高橋克彦著「風の陣--立志篇--」2015年02月07日

 北方謙三の全七巻の大作「史記 武帝紀」を約3カ月かけて読了した。第7巻を読み始めてすぐに次の読み物をさがしていた。知人からブログコメントで紹介されたのが高橋克彦著「風の陣」だった。蝦夷を題材とした長編古代歴史小説で、大いに興味をそそられすぐに全5巻をネットで調達した。その第1巻・立志伝を読了した。
 高橋克彦の著作は初めてだった。釜石市生まれの作者は、東北地方を舞台とした歴史小説が多い。その中でも「風の陣」はもっとも新しい作品のようだ。
 「風の陣」の舞台は、8世紀後半の奈良時代である。主人公は丸子嶋足という陸奥国牡鹿郡出身の蝦夷で歴史上の人物である。とはいえ大和朝廷側の歴史を中心に学んだ者には、ほとんどなじみのない人物と言えよう。この作品のテーマのひとつがその点にある。ほとんど知られることのなかった蝦夷のひとりを主人公にすることで、蝦夷の側の歴史を描いている。
 北方作品とはまた違った味わいの、波乱に満ちた古代歴史物語が幕を開けた。しばらくこの作品との付き合いが続く。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック