西宮歴史調査団が幕を閉じる2024年11月08日

 購読新聞の阪神版に目を引く記事が掲載されていた。「西宮歴史調査団、活動に幕」のタイトルで18年間に渡って市内の身近な文化財の調査活動を担っていた調査団の解散を伝えるものだった。
 調査団は2006年に結成された市民主体の文化財調査ボランティアである。私自身も2011年3月に「西宮歴史調査団活動報告会&会員登録会」に出席し、団員登録した。 https://ahidaka.asablo.jp/blog/2011/03/12/ 1年間の調査活動では初めての北部地区・山口町の公智神社と名来神社の石造物調査を行った。その調査結果を2012年2月の定例会で報告し、調査団を卒業した。 https://ahidaka.asablo.jp/blog/2012/02/11/6330625
 その個人的にも思い入のある西宮調査団の活動終了の報道だった。毎年15~35人の団員が活動に参加していたが、高齢化と新規参加者の減少で活動継続が困難になり解散することになったという。
 幕を閉じるに当たって、市立郷土資料館では調査団の成果を紹介するパネル展示や講座等が11月1日から10日まで開催されている。

障がい当事者が”親亡き後”を発信2023年05月10日

 市社協から障がい者支援の学習会の案内が届いた。”障がい当事者の自立ってなんだ?”のキャッチコピーとともに「当事者視点で考える『親亡き後』『親離れ』」の紹介記事が気になった。障がい者支援では関係者にとって『親亡き後』が深刻なテーマである。そのことを家族から聞くことはあったが、当事者からは聞いたことがない。今回の勉強会ではその点が聞けそうだ。早速受講を申し込んだ。
 会場の山口公民館に30数名が受講した。講師は脳性麻痺当事者で36歳の茂上裕太郎氏である。冒頭に刺激的な自己紹介があった。プロジェクターに2枚のシートが映される。1枚目は「その人は歩くことができません。その人はおむつをあてています。その人はヨダレをよく垂らします等々。その人は何歳でしょうか」。2枚目は「その人はビールが好きです。その人は運転免許を持っています。その人は結婚しています。その人は社会福祉士です。その人は何歳でしょうか」。次のシートで答えが明かされる。「1枚目はADL(日常生活動作)が0~1歳児程度の茂上裕太郎です。2枚目は36歳のおっさんの茂上裕太郎です」。
 障がい当事者のもつ二面性をあるがままに伝えた見事な「ツカミ」である。聴衆の気持を鷲掴みするインパクトがある。重度の障害を背負って生きてきた36年の人生のエッセンスの紹介が勉強会の趣旨を端的に表現している。
 さて個人的な関心事だった「親亡き後」についての障がい当事者である茂上氏のコメントである。氏は「障害者の自立生活」について「従来の「自分で何でもやること」から「自分で生活動作ができなくてもヘルパーに指示して自分の生活を作っていけば生活できる」という。それを「自己決定自立」という形で実現している。その自立生活を前提に『親亡き後』について次のようにコメントする。「親は必ず先に死ぬ。自立してないと困るのは僕」「依存先を増やしていくことが自立ではないか」というスタンスを明らかにする。自ら切り開いてきた過ごし方に裏付けられた明快な主張である。「できないことはできない。できる環境を自分で整える」というコメントに『目から鱗』の想いをもたらされた。
 久々に受講した勉強会は、説得力のある心揺さぶられる講座だった。

長尾医師の「「かかりつけ医構想」のコメント2023年03月10日

 尼崎の町医者・長尾和弘氏のブログを愛読している。4月24日の「かかりつけ医構想は迷走中」という記事に共感した。国の「かかりつけ医構想」が日本医師会の大反対で迷走中であるという記事である。
 国は多重受診や多剤投与による無駄な医療費を抑制するため個人ごとに原則一人のかかりつけ医制度を目指している。これに対し主に開業医の集団である日本医師会はかかりつけ医は何人いてもいいという立場から大反対である。
 先日、NHKの「私たちのデジタル医療革命2023」という番組を観た。番組ではイギリスのかかりつけ医(GP)制度が紹介されていた。日本の今後のかかりつけ医制度の方向性を示唆する優れた地域医療制度として興味深かった。
 日本のかかりつけ医構想はイギリスのGPには遠く及ばないまでも少なくとも構想自体はその第一歩としても進めるべきだ。超高齢社会の地域医療での在宅医療や地域包括ケアの最低限のインフラ整備につながるものだ。
 長尾氏はこの問題について以下のような結論を提案している。
①一刻も早く「かかりつけ科」を診療科目として標榜可能にすべし
②薬の一元化、適宜往診、感染症診療もかかりつけ医の努力義務にすべし
③後期高齢者には、「かかりつけ科」を標榜する開業医を選ぶよう啓発すべし
④病院や眼科や耳鼻科や精神科などは、かかりつけ医からの紹介状を持たせるべし
⑤日本医師会がいくら抵抗しようが、国は断固、この政策を実現すべし

障害者と健常者が垣根を越えて2023年01月29日

 山口公民館で開催された市社協主催の「あいサポーター養成講座」に参加した。「あいサポート運動」を実践していくひとを「あいサポーター」と呼ぶ。ではあいサポート運動とは何か。
 市のHPでは次のように紹介されている。『様々な障害の特性を理解し、障害のある人が困っているときに「ちょっとした手助け」を行うことにより、誰もが暮らしやすい地域社会をつくっていく運動です。あいサポート運動は平成21年に鳥取県で始まりました。西宮市は令和元年10月に鳥取県と協定を締結し、西宮市においても多くの方に「あいサポーター」になっていただき、あいサポートの輪を広げていく取組を始めました。』
 14時から始まった講座には15名の受講者があった。講師役には市社協”青葉園”の粟生園長に北六甲台在住の青葉園通所者の富岡さんがサポーター役で参加した。進行の市社協担当者から西宮市のあいサポート運動の概要が説明された後、講師のプロジェクターを使用した講演が始まった。
 講師が伝えたかったのは「障害者と健常者が垣根を越えてありのままに接することの大切さ」ということだと思った。あいサポート運動とは「様々な障害の人と自然な形で関わり、『障害者』『健常者』の壁を取り除く運動だと考えています。」という端的なメッセージがあった。
 その後のグループワークでは、山口の障害者家族会のメンバーの女性と南台の新任民生委員の女性の3人で懇談した。このメンバーどうしても普段は聞けない障害児を持つ母親のお話に聞き入ってしまう。ただ懇談を通じて「医療モデルから社会モデルへ」「あるがままに」というキーワードが共通認識として話し合った。
 1時間半の講座は、障害者のサポートの在り方という初めてのテーマを学ぶ貴重で新鮮なものだった。

公民館講座「在宅医療」2022年03月02日

 かかりつけ医であるあすなろクリニックの岡崎先生の「在宅医療について」と題した山口公民館講座が開催された。山口町で開業されて7年目を迎えられた。その間の経験を踏まえた山口町の在宅医療の現状の報告のようだ。
 14時開講の山口公民館の会場には定員40名を上回る48名の受講者が詰めかけた。スクリーン前のテーブルには岡崎医師と旧知のケアマネで北部在宅療養相談支援センターの大野さんの姿があった。
 最初に岡崎先生の現状の在宅医療の以下のような多面的なプレゼンがあった。
・在宅医療の始まりは①入院先病院の地域連携室等から退院後の在宅医療の要請②担当のケアマネジャーからの通院が困難になった場合等の連絡③ご家族からの通院困難な場合や在宅看取り等の要望等である。
・あすなろクリニックの訪問診療の可能な距離は半径16kmだが、医師の負担から現状では7kmでお願いしている。
・あすなろクリニックが外来診療と訪問診療を行うことで元気な時から人間関係を築き家族とも顔見知りとなることの利点
・在宅診療の患者のコロナ感染の対応も、点滴、在宅酸素、ラゲブリオ等の飲み薬処方等が可能
・コロナで家族の面会ができないため在宅医療を選択する事例が増えている(終末期には再び入院し家族が看取る事例も)
・住み慣れた自宅での生活、面会制限のない家族や友人との生活等の在宅医療のメリット
・但し、在宅から入院への変更も有力な選択肢で「負け」ではない。
・家族の理解や協力あってこその在宅医療
 岡崎先生の後、ケアマネの大野さんの介護保険の利用についてのプレゼンがあった。「申請」「訪問調査と主治医の意見書」「審査・判定」「サービス選択」「ケアプラン作成」「サービス開始」等の介護認定の一連の流れが分かりやすく説明された。

キャラバン・メイト養成研修を修了した2022年02月01日

 先月19日にキャラバン・メイト養成講座の初日をオンラインで自宅で受講した。昨日31日には2日目の講座を市役所隣接の職員会館で受講した。
 2日目の講座には17名の受講生が出席した。初日の22名の受講生の内、5名の欠席者があったことになる。17名が4グループに分かれてグループワークを中心とした研修に挑んだ。私のグループは4人のメンバーで、私以外は女性で、地域包括職員2名、介護施設職員1名という顔ぶれだった。
 10時から始まった研修は、最初に「認知症サポーター養成講座の運営方法」というテーマで、西宮市の認知症サポーター養成講座の現在の運営状況が説明された。西宮市では2007年から養成講座が始まり昨年9月までに977回開催され、延28,484人が受講したとのことだ。講座の講師役であるキャラバン・メイトは市内で現在253名が登録されている。対象者別の講座も「住民向け」「職域向け」「子供向け」「オンライン講座」等、多岐に渡っている。
 その後、最初のグループワークがあり、認知症に伴う様々な困りごとの事例について地域のどんな組織や団体に相談すればよいかをまず個人で考え、次にグル-プ内で話し合われた。
 続いて「キャラバンメイトの役割と講座運営」というテーマで説明があり、キャラバン・メイトの役割、事務局(市社協)の役割、講座開催の流れ、教材等、研修やイベント案内が説明された。
 次に講座に協力してもらえる機関をテーマとしたグループワークがあった。対象となる層とその層に向けた講座の協力機関を各自で考えた後、グループで話し合った。各自の経験から様々な層や組織が提案され参考になった。
 1時間の昼食休憩の後、午後からは「講座のカリキュラム作成」のグループワークがあった。4グループが「住民向け」「職域向け」「子ども向け」に分かれて所定の「講座開催計画書」を作り上げるというワークである。私たちのグループには「子ども向け」が割り当てられ、所定時間内でモデルのカリキュラムを小学5年生を想定した対象者向けにアレンジする話し合いを行った。終了後には、各グループごとに代表者が発表し、講師からそれぞれの講評がコメントされた。
 講座の最後にキャラバン・メイト登録書記入、講座受講アンケート回答を行い、「修了証」が授与された。
 10時から15時30分まで休憩時間を挟み5時間半の研修だった。リタイヤ後の活動としては久々の長時間の研修だった。個人的にも今後避けて通れない認知症ケアに向けて「認知症サポーター養成講座の講師資格」という大きな手立てを習得した貴重な講座だった。

介護現場からの報告2020年02月06日

 ボランティアセンター主催のボランティア研修があった。登録ボランティアだけでなく地域の一般住民の方も含めて30名もの参加があった。
 「介護保険サービスの活用」をテーマに介護現場で優れた実践をされている同じ住宅街のケアマネさんからお話を伺った。地区社協の事業部長のご主人でもある。
 提供してもらった市が発行する「ハートページ(介護サービス事業者ガイドブック2019年)」をテキストに、介護サービスの利用の仕方、居宅サービスの内容、施設サービスの種類等が現場の実務をまじえて分かりやすく説明された。合間に、受講者から幾つもの質問があり、そのつど的確な回答がある。
 私からもかねてから聞きたかったことを3点ばかり質問した。①ケアマネ選びのポイントは?看護師出身と介護士出身の違いや、居宅介護支援事業所所属のケアマネと個人経営のケアマネの違いは?②特養入所の待機状況の傾向は?特養が運営するショートステイやデイサービスの利用者の特養入所での優位さは?③認知症ケアの手法のひとつであるユマニチュードの介護現場での導入の動きは?
 ①については、ケアマネの出身による得意分野の違いはあり、事業所所属のケアマネ以上に個人経営のケアマネには独自性や個性がある。②については待機状況は、サ高住の展開等もあり選択肢が増え傾向としては短縮化の傾向にある。入所に当たってデイサービス等の利用者は状況が把握されている分、それが考慮されることはありうる。各施設の入所相談員等に希望を伝えることも手だてのひとつになる。③については、現場でも導入したいという気持はあるが深刻な人不足が先に立つのが現状。利用者の側からのアピールも必要。

認知症専門医の福祉講座「認知症とは何か?」2019年11月15日

 地区社協の今年度2回目の福祉講座が開催された。今回は「認知症とは何か?」をテーマに福祉ネットのオブザーバーでもある有馬病院の認知症専門医・谷口医師を講師にお招きした。
 1回目の福祉講座の一般参加の受講者が10人未満と少なかったことから、今回の受講者数も懸念していた。そのため私の携帯に登録されている知人、友人の多くにショートメールで案内した。蓋を開けてみると41名もの受講者があり、用意していた資料が不足するという嬉しい誤算だった。内、社協関係者は11名で30名もの一般受講者だった。私の、メール案内による受講者も13名を数えた。また福祉講座に初めて受講された方も多かった。それだけ認知症についての関心が高く、聞く機会の少ない専門医の講演の魅力もあったのだろう。
 まだ40代と若い谷口講師のパワーポイントシート55枚に及ぶ資料による丁寧で分かりやすいプレゼンだった。「高齢化と認知症」「認知症の症状」「認知症の治療と介護」「病院の役割と有馬病院の可能な対応」等を70分ほどお話し頂いた。とりわけ「認知症の治療と介護」は自らの臨床体験に即した説得力のある内容だった。日頃、患者さんや介護家族に話されるのと同じような内容を同じような口調で話されたように思えた。
 予想外の受講者で大盛況の福祉講座が定刻の3時半に終了した。

福祉講座「驚きの”コマ”の世界」2019年08月27日

 地区社協の今年度第1回福祉講座があった。80歳前後の枇杷紘一朗氏と喜代子ご夫妻を講師とした「驚きの”コマ”の世界」の講座だった。地区社協の今年度の重点課題のひとつに「多世代交流」がある。今回の講座はその趣旨にうってつけの子育て世代、子どもたち、お年寄りの多世代の参加が期待できるテーマだった。そんな話を開会挨拶で述べた。
 期待に反して一般参加のお年寄りと社協関係者ばかりの受講者を前に開会挨拶をしていた時だ。会場にどよめきが起こり、入り口ドアから若いママに連れられた児童と幼児が姿を見せた。期せずして受講者全員の拍手で迎えられた。子ども二人を含む21名の受講者による講座が始まった。講師お二人は共に教職出身で先に退職された奥さんがコマに惹かれ江戸独楽の制作者の追っかけをするうちにこうしたコマの紹介活動を始められ、ご主人も定年後に合流されたとのこと。一緒に活動を始めて既に20年前後にもなるようだ。
 講座中の観客の主役は何といっても7歳と3歳の男の子たちだった。コマの実演に参加し成功するたびに大人たちの歓声を浴びている。まさしく多世代交流のひと時だった。ブリキの蛇がコマの芯の磁石でくねくねと生きてるように蛇行する様は驚きだった。ご夫婦が両端をもった糸をコマが移動する綱渡りにも歓声が上がった。
 予定されたストーリーに沿ってご夫婦のこなれた分担で坦々と「コマの世界」が展開する。「各地の珍しいコマの紹介やコマ回しの実演」「桃太郎のからくりゴマによる日本昔話」「一緒に回して遊ぶ体験コーナー」と1時間半の講があっという間に終了した。

公民館講座「生前整理」2019年04月16日

 久々に公民館講座を受講した。一緒に申込んだ家内はご近所さん二人と、私は会場で出会ったオヤジ会のお二人と机を並べた。講座は片付けからはじめる生前整理」をテーマに生前整理アドバイザー認定指導員の肩書を持つ女性だった。
 冒頭、生前整理と終活との違いが説明された。生前整理は、死を念頭に置いた終活とは異なり、あくまで生きることを前提にした物、心、情報の整理であるとのこと。終活のエンディングノートに対し生前整理では「今後の人生をどう生きていくか」をエターナルノートに記していく。とはいえ受講者の圧倒的多数は高齢者である。残り少なくなった人生の生前整理は限りなく終活にオーバラップすることは否めない。
 受講アンケートへの感想では「普通」を選択した。コメントとして「幾つかのヒントはあったものの、期待したほどのものではなかった」と記した。ヒントになったのは、整理すべき物の分量は入院や施設入所を想定した場合の持ち運び可能な分量が目安となるという点だ。また写真の整理では、マイベストショット・アルバムという形で人生のそれぞれの節目を30枚程度にまとめたアルバム作成が提案された。最後の頁は遺影写真である。遺族には本人にとってのかけがえのない写真だけが託される。その他の写真の処分への気遣いは大幅に軽減される。
 最後に受講者に「やり残したこと、行きたいところ」をいくつか書き記すことが求められた。これは良いヒントになった。あらためて残された人生で何をしたいのかを真剣に考えさせられた。また行きたかった旅先はどこだったのかについても考えを巡らせた。前者は「自分史の完成」、後者は「トワイライトエクスプレスで行く北海道ツアー」と記した。