3月の初雪2010年03月09日

 朝6時過ぎに新聞を取りに玄関ドアを開けると、みぞれまじりの小雨が降っていた。7時前、いつも通り散歩に出かけた時には、小雨はいつの間にかしっとりした雪に変わっていた。暦はすでに3月中旬になっている。この冬一度も見なかった雪景色である。3月の初雪に心躍るものがある。
 有馬川沿いのさくら並木の歩道にやってきた。白く縁どられた桜の枝の広がりと、白い帽子を被った竹やぶの笹の茂みに、雪の織りなす美しい風景を見た。寒空を押して出かけた散策の報酬だった。
 こうもり傘の張りつめた布に粉雪がカサカサと絶え間なく落ちてくる。半透明の布を通して傘に積もった雪の広がりが見える。雪の重みが傘を持つ手にずしりとかかる。民家の軒先で傘をたたんで積もった雪を払った。開いた傘の重みが見事に消えている。ふと雪国の雪降ろしの風景を思い浮かべた。
 住宅街を縁どる農道に戻ってきた。道路を横断するように竹やぶの笹竹が行く手を遮っている。降り積もる雪の重さに堪えかねたのだろうか。ここ数日の雨天が竹を支える地面を柔らかくし、竹のお辞儀を促したのかもしれない。