グループホーム運営推進会議の深刻な議論2024年09月22日

 認知症グループホームの運営推進会議に出席した。施設管理者、知見者(近隣のグループホーム管理者)、地域包括、在宅療養相談センター、権利擁護支援者の各専門職に入居者家族代表と私を加えて6名が出席した。施設管理者から施設運営の定例報告の後、今回の協議テーマである「身体拘束の適正化」についての説明があった。
 利用者の身体拘束の施設対応の妥当性について協議した。内容は”身体拘束”というイメージとは趣きが異なるものだった。ベッドからしばしばずり落ちる利用者の安全のため日常生活をベッド脇のマットで過ごすよう対応したことの可否が問われていた。至極もっともな対応と思えたが、マットでは立ち上がりが難しくなり利用者の歩行意欲を奪ってしまう点で身体拘束に通じることがが問題とされた。
 身体拘束を行う際の「3要件」があるようだ。①本人の身体の危険等の「切迫性」②他に代替可能な介護方法がない等の「非代替性」③その行動制限が一時的なものであるという「一時性」である。この要件に沿っての点検が必要とのこと。
 介護現場の利用者の人権確保に向けた行政サイドのきめ細かなガイドラインの実態を初めて知った。素人の目には過剰とも思えたが、それが確保されて初めて施設運営が許されている。行政サイドの責任追及へのリスクヘッジという気がしないでもなかったが人権擁護の視点ではおろそかにできない現実なのだろう。認知症発症者が今後ますます増えていく中でその対応を担うマンパワーの不足は明らかだ。認知症介護のインフラそのものが危機に瀕しかねない中での介護現場の過剰な行政指導に「木を見て森を見ない」ことにならないよう祈るしかない。