町並み散策「京都東山・産寧坂」2015年01月12日

 昨日の朝10時前にJRと阪急電車を乗り継いで、京都河原町駅に降り立った。四条通をまっすぐ東に向かった。正面に八坂神社の朱塗りの楼門が見える。本殿北側の参道を抜け円山公園に入る。公園中央の大通りを北に折れ、山門をくぐると右手には知恩院の広大な敷地が広がっていた。
 石畳のなだらかな坂道の先に、堂々たる伽藍が飛び込んでくる。残念ながら最も広大な伽藍の本堂(御影堂)は修復工事中でその雄姿は窺えない。奥の法然上人御廟に向かった。参道脇に建つ法然上人の写実的な銅像が印象深かった。御廟を参拝した後、元に戻り霊塔、阿弥陀堂、集会堂の前を抜けて北側の石畳の階段を下りた。さすがに浄土宗総本山である。その多くの伽藍が配された壮大な境内の趣きに圧倒された。
 円山公園に戻り大通りを南に突き当り、西に折れ「ねねの道(高台寺通り)」に入った。いかにも京の町家風の家並みが続く通りである。南に下ってすぐ東側に高台寺の参道の坂道があった。高台寺は以前に家内とツアーで参拝したので今回はパスし、正面から南に折れ霊山観音を経由して参道を下りた。
 11時を過ぎていたので早目の昼食を摂ることにした。ネット検索でお目当てのゆば料理の「高台寺羽柴」はすぐそばの高台寺塔頭・圓徳院山内にあった。テーブル席が30席ほどのこじんまりした店内である。注文したのは”京ゆば膳”(2千円)だった。小鉢に三種の味付けの湯葉、二種の湯葉田楽、揚げ出し湯葉、湯葉グラタン、白味噌汁、とろとろ湯葉ご飯の6品がついた湯葉づくし御膳だった。湯葉好きにはたまらない料理に違いないが、そうでもない私にも十分満足できる味わいだった。特に簡易コンロで戴く湯葉グラタンと独特の風味の湯葉ご飯はお薦めである。デザートに「ゆばの黒蜜きなこ掛け(330円)」を戴いた。
 ねねの道に戻り南に向かった。観光用の人力車が並んでいた。人力車に着物姿の白塗り化粧の若くて美しい外国人女性二人の姿を見つけてビックリ!交差する維新の道を東に向かい、坂道の手前を南に下る道が二寧坂(二年坂)である。この道に入った途端に一気に人波に洗われる。左右を町家風のお店に挟まれた路地道をぎっしりと観光客が往来する。「まちなみ&山里散歩」のガイドブックに正法寺境内からの東山の町並みの眺めが素晴らしいとあった。二寧坂中ほどの小路を東に急な階段を上りつめて境内に辿り着いた。確かに京都タワーや町並みは遠望できるが木々の合間からの景色は期待ほどではなかった。二寧坂を東にカーブした先から産寧坂に入る。通りの南の先に急な階段状の坂道がある。サスペンスドラマでお馴染の舞台である産寧坂の坂道だ。上からの通りを見渡す風景はさすがに情緒がある。
 産寧坂と交差する清水坂を東に向かう。ほどなく一気に視界が広がり、正面に朱塗りの堂々たる仁王門が待ち構える。拝観手続きを済ませ人ごみの中を経堂や開山堂を通り、ようやく本堂に着いた。本堂前の清水の舞台には大勢の観光客がひしめき、韓国語や中国語が飛び交っている。軽く参拝を済ませ、東側の釈迦堂、阿弥陀堂、奥之院前の参道をめぐる。この参道からの本堂の眺めが絶景である。清水の舞台の全景が同じ高さから望める。参道の南の端から折り返し、三重の子安塔や音羽の滝を眺めなら仁王門前に出た。
 清水坂、産寧坂を抜けて二寧坂と交差する小路を西に下った。ほどなく家並みの正面に八坂の塔の雅びな姿が登場した。ガイドブックや絵葉書にもしばしば登場する風景だ。折しも十日えびすの日だった。小路を往来する熊笹を持った着物姿の人々が八坂の塔の景色の中に溶け込んでいた。
 東大路通りを横切り建仁寺の境内を抜けて四条河原町に戻った。高島屋でお土産用の阿闍梨餅を求めて14時過ぎの阪急電車に乗車した。歩数計は既に2万歩を越えている。JR宝塚駅構内のベーカリショップでコーヒーを飲み、16時過ぎにようやく自宅に辿り着いた。久々の長時間の町並み散策が運んだ地よい疲れが、その夜の快眠をもたらした。