山口ホールで神戸を中心に演奏活動するポチジャズ・クラブ（ＰＪＣ）のジャズコンサートがあった。先着２００名招待のホールのオープニングイベントの整理券はあっという間になくなったという。かくゆう私も発行翌日に２枚の整理券を入手した。
　２時半の開場直前のホールには、３割ほどの観客が席を埋めていた。同じ丁内のジャズが大好きだというおばあちゃんや、民生委員仲間の主婦やオジサンなど知人の顔も見える。舞台上では既にビッグバンド用の譜面台や管楽器、ピアノ、ベース、ドラムスがセッティングされている。開演間際になってほぼ客席が埋まった。多くは年配の男女であり、阪神間の客層とは趣きを異にしていると思われた。
　ピアノ、ベース、ドラムスのトリオによるオープニングナンバーが始まった。終ると同時に舞台右袖から進行役のＰＪＣ代表が登場し、ファーストステージのポチ・ジャズバンド１１名が配置に着いた。進行役のプロとアマチュアの混成バンドであること、ジャズの歴史の紹介をはさみながらの今回の演奏であることなどのこなれたトークが始まった。黒いオルフェや慕情などの九曲が二人の男女のボーカルを交えながら演奏され、ファーストステージが終った。
　１０分の休憩を挟んで、１７名の大部隊のポチ・ビッグバンドによるセカンドステージが始まった。進行役から前半のイマイチのノリを気にした発言があったりする。六甲をひと山を越えたカントリー地帯である。お年寄り中心の客層でのノリの悪さは如何ともしがたい。それでも気を取り直した観客たちが手拍子で応える。二人の女性ボーカルを交えた九曲がビッグバンドの迫力のある演奏でホールを圧倒した。アンコール曲一曲を含め無事予定時間の５時前にコンサートが終了した。
　学生時代、モダンジャズに嵌った時期があり、ジャズ喫茶に入り浸っていた思い出が甦った半日だった。今春誕生した山口ホールは、この地域では本格的なコンサートに耐えられる唯一の施設である。ホールを併設した山口センターが、地域住民のニーズに多面的に応える機能を着実に果たしつつある。