西浦達雄コンサート in yamaguchi2010年09月26日

 山口中学PTA主催の「西浦達雄コンサート in yamaguchi」が開催された。昨年の同じイベントは、私のHP「にしのみや山口風土記」が地域デビューしたフォーラム「今の山口、これからの山口」だった。http://ahidaka.asablo.jp/blog/2009/09/27/
 今回は、「夢。語る、叶える、感謝する」をテーマとしたコンサート だった。甲子園の全国高校野球選手権大会中継のエンディング担当のシンガーソングライターとして著名な西浦達雄さん(白状すると私は今回初めて知ったのだが・・・)のライブである。
 開演15分前に山口センターに着いた。会場の山口ホールのホワイエには大勢のPTA役員たちが入場者を出迎えている。かなり力が入っていることがひしひしと伝わる。200名収容のホール客席を既に7割がたが埋められている。舞台最前列にはシートが敷かれ山中野球部員たちが着席している。開演直前にはあふれた入場者を収容するため急きょ椅子席が前に詰められ補助椅子が用意された。それでも立ち見客は吸収できない。山口ホール開設以来の入場者数を記録したのは間違いない。
 PTA会長、校長の挨拶の後、西浦さんが登場した。56歳には到底見えない若々しい風貌と白のコットンパンツに縞のジャケットのいでたちがまぶしい。ライブが始まった。プロの見事な構成と演出だった。ホールの優れた音響環境に加えて専用の機器の効果も威力を発揮し、素晴らしい音響効果を実現している。しばらく西浦さんの声量豊かなピアノの弾き語りが会場を制した。舞台奥の壁にはプロジェクターが動画や静止画で「青春」を映している。
 その後、「今から世界で一曲しかないメロディーを披露します」との口上で、突然選ばれた野球部員の一人がピアノの前に招かれた。「白の鍵盤三つを自由に叩いて下さい」と促され、はにかみながら野球少年がぎこちなく三音を叩いた。選ばれた音を確認した後、即興で西浦さんが作曲するのである。三つの音がテーマメロディーとなって随所にこめられた見事なメロディーが奏でられた。プロの凄腕に唖然とするばかりだ。
 野球が大好きな車椅子生活の少年の手紙が朗読された。西浦さんに寄せられた手紙のひとつだ。少年の弟は兄の願いを背負って少年野球の選手として頑張っている。西浦さんの歌に何度も励まされながら、母子家庭の兄弟が二人三脚で甲子園を目指している。「夢。語る、叶える、感謝する」というコンサートのテーマそのものの物語だ。朗読が終わった直後に、西浦さんのメッセージが力強く告げられる。「多くの若者が甲子園での優勝という夢を追いかけて頑張っている。優勝という文字は『優れた者が勝つ』と書く。私には『優しい者が勝つ』とも読める」。心にしみる言葉だった。
 ライブが終わり、舞台袖に消えた西浦さんの姿を追った拍手がアンコールの手拍子に変わった。再び登場した西浦さんが口にする。「私はアルコールが全く呑めません。しかしアンコールには喜んで応じます」。アンコール曲は舞台を降りて観客と握手を交わしながら歌われた。サービス精神旺盛なエンタテナーだった。
 すし詰めの観客に爽やかな感動を与えて、1時間半のライブがあっという間に終わった。