東北の旅②(山寺・立石寺、天童、閖上さいかい市場)2012年09月30日

 仙台のホテルで朝5時過ぎに目覚めた。部屋のバスに浸かってさっぱりした後、いつも通り散策に出かけた。道路を隔てて真新しいプレミアム・アウトレットやショッピングタウンの広大な建物・駐車場が広がっている。ベージュに統一された落ち着いた町並みを、犬を連れたお年寄りやジュギングに励んでいるオジサンと挨拶を交わしながら散策した。
 7時前にも関わらずホテルの朝食会場には大勢の宿泊客が席を占めていた。居合わせたメンバーと一緒に窓際の席で和朝食をいただいた。8時前にはホテルを出て山形市の山寺(立石寺)に向かった。慈覚大師・円任が開山した平安初期創建の天台宗の古刹である。
 東北、山形の各自動車道を経由して山寺には9時半頃に到着した。30年ほど前に一度訪れたことがある。山道をかなり苦労して登った記憶がよみがえる。ガイドさんから1015段の階段だと聞かされていた。バスを下車してすぐのところの短い石段を上がると立石寺根本中堂(本堂)があった。参拝を済ませて参道を進むと、すぐに芭蕉像が弟子・曽良像と並んで建っている。横には「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」という「おくの細道」の代表作ともいえる句の句碑もある。山門で入山料を払って、いよいよ奥の院に至る1015段の挑戦が始まる。石段の続く参道脇には、姥堂、御休石、せみ塚、弥陀洞などの見所が続く。しばらくすると格式のある仁王門の姿が山中に忽然と現れた。幾つかの寺院の前を通り、ようやく奥の院・妙法堂に辿り着いた。山門からひたすら登ること約20分の行程で、さすがに汗がしたたっていた。
 参拝を済ませて下山する。すぐ下の寺院前の参道脇にたつ赤いポストを目にして、ここまで毎日配達する郵便屋さんの苦労を思った。参道の分岐点を右に行き、五大堂に向った。手前の参道で見事な絶景が目に飛び込んだ。断崖絶壁の頂きに建つ朱塗りの納経堂とすぐ横の開山堂の古刹が、遠くの山並みを借景にして何ともいえない風情をかもしていた。開山堂横の細い参道を抜けると五大堂がある。古人が建立した見事な展望台である。山全体が寺院であるという「山寺」の意味が良く分かる眺めだった。山中の至るところに堂宇や伽藍や仏像や文字の刻まれた洞が眼下に見える。正面にはJR山寺駅の古風な駅舎も見えた。下山途中で山形の同年輩のご夫婦と一緒になった。「自分の体力チェックも兼ねて毎年欠かさずお参りしている」と朴訥な東北弁で語ってもらった。
 山寺を出発し、天童に向かった。将棋村・天童タワーというお土産店で買物を済ませ、老舗旅館が経営するレストラン・天童荘ガーデンで昼食をとった。ランチメニューながら本格的なフレンチを思わせるコース料理を味わった。仙台空港からの出発時間が近づくにつれ、近畿地方に上陸間近かの大型台風の影響が気になりだした。添乗員の航空便の発着情報やメンバーたちのスマホ気象情報が飛び交う。最悪の場合東北、東海道新幹線を乗り継いだ帰路も想定された。仙台発伊丹行きの搭乗便は到着空港が変更になる場合もあるという条件付きで運行しているという最新情報を得て、最終的に行程変更なしと決定した。
 最後の訪問地は、仙台空港近くの「閖上(ゆりあげ)さいかい市場」だった。24店舗からなる名取市復興仮設店舗である。駐車場のバス車中で商店会長から再開と再会をこめた名称の由来などのレクチャーを聞いた。復興支援をこめてメンバーたちの活発な買物があったことは言うまでもない。
 搭乗便が予定通り19時に仙台空港を離陸した。依然として到着空港変更ありの条件は付いていたが、途中、たいした揺れもなく無事伊丹空港に定刻20時20分に到着した。到着してみれば、台風情報にほんろうされたひと時が楽しい思い出になってしまう。一泊二日の東北の旅を無事に終えて20時に帰宅した。

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