黒山羊ハッチャンの脱毛2009年05月09日

  昨日のことだった。朝の散歩を終えて自宅近くの石材屋さんの所に戻ってきた。棲み家を仕切っている金網に黒山羊ハッチャンが背中をこすっていた。見るとハッチャンの身体中を脱色したような薄茶色になった毛が醜くまとわりついていた。近づいてハッチャンに声をかけると、振り返ったハッチャンの眼が悲しげに見えた。なぜかハッチャンがいつまでも元気でいるわけではないのだとフト思った。
 今日もまた散歩帰りの道すがら、いつものように私の視線が黒山羊ハッチャンの姿を求めて棲み家の原っぱ行き来する。すると思いがけない場所にハッチャンがいた。原っぱと石材屋の駐車場との境目の斜面にいた。作業服姿のオジサンが駐車場の淵に立って、清掃用の長柄ブラシでハッチャンの背中をこすっていた。
 昨日のハッチャンの悲しげな様子が嘘のようだ。気持ち良さそうにブラシの動きに身を委ねている。石材屋さんのハッチャンの飼育担当なのだろうか。ハッチャンのオジサンへの安心しきった信頼感が伝わってくる。新緑が燃え立つ季節である。昨日のハッチャンの脱毛は新たな毛の生え変わりの結果だったのだ。そんな勝手な思い込みに満足しながら、様々な人がハッチャンを愛し、そして癒されていると思った。

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