独り身の高齢男性の自立生活の落とし穴2022年03月16日

 民生委員の担当地区の独り住まいの高齢男性の厄介な事案が判明した。
 独り身の高齢男性である。近所づきあいも少なく寂しさも手伝ってか徐々に飲酒に依存する生活が続いていたようだ。コロナ禍でそれまで通っていた囲碁・将棋サークルも閉鎖された。年金生活者だが年金収入の大半は飲酒に費やされていたようだ。料金滞納で水道、電気、ガスもストップした。室内の片付けもネグレクトされゴミ屋敷化しているとの情報もあった。昼間に大声で住宅街を徘徊し、ご近所の不安の声も聞こえてきた。
 こうした情報を得て地域包括センターに連絡し対応を協議した。その結果、地域包括、保健センター、民生委員による個別ケア会議が開催された。自立生活が破綻している懸念がある。会議参加者5人で訪問し、ご本人と生活スタイルの抜本的な見直しを話し合うことになった。
 訪問当日である。室内は文字通りゴミ屋敷である。まずは自立生活に向けて最低限の生活空間の確保が必要だ。訪問者5人でリビングと寝室のゴミ処理にかかった。2時間ほどかけて済ませた後、地域包括の責任者を中心にライフラインの復旧に向けた対応や生活見直しをご本人と打ち合わせた。向こう三軒両隣りのご近所さんには私から経過を報告した。
 超高齢社会を迎えてこうした事例は今後起こりうると思えた。とりわけご近所づきあいの少ないおひとり住まいの高齢男性の自立生活の維持は地域での見守りが必要だ。