行政諮問委員会と周辺探訪2009年11月02日

 欲張りな一日だった。朝10時から12時まで市の第3回地域福祉計画策定委員会に出かけた。西宮北部と南部を繋ぐ直通バスが足となる。便利だが本数が少ない。市役所前バス停に8時50分頃に着くバスしかな。これに乗車してひとつ手前の西宮戎で下車した。この際、まだお参りしたことのない西宮戎神社に参拝しようと思った。
 国道2号線から意外と遠い神社東側の大通りを歩く。最初に目にするのは室町初期と推定される大練塀だ。一見して頑丈そうな土塀が広大な境内を囲んでいる。すぐ南に豊臣秀頼寄進と伝わる表大門(赤門)がある。毎年1月10日の十日戎で福男選びの開門神事の出発点の門である。大練塀、表大門はともに国の重要文化財のようだ。大門をくぐると樹木に覆われた荘厳な別世界が待ち受けている。参道に沿って西に行くと左に南門の威容が見える。右に折れた正面参道の左側にはリンゴ飴やベビーカステラなどの昔ながらの露店が常設されている。正面には社務所の大きな建物がある。手水舎の先に由緒書があった。「ゑびす様の総本社。平安末期には既に皇族たちの参拝があった。中世以降、傀儡子たちがゑびす信仰を全国に広めた。戦災で焼失した本殿は元国宝建築物で昭和36年に復元された」といった内容が目についた。その本殿は青銅葺きの屋根と朱塗りの柱をもつ風格のある建物だった。本殿正面から拝殿に向って参拝を済ませた。
 会議場所のある市役所東館の北隣に臨済宗の名刹・海清寺があった。境内に入ると閑静な中にコンクリート造りながら禅宗寺院らしい構えの本堂と庫裏の佇まいがあった。一旦境内を出て市役所東館から眺めた風景が見事だった。寺院正面には江戸期建立の朱塗りの柱と白壁の美しい山門があった。山門前には室町時代の1394年の開山の時に植えられたと伝わる樹齢600年を越える大クスノキが見事な枝ぶりを広げていた。
 2時間余りの会議を終えた。会議自体は行政の諮問委員会の実態を垣間見た面白い時間だったが詳細は控えた方が良さそうだ。会議後、再び西宮神社の方向に向った。帰路のバス発車までたっぷり時間ある。この時間を昼食と先日の船坂ビエンナーレで鑑賞した人形芝居の常設館見学に当てようと思った。阪神電車西宮駅の南、西宮神社の東に西宮中央商店街(通称・戎参道)が広がっている。戎座人形芝居館はその南西の隅にあった。中央商店街が二階建て民家を改装して開設したものだ。入口家付には女性二人とビエンナーレ公演で司会役だった館長の姿があった。見学をお願いするとすぐに館内にあげてもらい館長から懇切な説明を受けた。西宮戎と傀儡師とは深い縁がある。人形館は傀儡子の伝統芸能を受け継ぐものだ。郷土史研究に傾斜しつつある私の興味をかきたてられた見学だった。
 1時過ぎのやまなみバスに乗車して帰路についた。思いのほか充実した半日だった。