東山台の認知症声掛け訓練2018年03月11日

 市社協の地区担当から「東山台のあったか見守り声掛け訓練」の案内チラシをもらった。街で認知症の方を見かけた時の声のかけ方の模擬訓練である。前回開催のようすを地区担当から聞かされて、次回開催の際にはぜひ参加したいと思っていた。
 その訓練に出かけた。JR名塩駅の斜行エレベーターに乗車し終点駅のすぐ近くにある会場のナシオンホールについた。九つのテーブルに分かれて参加者が着席した。主催者やスタッフを含めると100人近い参加者だった。今回で3回目で市内では唯一つの訓練ということもあり、これだけ多くの参加者となったようだ。
 最初にななくさ白寿荘スタッフによるミニ講座があった。パワーポイントによる声掛け訓練のポイントをわかりやすく説明したプレゼンだった。その後、認知症の声掛けの事例と大牟田市の認知症声掛け模擬訓練の様子を紹介したNHKの放送録画を鑑賞した。
 続いて訓練の進め方についての説明があった。二つのコースに分かれて二人づつのペアによる訓練である。前半は声掛けだけの訓練で、後半はスーパーや薬局やグループホーム等へのつなぎを想定した訓練とのこと。
 会場を出て東山台の住宅街の街路と公園に場所を移しての実際の訓練となった。認知症役のボランティアの文字入りジャンパーを着たスタッフを見つけて声を掛ける。ほとんどが介護施設のスタッフで認知症の方との日常的な交流がある方である。加えて事前にどんな役回りでどう受け答えするかもレクチャーされているようだ。相方の年配女性が認知症の方に声をかけたものの後が続かない。言葉が出ない。きまづい沈黙が続いて認知症の方から助け舟風の言葉が出る。ことほどさようにいざ実際に声を掛けるとなるとほんとに言葉が出ないものだ。
 私の番になり相方の失敗を参考にとりあえずひたすら言葉を発することにつとめた。「こんにちは」「暖かくなりましたね」「どこにお出かけですか」「ここにはよく来られますか」「いつも行くお店はどこですか」等々。
 後半の「つなぎ訓練」に入った。「いつもよく行くお店はどこですか」という問いに「オアシスですね」とのこと。ちょうどオアシスのポスターを張ったテーブルが目に入る。「ではオアシスに行ってみましょうか」と案内する。店長の名札をつけた男性に引継いだ。経験豊富そうな店長が巧みに身許を推定できるような会話を引き出してくれる。つなぎ場所のありがたさを実感した。
 1時間近くの訓練を終えてナシオンホールに戻った。暖かくて美味しい白玉ぜんざいを頂きながら振り返りの懇談会となる。誰もが異口同音に「言葉が出ない」ことの難しさを口にする。認知症の方への声掛けにマニュアルなどがないことは承知の上で思ったことがある。言葉が出ないことには話にならない。実際の声掛けにヒントとなる幾つかのトーク事例があるように思える。「コンニチハ」に始まり「いいお天気になりましたね」「どこに行かれますか」「ここはよく来られますか」「おうちにはどなたかおられますか」「何か好きなことをされてますか」「よく行くお店はどこですか」等々。そんなトーク事例を紹介してもらえればありがたい、とおしゃべりが苦手なリタイヤオヤジの感想を述べた。
 全員で集合写真を撮って3時間近くの貴重で意義深い声掛け訓練を終えた。