野良犬ジョンが飼犬になった2012年02月19日

 久々の快晴の空の下の散歩道だった。いつもと違う有馬川を南に向かうコースを歩いた。有馬川緑道沿いの川面にはカモの群れが多い。堰の上には必ず何羽かのカモが餌を求めて目を凝らしている。堰を流れ落ちる水飛沫とカモのたたずまいに見とれた。
 緑道の向うから散歩帰りの知人の姿が近づいた。挨拶を交わしてすれ違った後、思いついたように声をかけられた。野良犬ジョンの消息だった。そういえばここ二三日見かけていない。「昨日、無事に捕獲されたようです」「エッ!保健所に誰か通報したんですか」「いや、飼いたいと言っていた4丁目の人が、ようやく捕まえられて自宅に連れて行ったということです」。
 良かった。野良犬ジョンにとっての最善の結末だった。晴れて「飼犬ジョン」になったんだ。彼自身は嫌がった選択肢だったかもしれない。とはいえ野良犬としての自由は、痩せ細った果てに保健所に通報されるリスクを負っていた。
 有馬川緑道を十王堂橋で折り返し旧街道を歩んだ。畑山、丸山の山並みから朝日が顔を出しつつあった。そのまぶしさを眺めながら、飼犬ジョンの新たな出発を想った。