外国人労働者問題・・・地域民生活動の新たなテーマ2009年11月13日

 民生・児童委員の地区定例会の日だった。特に何事もなく閉会しようとしていた時だった。議長役の会長からのある同僚委員の提案が告げられた。提案は9月に開催された山口の地域フォーラムのプロデュース役を引き受けていた委員からだった。
 戦前にブラジルに移民した日本女性の四世代にわたる姿を描きブラジル映画祭でグランプリを受賞したブラジル映画「GAIJIN2」という映画がある。この映画を民生児童委員協議会主催で地元・山口で上映できないかという提案だった。背景には彼が民生委員として担当するエリアに相当数のブラジル人労働者がおり、これまで生活困窮や健康保険料の支払い問題などの相談を受けた。山口の他のエリアも含めて20名前後のブラジル人労働者が在住していると推定される。彼らの実情を理解する上でもこの会議による上映を検討してもらえないかという内容だった。
 この会議では珍しく活発な議論となった。「趣旨は分かるがこの会議の主催というのは無理がある」「自治会や社会福祉協議会などの主催がベターではないか」「実行委員会で主催し各団体が後援するという形が望ましい」「観てもいない映画の主催の可否を問われても判断できない」といった意見や「民生委員の対象はあくまで日本人に限られるべきで外国人にまで及ぼすべきでない」といった少し踏み込んだ意見もあった。
 個人的には労働市場のグローバル化が避けがたい流れの中で、身近な地域に外国人が在住する可能性は否定できない。彼等が助けを求めれば民生委員としては対応せねばならない。その際に彼らの実情を少しでも理解しておくことが望ましい。その意味でも映画の上映は賛成だ。上映することを前提に他のしかるべき組織に打診し、それが困難な場合でもこの会議で引き受ける位のスタンスが必要ではないかと思った。その旨の意見を述べた。
 結論的には実行委員会での主催を前提に各組織の後援を求める方向での上演が大枠の確認となった。現実的なコンセンサスといえる。地域の新たなテーマとその具体化に一石を投じる面白い議論だった。