弟の枕頭でお参りした2024年02月28日

 深夜に弟の訃報を伝えられた翌日である。3時頃に加古川の弟宅を訪ねた。弟が懇意にしていた寺院の住職による枕経(死亡直後に故人の枕元で読むお経)に同席するためだ。併せて早目に訪問して奥さんから弟の近況や臨終の様子を教えてもらえればと思った。
 枕頭でお参りをした後、奥さんの話しを聞いた。死亡診断書の病名は「窒息死」とのこと。突然、痰が詰まった症状があった。痰をとろうとしたが叶わない。訪問看護師さんに連絡しすぐに来てもらったら救急搬送が必要とのことで救急車を呼んだ。救急隊員の心臓マッサージの甲斐なく車中で亡くなった。
 病院から退院し、念願だった在宅介護に移行して半年が経過していた。奥さんや訪問看護師さんたちの手厚い介護で心身の回復ぶりは顕著だった。寝たきり状態に近かったがデイサービスに行けるように迄回復していた。言葉も交わせるようになり一週間前には私とも携帯電話でやりとりをしたばかりだった。
 考えてみれば突然の死は本人には本望だったのかもしれない。実質的には在宅看取りだった。闘病生活を送る病人の誰もが願う在宅看取りである。しかも日々健康が回復する過程での事故にも等しい急逝だった。日々症状が悪化する過程での過酷さの中での死を思えばはるかに穏やかな死と思えた。とはいえ回復過程での急逝は介護者だった奥さんにもたらした失望は大きい。
 4時頃に住職が来訪された。15分程の読経の後で簡単な相談事を終えて帰られた。私たちの滞在中には、担当の訪問看護師さんお二人が相次いで顔を見せお別れをして頂いた。奥さんとの会話を通して手厚い介護の一端が窺えた。
 4時半頃に弟宅を辞して帰路に就いた。