和解の勧め2009年08月05日

 先日の労働委員会で和解協議が無事まとまった。不当労働行為で申立てのあった案件だったが、途中から労働委員会の和解協議の勧めに労使双方が応じ、2回の協議で和解に至ったものである。
 不当労働行為の審査は、労使双方の当事者に書類作成や審査出席等の多大の労力負担を強いることでもある。1年前後の審査の末出された命令が労組や労働者への有効な救済に繋がるかどうかも定かでない。できれば和解によって当事者双方が合意に至ることが望ましいのはいうまでもない。
 とはいえ双方の和解の意思が確認され、和解協議のテーブルについたとしても、そこに至るいきさつや面子や想いや感情のこじれが、しばしば合意の妨げになる。そうした障害を越えて和解合意に至るためには双方の気持ちの切り替えが不可欠になる。相手の不当性をいかに明らかにできるかというスタンスから、相手の立場やこだわりを理解した上で自らの守りたいこと実現したいことのギリギリのところを見極めなければならない。面子や建前でない実を確保する決断が必要である。
 雇用継続を争った今回の案件では、命令交付時点では定年退職日を超えるはずの申立人・労働者が、命令によって得られるものは自己満足や面子だけといったことが明らかだった。第1回目の和解協議で労働者委員の立場から和解に向けての気持ちの切り替えや確保すべき「実」の見極めを求めた。2回目の和解協議で申立人側からの大胆な金銭和解案が提示され、使用者側がこれに全面的に同意することで一気に和解が成立した。申立人の和解案提示に当たって「前回の労働者委員の和解に向けた検討姿勢の発言を留意した」旨のコメントがあった。労働者委員としての自分なりの貢献を実感させられたありがたいコメントだった。

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