アメリカ民主主義の凄み ― 2008年08月29日
米国コロラド州デンバーの7万6千人を収容する屋外競技場の演壇で、会場を埋め尽くした聴衆を前に若き黒人指導者が自信たっぷりに語りかけている。会場全体を見渡しながら、時にカメラを真正面に見据えながら、ごく自然な身ぶり手ぶりを交えた堂々たるスピーチである。長時間にわたるスピーチをメモを一切見ることもなく、澱みなくこなしてしまう能力は、驚嘆に値する。
NHKの衛星放送から流されるアメリカ民主党大会最終日のバラク・オバマの大統領候補指名受諾演説の模様だった。多民族国家の超大国アメリカが築き上げた民主主義の仕組みの偉大さと凄みを素直に評価するのはこんな風景を目にするときである。ケニアの留学生の父と名もない白人の母の間に生を受けたマイノリティーが世界の指導者ともいうべきアメリカ大統領候補にまで登りつめた瞬間だった。同じ多民族国家で超大国の階段を登りつつある中国には望むべくもない光景だ。
オバマは語る。「ワシントンがアメリカを変革するのではない。アメリカ国民がワシントンに変革をもたらすのだ」「米国精神、つまり『米国の約束』こそが未来を切り開くのだ。違いを超えて、われわれをひとつに束ねるのだ。これこそが、われわれが受け継いできたもっとも偉大な財産だ」。それは8年間のブッシュ政権がもたらした米国と世界の分断を「ひとつのアメリカ」によって取り戻そうという壮大な挑戦と受止めたい。
そのアメリカにもアキレス腱がある。オバマが自らをなぞらえようとするケネディー大統領の暗殺に代表されるテロという暴力の風土だ。初の黒人大統領への期待と同時に、感情的な忌避の土壌が並存する。オバマ暗殺説がまことしやかに流布される風土でもある。アメリカ民主主義は凄みと同時に脆さも抱えている。
NHKの衛星放送から流されるアメリカ民主党大会最終日のバラク・オバマの大統領候補指名受諾演説の模様だった。多民族国家の超大国アメリカが築き上げた民主主義の仕組みの偉大さと凄みを素直に評価するのはこんな風景を目にするときである。ケニアの留学生の父と名もない白人の母の間に生を受けたマイノリティーが世界の指導者ともいうべきアメリカ大統領候補にまで登りつめた瞬間だった。同じ多民族国家で超大国の階段を登りつつある中国には望むべくもない光景だ。
オバマは語る。「ワシントンがアメリカを変革するのではない。アメリカ国民がワシントンに変革をもたらすのだ」「米国精神、つまり『米国の約束』こそが未来を切り開くのだ。違いを超えて、われわれをひとつに束ねるのだ。これこそが、われわれが受け継いできたもっとも偉大な財産だ」。それは8年間のブッシュ政権がもたらした米国と世界の分断を「ひとつのアメリカ」によって取り戻そうという壮大な挑戦と受止めたい。
そのアメリカにもアキレス腱がある。オバマが自らをなぞらえようとするケネディー大統領の暗殺に代表されるテロという暴力の風土だ。初の黒人大統領への期待と同時に、感情的な忌避の土壌が並存する。オバマ暗殺説がまことしやかに流布される風土でもある。アメリカ民主主義は凄みと同時に脆さも抱えている。

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