語り部の役回り2010年08月12日

 昨日の午後、久々に三宮に出かけた。兵庫県勤労福祉協会が進めている兵庫県労働運動史編纂事業のヒアリングに応じるためだ。三年前の現役最後の年にも同じ労働運動史編纂事業の昭和40年代のヒヤリングに応じた。今回はその続編でもある昭和50年代の労働運動史がテーマである。
 地下鉄・県庁前駅から西に徒歩15分ほどの県立産業会館3階に労働運動史編纂室があった。1時半過ぎに訪問し出版された前回の40年代史の私が関わった産業分野にざっと目を通した。2時過ぎから執筆者と編纂室担当者のお二人からヒアリングを受けた。
 昭和50年代、私はあるチェーンストアの労組役員として過ごしていた。上部組織の事務局に派遣されたり労組代表者にも就任した時期だ。チェーンストアの多くの労組が昭和40年代後半に相次いで結成されていた。50年代は業界が高成長から低成長・成熟化への転換期を迎えた激動の時期でもあった。そんな時期の商業流通業界の労働問題の課題や上部組織の動向などについてお話した。
 それは今から20~30年前の時期を対象としたものであり、振り返れば現役生活でも最も充実した時期のひとつでもある。その頃の思いをこうした公けの資料の中にこめられることをありがたく受け止めた。同時に自分自身が今や「語り部」の役回りを演じる年代に到達したことをあらためて認識させられる出来事でもあった。
 2時間ばかりのヒアリングを終えて帰路に着いた。戴いた紙バックには聞き取り対象者に贈られる「兵庫県労働運動史 昭和40年代(全三巻)」が入っていた。私の歩んだ道のりの証のひとつである。