田中芳樹著「アルスラーン戦記②(王子二人)」 ― 2026年01月13日
シリーズの第2巻「(王子二人)」を読了した。蛮族ルシタニアとの闘いに敗れてパルス王国は一夜にして崩壊した。14歳の少年・王太子アルスラーンは辛くも死地を脱して5人の有能な部下たちとともに旧パルス軍の残存兵力が集結する東の国境の城塞ペシャワールに向かう。追っ手を躱すために三組に分かれた逃避行にルシタニア軍と謎の銀仮面ヒルメスとその配下たちが襲い掛かる。
苦難の末にアルサルーン一行はペシャワール城に辿り着き、二人の万騎長キシュワードとバフマンが騎兵2万、歩兵6万とともに守備する部隊と合流する。流浪の一行がようやく反攻の拠点を確保した。この巻の終盤ではタイトルの「王子二人」の意味が明かされ、謎の銀仮面がアルスラーンの叔父にあたり王家の血を引くヒルメスであることが明かされる。
この文庫本のシリーズでは巻末に作家たちによる「解説」が掲載されている。この巻の解説では、作者・田中芳樹の共感できる魅力が語られている。「物語に対する汲めども尽きぬ情熱」「森羅万象への博覧強記ぶり」「恐るべき視野の広さ」、そしてそれらを背景とした「物語に仕立て上げる力量」である。
苦難の末にアルサルーン一行はペシャワール城に辿り着き、二人の万騎長キシュワードとバフマンが騎兵2万、歩兵6万とともに守備する部隊と合流する。流浪の一行がようやく反攻の拠点を確保した。この巻の終盤ではタイトルの「王子二人」の意味が明かされ、謎の銀仮面がアルスラーンの叔父にあたり王家の血を引くヒルメスであることが明かされる。
この文庫本のシリーズでは巻末に作家たちによる「解説」が掲載されている。この巻の解説では、作者・田中芳樹の共感できる魅力が語られている。「物語に対する汲めども尽きぬ情熱」「森羅万象への博覧強記ぶり」「恐るべき視野の広さ」、そしてそれらを背景とした「物語に仕立て上げる力量」である。
田中芳樹著「アルスラーン戦記①(王都炎上)」 ― 2026年01月09日
「銀河英雄伝説」に続く田中芳樹著作の第2弾の「アルスラーン戦記」文庫本全11巻を購入した。この作品は「銀河英雄伝説」に並ぶ長編で読者の人気も高い。そのシリーズの第1巻「(王都炎上)」を読了した。
物語はパルス王国と蛮族ルシタニアの総力をあげた戦いで幕を開ける。不敗の国王率いるパルス王国の軍団は味方の裏切りで一日であっけなく崩壊する。からくも生き残った王太子アルスラーンは勇者ダリューンや軍師ナルサスらの有能な部下たちに恵まれ故国回復の闘いを開始する。
銀河英雄伝説の壮大で説得力のあるテーマ性がこの作品には欠ける点に物足りなさを感じた。どこまでも冒険物語風の歴史ファンタジーである。
巻末に作者は「あとがき、みたいなもの」としてこの物語の意図と舞台設定について述べている。「ブリテン列王伝」「三銃士」「鉄仮面」「南総里見八犬伝」「水滸伝」といった歴史物語の要素がまぜあわせられている。舞台も銀河英雄伝説の未来の宇宙から一転して中世のペルシャをイメージした国が舞台となっている。
とはいえ作者のストーリーテラーぶりは相変わらずいかんなく発揮されている。読者はアルスラーンの故国回復の長い旅路に付き合わされる羽目になる。
物語はパルス王国と蛮族ルシタニアの総力をあげた戦いで幕を開ける。不敗の国王率いるパルス王国の軍団は味方の裏切りで一日であっけなく崩壊する。からくも生き残った王太子アルスラーンは勇者ダリューンや軍師ナルサスらの有能な部下たちに恵まれ故国回復の闘いを開始する。
銀河英雄伝説の壮大で説得力のあるテーマ性がこの作品には欠ける点に物足りなさを感じた。どこまでも冒険物語風の歴史ファンタジーである。
巻末に作者は「あとがき、みたいなもの」としてこの物語の意図と舞台設定について述べている。「ブリテン列王伝」「三銃士」「鉄仮面」「南総里見八犬伝」「水滸伝」といった歴史物語の要素がまぜあわせられている。舞台も銀河英雄伝説の未来の宇宙から一転して中世のペルシャをイメージした国が舞台となっている。
とはいえ作者のストーリーテラーぶりは相変わらずいかんなく発揮されている。読者はアルスラーンの故国回復の長い旅路に付き合わされる羽目になる。
田中芳樹著「銀河英雄伝説外伝3」 ― 2025年12月13日
「銀河英雄伝説外伝3(最終巻)」を再読した。外伝の最終巻である。「外伝1」で銀河帝国のラインハルトの権力掌握前のサクセスストーリーが描かれ、「外伝2」では自由惑星同盟のイゼルローン要塞司令官ヤン・ウエンリーのアウトラインが紹介された。
「外伝3」は帝国軍准将となった18歳ラインハルトの視点からの同盟との双方の総力をあげた会戦が中心となっている。同盟軍のヤン・ウエンリーは作戦参謀という役回りである。会戦は双方ともに無意味な戦いの果てに決定的な帰趨のないままに終結する。
外伝3(最終巻)は作者の意図は別にしても銀河英雄伝説というシリーズの最終巻でもあった。密かにドラマチックな結末を期待していたが、その期待は裏切られたという他はない。ヤンとラインハルトのとりとめもないエピソードで締めくくられた。残念!
「外伝3」は帝国軍准将となった18歳ラインハルトの視点からの同盟との双方の総力をあげた会戦が中心となっている。同盟軍のヤン・ウエンリーは作戦参謀という役回りである。会戦は双方ともに無意味な戦いの果てに決定的な帰趨のないままに終結する。
外伝3(最終巻)は作者の意図は別にしても銀河英雄伝説というシリーズの最終巻でもあった。密かにドラマチックな結末を期待していたが、その期待は裏切られたという他はない。ヤンとラインハルトのとりとめもないエピソードで締めくくられた。残念!
田中芳樹著「銀河英雄伝説外伝2」 ― 2025年12月10日
「銀河英雄伝説外伝2」を再読した。 「外伝1」の舞台は19歳の銀河帝国大将ラインハルトのゴールデンバウム朝打倒に向けての前段の物語である。
「外伝2」は一転して自由惑星同盟軍が統治するイゼルローン要塞が舞台となる。しかも物語はイゼルローン要塞司令官のヤン・ウエンリーの養子である14歳のユリアン・ミンツが綴る日記のスタイルで展開する。
この巻の前半はイゼルローン要塞内のユリアン、ヤンを中心として個性豊かな幕僚たちとの日常生活での交流が坦々と描かれる。後半になって銀河帝国からの「捕虜交換の申出」によってドラマが始まる。
双方でそれぞれ200万人もの捕虜交換である。膨大な人数の収容と受取り、食事手配、輸送船の運行と停泊手配等の膨大な実務が要塞事務監・キャゼルヌ少将の下で進められる。
双方の捕虜が無事に要塞に終結し、捕虜交換式が催される。皇帝ラインハルトの副官キルヒアイスが帝国軍を代表し、ヤン・ウエンリーが同盟軍を代表して歴史的な対面が実現する。
その後、ヤン・ウエンリーとその幕僚たちが帰還兵を引き連れて首都ハイネセンに赴く。帰還兵の歓迎式典と記念パーティを抜け出したヤンは信頼する宇宙艦隊司令長官ビュコックと密かに密談する。同盟内の不穏な動きについての対応がテーマだった。そして要塞帰還後まもなくしてハイネセンでの反乱が伝わる。ヤンの副官フレデリカの父親のグリーンヒル大将が首謀者だった。
この巻の物語はここで終わりを迎える。何とも中途半端な終末だった。
「外伝2」は一転して自由惑星同盟軍が統治するイゼルローン要塞が舞台となる。しかも物語はイゼルローン要塞司令官のヤン・ウエンリーの養子である14歳のユリアン・ミンツが綴る日記のスタイルで展開する。
この巻の前半はイゼルローン要塞内のユリアン、ヤンを中心として個性豊かな幕僚たちとの日常生活での交流が坦々と描かれる。後半になって銀河帝国からの「捕虜交換の申出」によってドラマが始まる。
双方でそれぞれ200万人もの捕虜交換である。膨大な人数の収容と受取り、食事手配、輸送船の運行と停泊手配等の膨大な実務が要塞事務監・キャゼルヌ少将の下で進められる。
双方の捕虜が無事に要塞に終結し、捕虜交換式が催される。皇帝ラインハルトの副官キルヒアイスが帝国軍を代表し、ヤン・ウエンリーが同盟軍を代表して歴史的な対面が実現する。
その後、ヤン・ウエンリーとその幕僚たちが帰還兵を引き連れて首都ハイネセンに赴く。帰還兵の歓迎式典と記念パーティを抜け出したヤンは信頼する宇宙艦隊司令長官ビュコックと密かに密談する。同盟内の不穏な動きについての対応がテーマだった。そして要塞帰還後まもなくしてハイネセンでの反乱が伝わる。ヤンの副官フレデリカの父親のグリーンヒル大将が首謀者だった。
この巻の物語はここで終わりを迎える。何とも中途半端な終末だった。
田中芳樹著「銀河英雄伝説外伝1」 ― 2025年11月29日
銀河英雄伝説前10巻を3カ月かけて再読を終えた。構想の壮大さと創造性、起伏に富んだ豊かな物語性、膨大な登場人物の個性豊かな描写力等、どれをとっても魅力的で印象的な作品だった。
読後の喪失感を3巻の外伝が埋めてくれることを期待して「銀河英雄伝説外伝1」を再読した。再読とはいえ物語の筋書きはhすっかり失念している。果たして作者は外伝にどのような舞台を用意しているのかというワクワク感はあった。
「外伝1」の舞台は19歳の銀河帝国大将ラインハルトのゴールデンバウム朝打倒に向けての前段の物語である。副官キルヒアイスとの交遊だけでなくロイエンタールとミッターマイヤーという優れた忠臣との出会いが語られる。
とはいえ本編ほどのストーリー性には及ばない。それでも期待感のある読書は継続されている。
読後の喪失感を3巻の外伝が埋めてくれることを期待して「銀河英雄伝説外伝1」を再読した。再読とはいえ物語の筋書きはhすっかり失念している。果たして作者は外伝にどのような舞台を用意しているのかというワクワク感はあった。
「外伝1」の舞台は19歳の銀河帝国大将ラインハルトのゴールデンバウム朝打倒に向けての前段の物語である。副官キルヒアイスとの交遊だけでなくロイエンタールとミッターマイヤーという優れた忠臣との出会いが語られる。
とはいえ本編ほどのストーリー性には及ばない。それでも期待感のある読書は継続されている。
田中芳樹著「銀河英雄伝説10(最終巻)」 ― 2025年11月17日
田中芳樹著「銀河英雄伝説10」を再読した。最終巻である。新書版にして全10巻の超大作を7月中旬から11月中旬にかけて約3カ月かけて再読したことになる。私のピッチとしては早い読了だったという気がする。それほどに面白くて夢中になった作品だった。
前巻では、主人公のひとりヤン・ウエンリーが姿を消し、主人公に次ぐ登場人物のロイエンタールもまた姿を消した。作者は『皆殺しの田中』と呼ばれているようです」とあとがきで読者の声にふれている。さもありなんである。そして最終巻は期待通り主人公ラインハルトの長年の主席秘書官ヒルダとの婚姻で幕を開け、不吉な予想通り主人公ラインハルトの病による死をもって幕を閉じる。
最終巻だけに全巻をとうして次々と登場した膨大な個性豊かな人物たちの行く末が語られる。最終巻にそれらを一気に語らねばならないためどうしても描写が雑になるきらいがあった。
それでも印象的で鮮やかな結末として描かれたのは物語の最高の敵役オーベルシュタインの末路だった。彼は陰謀集団の地球教徒の残党たちに死の床にあるラインハルトを襲わせる筋書きを立てる。ラインハルトの死後お帝国の安寧のためには地球教徒を一人残らず生かしておけないとの判断である。しかも彼らの標的の場所をラインハルトの病室でなく自分自身の居室に導いている。陰謀によってラインハルトに忠誠を誓ったオーベルシュタインの真骨頂が描かれていた。
長いワクワク感のある長編を読了した後の喪失感がある。外伝3巻が辛うじてそれを埋めてくれる。
前巻では、主人公のひとりヤン・ウエンリーが姿を消し、主人公に次ぐ登場人物のロイエンタールもまた姿を消した。作者は『皆殺しの田中』と呼ばれているようです」とあとがきで読者の声にふれている。さもありなんである。そして最終巻は期待通り主人公ラインハルトの長年の主席秘書官ヒルダとの婚姻で幕を開け、不吉な予想通り主人公ラインハルトの病による死をもって幕を閉じる。
最終巻だけに全巻をとうして次々と登場した膨大な個性豊かな人物たちの行く末が語られる。最終巻にそれらを一気に語らねばならないためどうしても描写が雑になるきらいがあった。
それでも印象的で鮮やかな結末として描かれたのは物語の最高の敵役オーベルシュタインの末路だった。彼は陰謀集団の地球教徒の残党たちに死の床にあるラインハルトを襲わせる筋書きを立てる。ラインハルトの死後お帝国の安寧のためには地球教徒を一人残らず生かしておけないとの判断である。しかも彼らの標的の場所をラインハルトの病室でなく自分自身の居室に導いている。陰謀によってラインハルトに忠誠を誓ったオーベルシュタインの真骨頂が描かれていた。
長いワクワク感のある長編を読了した後の喪失感がある。外伝3巻が辛うじてそれを埋めてくれる。
田中芳樹著「銀河英雄伝説9」 ― 2025年11月01日
田中芳樹著「銀河英雄伝説8」を再読した。前巻では物語の主人公のひとりヤン・ウエンリーが地球教の陰謀であっけなく死亡するというとんでもない展開が描かれた。
この巻でも異例の展開が描かれる。物語の3人目の主人公ともいえる帝国軍元帥にして旧自由惑星同盟領提督のロイエンタールがまたしても地球教との陰謀に嵌められ皇帝ラインハルトに反旗を翻す。ラインハルトはロイエンタール軍征討の総帥に帝国軍の双璧にしてロイエンタールの親友の元帥ミッターマイヤ―を任命する。帝国軍の双璧どうしの緊張感あふれる闘いは最終的にミッターマイヤー陣営が勝利をおさめ、ロイエンタールはハイネセンの提督執務室で闘いで受けた重篤な傷のため静かに息を引き取る。
この巻でも異例の展開が描かれる。物語の3人目の主人公ともいえる帝国軍元帥にして旧自由惑星同盟領提督のロイエンタールがまたしても地球教との陰謀に嵌められ皇帝ラインハルトに反旗を翻す。ラインハルトはロイエンタール軍征討の総帥に帝国軍の双璧にしてロイエンタールの親友の元帥ミッターマイヤ―を任命する。帝国軍の双璧どうしの緊張感あふれる闘いは最終的にミッターマイヤー陣営が勝利をおさめ、ロイエンタールはハイネセンの提督執務室で闘いで受けた重篤な傷のため静かに息を引き取る。
田中芳樹著「銀河英雄伝説8」 ― 2025年10月20日
田中芳樹著「銀河英雄伝説8」を再読した。前巻ではイゼルローン要塞の奪還を果たしたヤン・ウエンリー艦隊とハイネセンを直轄統治した皇帝ラインハルト率いる帝国軍との最終決戦の機が熟した様が描かれた。それは、この物語の二人の主人公が雌雄を決する最終決戦を意味していた。
この巻の序盤には二人の英雄の本質的な関係が描かれている。「ラインハルトほど長期的で広い視野と豊かな構想力を持つ戦略家はヤン・ウエンリー以外に存在しなかった。ヤン・ウエンリーほど深い洞察力と正確な状況判断力と臨機応変の対処能力をかねそなえる戦術家はラインハルトの他にいなかった。それは常勝と不敗の対決であったのだ」
同じ記述の延長に二人の共通項と違いが端的に述べられている。「政治というものの目的が、不公正の撤廃と個人の選択の任意度の昂進とにあるという点について、両者は完全に一致していた。(略)両者が戦わざるをえなかったのは、社会的公正を実現するための権力は、集中しているべきか、分散されているべきかという点である」
上記の点は10巻に及ぶこの物語のテーマそのものだと思った。
両者の最終決戦は端的に言えば引き分けのまま双方の事情で陣を引くことになる。ヤン艦隊は圧倒的な戦力不足の中での人的消耗で戦闘継続が叶わなかった。帝国軍は圧倒的な戦力を保持しながらヤン艦隊を殲滅させられない中で指揮官ラインハルトの発病という事態を招いていた。そして両者が戦線を収束する中でラインハルトはヤンに「停戦と会見」の申し入れを発する。ヤン艦隊は会見に応じるためラインハルトの旗艦に向けてイゼルローン要塞を離れるが、その途上で迎えの帝国軍を装った地球教残党の武装勢力に襲われ、ヤンは33歳の若さで命を落とす。
ヤンを失ったイゼルローン要塞は民主共和制の拠点としての存続をかけて政治的指導者をヤン夫人のフレデリカに、軍事的指導者をヤンの養子であるユリアンに託す。一方、帝国の新領土となった旧自由惑星同盟の首都ハイネセンにはローエンタールが総督として赴任し手堅い統治を推進する。
それにしても作者は物語の途方もない展開で読者を驚かせる。ラインハルトの腹心である魅力的な登場人物のキルヒアイスを物語の早い段階で暗殺させて舞台から姿を消させた。今また主人公のひとりをあっけなく暗殺させる形で抹消してしまう。読者ははかりしれない落胆を味合わされながら次の展開に付き合わされる。
この巻の序盤には二人の英雄の本質的な関係が描かれている。「ラインハルトほど長期的で広い視野と豊かな構想力を持つ戦略家はヤン・ウエンリー以外に存在しなかった。ヤン・ウエンリーほど深い洞察力と正確な状況判断力と臨機応変の対処能力をかねそなえる戦術家はラインハルトの他にいなかった。それは常勝と不敗の対決であったのだ」
同じ記述の延長に二人の共通項と違いが端的に述べられている。「政治というものの目的が、不公正の撤廃と個人の選択の任意度の昂進とにあるという点について、両者は完全に一致していた。(略)両者が戦わざるをえなかったのは、社会的公正を実現するための権力は、集中しているべきか、分散されているべきかという点である」
上記の点は10巻に及ぶこの物語のテーマそのものだと思った。
両者の最終決戦は端的に言えば引き分けのまま双方の事情で陣を引くことになる。ヤン艦隊は圧倒的な戦力不足の中での人的消耗で戦闘継続が叶わなかった。帝国軍は圧倒的な戦力を保持しながらヤン艦隊を殲滅させられない中で指揮官ラインハルトの発病という事態を招いていた。そして両者が戦線を収束する中でラインハルトはヤンに「停戦と会見」の申し入れを発する。ヤン艦隊は会見に応じるためラインハルトの旗艦に向けてイゼルローン要塞を離れるが、その途上で迎えの帝国軍を装った地球教残党の武装勢力に襲われ、ヤンは33歳の若さで命を落とす。
ヤンを失ったイゼルローン要塞は民主共和制の拠点としての存続をかけて政治的指導者をヤン夫人のフレデリカに、軍事的指導者をヤンの養子であるユリアンに託す。一方、帝国の新領土となった旧自由惑星同盟の首都ハイネセンにはローエンタールが総督として赴任し手堅い統治を推進する。
それにしても作者は物語の途方もない展開で読者を驚かせる。ラインハルトの腹心である魅力的な登場人物のキルヒアイスを物語の早い段階で暗殺させて舞台から姿を消させた。今また主人公のひとりをあっけなく暗殺させる形で抹消してしまう。読者ははかりしれない落胆を味合わされながら次の展開に付き合わされる。
田中芳樹「銀河英雄伝説7」 ― 2025年10月07日
田中芳樹著「銀河英雄伝説7」を再読した。前巻では同盟の年金生活者だったヤン・ウェンリーが同盟政府と帝国高等弁務官の企みで命を狙われるが、かつての部下たちの工作で辛うじてハイネセンを脱出する顛末が描かれた。
ハイネセンから脱出したヤン・ウエンリーは部下たちと共に僅かな艦隊を率いて宇宙を放浪していた。同じ頃ラインハルト皇帝率いる銀河帝国は、全宇宙の統一を目指して自由惑星同盟本土ハイネセンへの侵攻を宣言する。
ヤン・ウエンリーは帝国軍に対して圧倒的に不利な戦況の局面打開のためかつて放棄したイゼルローン要塞の回復という起死回生策に着手する。ペテンともいえる奇策によってヤンは要塞の最奪取に成功する。
同じ頃に帝国軍と同盟軍は最期の艦隊戦を繰り広げ、帝国軍の勝利の内に終結する。ハイネセンは高等弁務官による間接統治から帝国の直轄統治に移行する。
帝国軍皇帝ラインハルトはイゼルローン要塞に寄って立つヤン艦隊との決戦を決意し二人の英雄の最終決戦の機は熟した。
ハイネセンから脱出したヤン・ウエンリーは部下たちと共に僅かな艦隊を率いて宇宙を放浪していた。同じ頃ラインハルト皇帝率いる銀河帝国は、全宇宙の統一を目指して自由惑星同盟本土ハイネセンへの侵攻を宣言する。
ヤン・ウエンリーは帝国軍に対して圧倒的に不利な戦況の局面打開のためかつて放棄したイゼルローン要塞の回復という起死回生策に着手する。ペテンともいえる奇策によってヤンは要塞の最奪取に成功する。
同じ頃に帝国軍と同盟軍は最期の艦隊戦を繰り広げ、帝国軍の勝利の内に終結する。ハイネセンは高等弁務官による間接統治から帝国の直轄統治に移行する。
帝国軍皇帝ラインハルトはイゼルローン要塞に寄って立つヤン艦隊との決戦を決意し二人の英雄の最終決戦の機は熟した。
田中芳樹著「銀河英雄伝説6」 ― 2025年09月24日
田中芳樹著「銀河英雄伝説6」を再読した。前巻では帝国と同盟という宇宙の二大勢力の闘いが帝国の勝利で決着するという展開が描かれた。それは前10巻の5巻の結末であり物語としても「前編」の終了を意味していた。
シリーズの後編の始まりともいうべきこの巻では冒頭に「地球衰亡の記録」が記されている。地球の90年の戦乱を経て西暦2129年に地球統一政府が成立する。統一政府は内乱と騒乱を繰り返し衰退を続け、忘れられた惑星となる。西暦2801年以は宇宙の他の惑星が主導する銀河連邦が成立するという記録である。作者の壮大な創造力と知識に裏付けられた興味深い記録だった。
ラインハルトはローエングラム王朝の初代皇帝に就いた。その新皇帝を地球の復活を信じる地球教の陰謀で暗殺計画が勃発する。計画は寸前に阻止され、ラインハルトは陰謀の主体である地球教の本拠である地球に進攻を命じ、地球教の本拠は壊滅する。
一方、同盟の首都ハイネセンで優雅な年金生活を送っていたヤン・ウェンリーは同盟政府と帝国高等弁務官の企みで命を狙われ、かつての部下たちの工作で辛うじてハイネセンを脱出する。ヤンはかつての部下たちと共に僅かな艦隊を率いて宇宙の旅路に旅立つ。
シリーズの後編の始まりともいうべきこの巻では冒頭に「地球衰亡の記録」が記されている。地球の90年の戦乱を経て西暦2129年に地球統一政府が成立する。統一政府は内乱と騒乱を繰り返し衰退を続け、忘れられた惑星となる。西暦2801年以は宇宙の他の惑星が主導する銀河連邦が成立するという記録である。作者の壮大な創造力と知識に裏付けられた興味深い記録だった。
ラインハルトはローエングラム王朝の初代皇帝に就いた。その新皇帝を地球の復活を信じる地球教の陰謀で暗殺計画が勃発する。計画は寸前に阻止され、ラインハルトは陰謀の主体である地球教の本拠である地球に進攻を命じ、地球教の本拠は壊滅する。
一方、同盟の首都ハイネセンで優雅な年金生活を送っていたヤン・ウェンリーは同盟政府と帝国高等弁務官の企みで命を狙われ、かつての部下たちの工作で辛うじてハイネセンを脱出する。ヤンはかつての部下たちと共に僅かな艦隊を率いて宇宙の旅路に旅立つ。

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