塩野七生著「ローマ人の物語35」 ― 2025年02月25日

ディオクレティアヌスは284年に帝位に就いた時、ローマ帝国は「大国ペルシャとの対応と北の防衛線での蛮族との対応という安全保障」と「帝国の構造改革」という二つの事態の対処を迫られていた。
40歳という働き盛りの新皇帝は、この事態に同じバルカン地方出身の軍団育ちで同年代の友人マクシミアヌスと帝国の東西を分担統治することで対処する。マクシミリアヌスを西方統治の「カエサル」に任命し「二頭政」がスタートする。
293年、ディオクレティアヌスは二頭政を更に推し進める。東西の正帝の元に副帝を任命し担当エリアも4分割して「四頭政」を導入する。4人の皇帝はそれぞれの本拠地に「首都」を置き、皇帝直属の騎兵を中心とした軍団が配置された。その結果、この時期を境に帝国の兵力は30万から60万に倍増する。エリアごとの行政を担う官僚組織も整備される。
膨れ上がった軍事費と巨大化した官僚機構を維持するためにディオクレティアヌスは税制の抜本的な改革に乗り出す。それは初代皇帝アウグストゥスが打ち立てて以後踏襲されてきた「先に納税者あり。国家は税収が許す範囲のことしか手をつけない」という税哲学の「先に国家あり。その国家に必要な経費が、税として納税者に課せられる」という180度の転換だった。
形の上では四頭政ながら帝国の圧倒的な権力者であったディオクレティアヌスは絶対的な権力を補完する権威の後ろ盾に迫られる。そこでローマ的な神であっても障害さえなければ絶対的権威になりうると考えたディオクレティアヌスはローマの神々を認めないキリスト教徒の弾圧に着手する。持続的で組織的なローマ史上初めてのキリスト教弾圧が始まった。
305年、ディオクレティアヌスは20年の治世を終えて同僚の正帝マクシミリアヌスを道連れにしてあっさりと退位する。
40歳という働き盛りの新皇帝は、この事態に同じバルカン地方出身の軍団育ちで同年代の友人マクシミアヌスと帝国の東西を分担統治することで対処する。マクシミリアヌスを西方統治の「カエサル」に任命し「二頭政」がスタートする。
293年、ディオクレティアヌスは二頭政を更に推し進める。東西の正帝の元に副帝を任命し担当エリアも4分割して「四頭政」を導入する。4人の皇帝はそれぞれの本拠地に「首都」を置き、皇帝直属の騎兵を中心とした軍団が配置された。その結果、この時期を境に帝国の兵力は30万から60万に倍増する。エリアごとの行政を担う官僚組織も整備される。
膨れ上がった軍事費と巨大化した官僚機構を維持するためにディオクレティアヌスは税制の抜本的な改革に乗り出す。それは初代皇帝アウグストゥスが打ち立てて以後踏襲されてきた「先に納税者あり。国家は税収が許す範囲のことしか手をつけない」という税哲学の「先に国家あり。その国家に必要な経費が、税として納税者に課せられる」という180度の転換だった。
形の上では四頭政ながら帝国の圧倒的な権力者であったディオクレティアヌスは絶対的な権力を補完する権威の後ろ盾に迫られる。そこでローマ的な神であっても障害さえなければ絶対的権威になりうると考えたディオクレティアヌスはローマの神々を認めないキリスト教徒の弾圧に着手する。持続的で組織的なローマ史上初めてのキリスト教弾圧が始まった。
305年、ディオクレティアヌスは20年の治世を終えて同僚の正帝マクシミリアヌスを道連れにしてあっさりと退位する。
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