ、市場原理の規制緩和が格差と貧困を増幅させている。そのしわ寄せを真っ先に受けるのが高齢者や乳幼児という社会的弱者なのだろう。日本は人生の入口と出口でかくも苛酷な環境を強いられる社会に成り下がった。