固定電話維持宣言2010年07月19日

 我が家のFAX機能付き固定電話の子機が繋がらなくなった。充電機能が壊れたようだ。最寄りの家電量販店で修理見積もりを聞くと、1万円程度は必要だが、ほぼ同額で同じ機能を持った最新の固定電話が購入できるという。今や個人携帯の時代である。各家庭から駆逐されつつある固定電話機は大きく値崩れしているのだろうか。即座に購入し、午後の半日を接続やら電話番号登録やらで費やした。
 先日、NHKの朝の連ドラ「ゲゲゲの女房」で主人公一家が初めて電話機を購入するシーンが映されていた。私の幼児体験にオーバーラップするシーンだった。当時、実家近くに結構大きな八百屋があった。ご近所で唯一の電話機が店の奥の柱にかけられていた。木箱で覆われた電話機の横のハンドルを何回か廻して電話をかける様子を物珍しく眺めていた記憶がある。電話機が金持ちの象徴だった時代である。
 携帯が当たり前の時代に育った若者たちが結婚しても、固定電話は新居に設置しないという話を先日聞いたばかりだ。私たちの一家に一台の固定電話の常識は、すでに彼らには通用しない。「○○ちゃ~ん、電話やで!」という家族間の会話はもはや望むべくもない。家庭の核家族化、パーソナル化が進展する中で、家族の絆を辛うじて繋いでいたかに見える固定電話さえも遂に風前の灯火となりつつある。
 とはいえ、個人対個人で繋がる携帯でない、家対家で繋がる固定電話の絆にこだわりたい。メールの通用しない場面ではFAXが威力を発揮する現実もある。通話料だって固定電話の方がはるかに低コストだ。時代に抗しても我が家はやっぱり固定電話を維持しよう。