有馬川”橋物語”➄芽具実橋2024年05月12日

 山口センター近くの有馬川に一風変わった橋が架けられている。山口交番前の平成橋のすぐ南の”芽具実橋”である。蔦に覆われた水色の鋼板の橋である。
 変わっている点は二つある。ひとつはいかにも鉄橋を思わせる外形である。橋床の両側を川面に向かって水色に塗装された鋼鉄がカバーされている。
 今ひとつは架かっている位置の特異さである。すぐ北の平成橋とは50m程しか離れていないし、南の万代橋とも100m程の距離である。架橋する必要性は感じられない。もっとも歩くだけの幅の狭い橋であえて架橋したと思える橋である。
 この二つの特性を念頭に地図でこの橋を確認するとハタと思い当たることがある。公智神社の前面道路は昔から”線路道”と呼ばれていた。かつて山口町を縦断していた「国鉄有馬線」の線路が走っていた道である。その線路道が有馬川にぶつかる位置にこの橋が架かっている。国鉄線が健在だったころには間違いなくここに鉄橋があった筈である。今の芽具実橋は川に沿って直角に架かっているが、当時の橋は向う岸の山口中学横の線路道の位置から推測するとやや斜めに南の方角に架けられていたようだ。当時の鉄橋を映した写真は私の知る限りどこにもない。この橋が鉄橋を思わせる形状も当時の橋を偲ばせるものかもしれない。芽具実橋の両岸には橋梁を載せたような石垣が今も残されている。
 芽具実橋は、西宮市立西宮東高等学校地歴部発行の「変容する西宮北部」には1983年の芽具実橋の写真が「旧有馬線鉄橋跡」として紹介されている。

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