認知症徘徊者の見守り環境は?2015年09月17日

 先日、住宅街の自治会館で2カ月振りの介護者の会があった。いつもの5人の介護者の皆さんに地区のボランティア7名が参加した。
 冒頭、認知症のご主人を介護する高齢の奥さんの深刻な報告で口火が切られた。「昨晩、ちょっと目を離したすきに主人がいなくなってしまった。あちこち探したが見つからない。夜の遅い時間帯だったのでご近所さんに頼るわけもいかず110番した。明方近くになって公園にいる主人を見つけてもらった。今後のこともあり不安が尽きない」
 会の前半は認知症徘徊者の見守りが話題の中心となった。同じような経験のある実母を介護する中年女性からは「110番する場合、こまごまとした本人情報を伝える等の手続に時間がかかりすぎる。頻繁に徘徊する懸念があった母親の情報を事前に伝えておくことで迅速に探してもらえた」といった体験談が報告された。自治会役員経験者の主婦からは、自治会が運営している住民登録による一斉メールの活用が提案された。会の主宰者の長老からは「昼間も自宅にいることの多い高齢者宅に連絡できることが有効だ。老人会の連絡網に繋げる仕組みが考えられないか」という提案もあった。私からもDPS機能付きの携帯電話を貸与して24時間見守りサービスを行う介護施設の事例を紹介した。
 GPS機能付きの用具の話題になった。携帯電話、靴装着型、バッジ型等、様々な仕様があるが、認知症患者の場合、その用具自体を装着しなかったり、無意識に外したりするという難点がある。会合ではそれ以上の話にはならなかった。
 認知症徘徊者のGPS機能を活用した見守りが気にかかった。帰宅後にネットで調べるとリストバンド型の着用が最も身に着けやすく外しにくいタイプだと思えた。いずれにしても介護者の会という場が、当事者の生の声を聞ける貴重な機会だと痛感した。