レンタルDVDのNHKドラマ「清左衛門残日録（第２巻）」を観た。この巻には第３話「梅雨ぐもり」、第４話「川の音」、第５話「平八の汗」の三話が納められている。
　「梅雨ぐもり」は、清左衛門の嫁いだ娘の夫の浮気問題に気を揉む話である。妻を亡くした清左衛門にとって娘の憔悴ぶりにうろたえ心配するものの男親の身では如何ともしがたい。嫁の里江の助けを借りて無事乗り越える。ハンサムで稀代の名優・仲代達矢の狼狽ぶりとひょうきんぶりが面白い。
　「川の音」は、清左衛門の隠居後の趣味となった川釣りにまつわる話である。川の急流の中に立ちすくむ母親と幼女を救出したことから藩の陰謀に巻き込まれる。それぞれの物語に主要な人物が登場し、今回は救出された母親である。村の若い母親役を若き日の愛くるしいイメージの石野真子が演じている配役は微妙だった。
　「平八の汗」は、清左衛門が幼なじみの平八に頼まれて家老に紹介状を書いたことから藩の派閥の一方に引き込まれる話である。ビジネス社会にもありがちな派閥抗争を舞台に男の友情の在り方を描いている。主要人物・平八を河原崎長一郎が演じている。いかにも気弱だが、家を守るためここぞという場面で必死の役割を果たすという役回りにピッタリ納まる配役だった。
　原作の再読と返却期限のあるDVDの視聴というバランスをいかにこなすかという贅沢な苦労を味わいながら愉しんでいる。