下り坂にさしかかって2012年02月17日

 久々の好天だった。有馬川沿いのいつもの散歩道を歩いて、いつものマクドナルドにやってきた。いつもの窓際の席でモーニングコーヒーを飲みながら、読みかけの藤沢周平の時代小説を愉しんでいた。陽の光が差して込んできた。畑山の頂きから眩しい輝きを放ちながら太陽が顔を出しつつある。しばらく見とれた。
 こんな時だ。ふともの想い耽ってしまうのは。今の生活や歩んできた道のりや歩もうとする道のりを考えてしまう。そこそこに幸せな道のりだった。リタイヤ後の人生もやるべきことや好きなことに貪欲に挑んできた。齢からすればセカンドライフもその頂きにいるのかもしれない。下り坂にさしかかって、そろそろ広げすぎた両手をすぼめることも考えねばなるまい。
 ひとまわり若い地元の友人が先日入院した。幅広い地域活動を精力的にこなしていた。彼のベンチ入りの及ぼす影響は大きい。他山の石とすべきだろう。三月末は多くの地域組織の役員改選の時期である。既にその事前調整が始まっている。活動分野の取捨選択の機会でもあると心しよう。
 『日は残りて昏るるに未だ遠し』とは藤沢周平の作品に記された言葉である。『物をふやさず、むしろ少しずつ減らし、生きている痕跡をだんだん消しながら、やがてふっと消えるように生涯を終わることが出来たらしあわせだりうと時々夢想する』というのも藤沢周平の言葉である。