オイル(老いる)ショック2007年11月21日

 1カ月ほど前からだろうか。左足膝の裏側に違和感を覚えるようになった。単なる筋肉痛で二三日もすれば良くなるだろうとほっておいた。突っ張り感と鈍痛は一向に治まらない。1年前に右手親指爪下の黒ずみを数年間放置した挙句に悪性黒色腫という皮膚癌の発症を告げられたばかりだ。
 意を決して職場近くの行きつけの整形外科医院を訪ねた。この年になると行き付けの医院に事欠かない。いつの間にか「行きつの呑み屋」が「行きつけの医院」になり、財布には殆どのジャンルの診察券が収まっている。
 昼前の比較的空いている待合室でしばらく待ってレントゲン撮影を告げられた。その写真を前に50歳前後の顔馴染みの先生の診察を受ける。触診を済ませて先生のおごそかなお告げがある。「写真で診る限り水も溜っていないようだし、特に心配ありません」。(良かった~ッ)「老化による変形性膝関節症でしょう」(何や!やっぱり問題あるんやないか)「今からストレッチを指導しますから、朝晩二回必ずやって下さい。それと理学療養室でホットパックとウォーターベッドをしてからお帰り下さい」
 整形外科医院の理学療養室(リハビリ室)は、お年寄りの巣窟である。若い頃に怪我でリハビリを受けた時にはひとり浮き上がった気分で馴染まない時間を過したものだ。今、老化による疾患で受けるリハビリ室の空気には、それほどの抵抗感はない。外見的にもこの部屋の空気に溶け込んでいるのだろう。
 「老い」は突然訪れるのではない。日常生活の様々なシーンの中からひとつずつ顔を見せてくる。その顔をそのつど冷静に見つめ、受止めていきながら老いを受入れていくものなのか。自分の中の「老いを否定する気分」とそのようにして折れ合いながら老いに適応していくものなのだろう。京都西陣のわらじ医者・早川一光氏の「オイルショック」発言の私なりの解釈である。

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